診察せずに死亡診断書…嘱託医ら書類送検
三重県名張市赤目町長坂の特別養護老人ホーム「名張もみじ山荘」の男性嘱託医(73)が、入所者が死亡しても診察せず死亡診断書を交付したとして、県警生活環境課と名張署は5日、嘱託医と女性看護師2人(36歳と48歳)を医師法違反容疑で津地検に書類送検した。容疑を認めているという。
容疑は、昨年3月23日に死亡した90代女性と、同6月22日に死亡した80代男性についての2件で、24時間以内に嘱託医が診察していないのに、看護師がそれぞれの遺族に死亡診断書を交付したとしている。医師法では、受診後24時間以内に患者が死亡した場合、診察なしの死亡診断書交付が認められている。
同署によると、非常勤の嘱託医は、死亡日時を空欄にし死因などを記入した死亡診断書を事前に用意、ホーム側に渡していた。2011年5月のホーム開設以降、同様のケースが計30件確認されたという。
任意の事情聴取に対し、嘱託医は「体力が衰え、夜間に呼び出されても遺族を待たせる。早く遺体を遺族に渡してあげたかった」、看護師は「前からやっていたので」「医師不足で施設の存続のためだった」−−などと容疑を認めているという。
ホームは社会福祉法人・東海宏和福祉会が運営。ホーム関係者から内部告発を受けた県が昨年11月、嘱託医を刑事告発していた。【鶴見泰寿】