ツタヤ図書館、市側の元図書館協議会会長がCCC天下り疑惑…新館長に就任
天下りは“たまたま”
天下りといえば、高級官僚が退官後、自分の所属していた役所が管轄する法人へ役員として再就職し、高額な報酬や退職金を受け取るケースを思い浮かべるが、地方の自治体でも、公務員が事業委託で関連のあった民間企業へ転職することは、便宜供与の見返りと疑われかねない。
前出の関係者は、こう指摘する。
「図書館協議会の委員のなかには、運営を民間企業に任せることに反対し、市の直営のままでいいという意見を言う人もいました。ところが、市はそのような意見を無視して、強引にCCCを指定管理者に選定しました」
図書館の指定管理者にCCCを選定したのは選定委員会だが、決定に至るまでに議論を重ね、選定委員会に意見を答申した図書館協議会の役割は大きい。
「最終的にCCCを指定管理者とする方向に導いた図書館協議会の会長がCCCの準備室長となり、今度は図書館長となるのです。こんなおかしな話があるでしょうか」(前出関係者)
そこで、照井氏本人に直撃し、天下りの事実について質問したところ、次のような答えが返ってきた。
「天下りなんて、とんでもない。市長さんから、『新しい図書館をつくるために、ぜひ力を貸してほしい』と要請されまして、いろいろと考えました結果、引き受けただけです」
また、CCCの広報も天下りについて否定する。
「今回、多賀城市立図書館の運営を行うに当たっては、子供たちの社会教育に力を発揮できる人物を館長に据えたいと考えていたが、そういう人材が社内にはいなかったので多賀城市に相談していたところ、何人かの候補者を紹介してもらった。その数名を面接して、そのなかで照井氏が最も適任と判断して就任を要請したのであり、図書館について特別な権限を持っていた人物を一本吊りで採用したわけではない。その時期に会長職にあったのは事実だが、それはたまたまそうなっただけである」
さらに、市教委は関与そのものを否定している。
「CCCのほうで採用されたので、CCCがどういう考えで採用されたのか、こちらではわからない。協議会の委員が退職後何年間は、関連企業に就職してはいけないといった内規はないため、そもそも天下りといえるかどうかわからない」
あくまでも、最適な人物を探した結果、“たまたま”選定する立場にあった図書館協議会の会長だっただけということだ。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)