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 米労働省が5日発表した1月の雇用統計で、景気の動向を敏感に反映するとされる「非農業部門の就業者数」(季節調整済み)は前月より15万1千人増えた。専門家の予想(19万人前後の増加)を下回り、昨年12月(約26万人増)から伸びが大きく減速した。

 一方、1月の失業率は前月より0・1ポイント改善し、4・9%。市場予想(5・0%)よりも良く、2008年2月以来約8年ぶりの低水準となった。平均時給は前月より0・5%増え、賃金は伸びが加速した。

 景気が改善しているとして、米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月、約9年半ぶりの利上げに踏み切っており、今年は「年4回」の利上げを見込んでいた。だが、中国経済の減速懸念や原油安で金融市場の混乱が続くなか、FRBが次回会合がある3月に追加利上げに踏み切るとの観測は後退している。

 今回の雇用統計は強弱入り交じった内容となっており、FRBは来月の雇用統計などの指標を慎重に見極める姿勢だ。米金融市場では、主要株価が下落した一方、為替市場ではドルが買われて円が売られ、ドルは1ドル=117円台前半に上昇した。(ワシントン=五十嵐大介)