小学生らを対象に行われてきた寄生虫卵検査(ぎょう虫検査)について、文部科学省は、新年度からの学校での健康診断の必須項目から外す。衛生環境が改善され、寄生虫卵の検出率が低くなったためだ。しかし、西日本は全国平均に比べて検出率が高く、九州の一部の自治体では、新年度以降も行うことを決めた。

 文科省などによると、検査は戦前から行われ、1958年の学校保健法制定とともに学校の健康診断の検査項目になった。95年からは小学4年生以上は省略できるようになった。目黒寄生虫館(東京)によると、ぎょう虫は、感染すると、就寝中に肛門(こうもん)付近に出て卵を産む。かゆみを引き起こし、集中力が低下したり、ひっかき傷から炎症を起こしたりする。

 衛生環境が良くなり、検出率は下がってきた。学校保健統計調査によると、戦後すぐの49年度の小学生の寄生虫卵検出率は63・89%。それ以降、検出率は下がり、2002年度からは1%を下回る。13年度は0・16%、14年度は0・13%。文科省は14年4月、「検出率は10年以上1%を下回っている」として、学校保健安全法施行規則を改正し、検査を必須項目から外すと通知した。

 一方、検出率には地域性がある。ほとんど検出されない地域もあるが、九州などでは0・1%を超える県が多い。14年度学校保健統計調査によると、7歳児の寄生虫卵の検出率は、山口0・2%▽福岡0・5%▽佐賀0・6%▽長崎0・3%▽熊本0・3%▽大分0・9%▽宮崎0・0%▽鹿児島0・1%▽沖縄2・7%――だった。