韓国政府当局者が3日、長距離ミサイルを発射しようとしている北朝鮮に対し、「きつい代償」を警告した。同日午前、大統領府で行われた国家安保会議(NSC)常任委員会の直後、趙太庸(チョ・テヨン)NSC事務局長(国家安保室第1次長)が「きつい代償」に言及したのを皮切りに、統一部(省に相当)の鄭俊熙(チョン・ジュンヒ)報道官や黄教安(ファン・ギョアン)首相もこの言葉を繰り返した。外交部の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官は「明確な代償」という表現を使った。
しかし、「きつい代償」「明確な代償」とは何なのかについては一様に言及を避けた。趙太庸NSC事務局長が同日言及した「きつい代償」という言葉の前には「国際社会から」という表現もあった。このため、政府とその周辺では「韓国政府の独自制裁というよりは、国連安保理事会の対北朝鮮制裁決議をはじめとする多国間制裁や米国などの制裁を念頭に置いた表現だろう」という声も聞かれた。
外交消息筋は「北朝鮮のミサイル発射を契機に、強力な安保理制裁に対しあいまいな姿勢を見せている中国の変化を期待しているようだ」と話す。
だが、現実問題として韓国政府には北朝鮮の戦略的挑発を戒めるだけのこれといった独自制裁手段がない。2006年以降、北朝鮮は4回の核実験と4回の長距離ミサイル発射を実施してきたが、そのたびに大統領や政府が「断固たる対応」「強力な報復」を強調するばかりで、ほとんど無意味なスローガンで終わっていることがその証拠だ。先月6日の北朝鮮による4回目の核実験直後、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は「相応の代償」という言葉を口にした。その後、政府は北朝鮮向けの宣伝放送再開や開城工業団地に出入りする人数を制限する措置を取った。朴大統領が自ら提案した5カ国会談は中国・ロシアの反対により進展していない。
国策研究所関係者は「北朝鮮が核実験から1カ月にしてミサイルを使うというのを見ても、こうした措置を気にしていないということ」と語った。残る切り札は開城工団の閉鎖くらいだが、統一部は「時期尚早」との見解を示している。消息筋は「韓国が北朝鮮の戦略的挑発に対して無力であることは、北朝鮮が一番よく知っている。韓国がいくら脅しても北朝鮮はひるまない」と言った。
国策研究所関係者は「米国の戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)駐韓米軍配備は効果的な軍事的抑止手段だが、中国やロシアの反発で北朝鮮に対する制裁のための国際協力に亀裂が入る心配がある」と指摘した。