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中国 経済発展の影で増える“流動児童”
2月6日 6時01分

中国 経済発展の影で増える“流動児童”
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中国で、“流動児童”と呼ばれる子どもたちの問題が深刻化しています。“流動児童”とは、農民工の親に連れられて住む場所を転々とすることを余儀なくされる子どもたちのことです。都市部での新しい生活になじめず、孤独感や劣等感を抱きやすく、犯罪に走るケースが目立ち始めています。
中国の急速な経済成長を下支えしてきた農民工ですが、近年、子どもを都市部に連れて来て一緒に暮らす人が急増していて、そうした“流動児童”はすでに中国全土で4000万人を超えたとみられています。ところが、“流動児童”の多くは都市部で劣悪な環境に置かれています。中国独特の戸籍制度による規制によって、大都市の子どもたちが普通に受けている教育や医療サービスなどの基本的な権利が十分に与えられていないのです。

農民工の流入が激しい中部・河南省鄭州市の郊外には、“流動児童”ばかりが通う小学校が30校余り点在しています。いずれも市の承認を受けていない非正規の学校で、雑居ビルの一角に作られた教室は狭く、運動場もありません。学校関係者は「流動児童には、ストレスをため込んで精神的に不安定になる子が多い」と指摘します。その結果、劣等感や社会への反感を抱く傾向が強く、犯罪に走るケースが増えていて、中国の未成年犯罪の54%を農民工の子どもたちが占めるまでになっています。

中国政府は2000年代に入ってから、“流動児童”に対する教育や医療面でのサービスの向上を打ち出すようになりました。都市に居住し、しっかり税金を払っていることなどを証明できれば、農村に戸籍がある家庭の子どもでも公立学校に入学できるようにしました。しかし、農民工の親は貧しく、実際には入学は容易ではありません。さらに習近平指導部は増えすぎた大都市の人口を厳しくコントロールするようになり、その結果、都市部の公立学校への入学条件は年々厳しくなっています。

この問題に詳しい中国の専門家は「いかなる国であっても、政府の政策を実現するために、子どもの権利を犠牲にすることはあってはならない」と強調しています。

経済発展の影で増え続ける中国の“流動児童”。子どもたちの立場に立ったケアが今、求められています。

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