【モスクワ真野森作】ロシア正教会は5日、最高位のキリル総主教がフランシスコ・ローマ法王と今月12日にキューバの首都ハバナの空港で会談すると発表した。東方正教会で最大のロシア正教会と、カトリック教会のトップが対面するのは初めて。11世紀に正統性を巡って東西に分裂したキリスト教の両教会は、1000年近くの対立を乗り越え、和解を進めることになる。
ロシア正教会とローマ法王庁は5日に声明を出し「長い準備をかけた会談は歴史上初となり、双方の関係が重要な段階に至ったことを示すだろう。全ての人にとって希望の兆しとなることを願う」と表明。会談では中東やアフリカで強まるキリスト教徒への迫害対策が主要議題となり、共同宣言に署名する。
両教会は中東で勢力を広げる過激派組織「イスラム国」(IS)などに対抗するため、連携に踏み切った。プーチン露政権にとっては、シリア領空爆を通じて中東外交を強化する中、両教会が現地のキリスト教徒迫害阻止をアピールすることはプラスとなりそうだ。
ロシアでは1991年にソ連が崩壊した後、ロシア正教会の影響力が復興。正教会側には旧ソ連諸国でのカトリックの宣教拡大に対する反発が根強く、関係改善は劇的には進まなかった。現在もウクライナで反露姿勢を強めるカトリックの一派、ユニエイト教会の問題が残る。
カトリックの総本山・バチカンとロシアは2009年に正式な外交関係を樹立。プーチン露大統領は13年11月と昨年6月にローマ法王庁を訪れ、フランシスコ法王と会談しており、今回の対面へのレールを敷いた。
ローマ法王庁は第二次大戦後、共産主義勢力を封じ込める狙いなどから、東方正教会との和解に取り組み、1964年にはギリシャ正教総主教との会談を実現。今回はロシア国内で推定7500万人の信徒を抱えるロシア正教会との和解にも乗り出した形だ。
フランシスコ法王は予定されているメキシコ訪問の途上でキューバに立ち寄る。キリル総主教も今月11~22日に中南米諸国を訪れる予定。会談は2時間程度とされる。
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