今回は、タイ大好きマーさん(id:kun-maa)からのリクエスト。選んだ理由は「何となく楽しそうだったから」、だったかな? 舞う薔薇の花びら、気ままに寝そべる人々、テーブルにはごちそうが並べられ、高貴な人たちが享楽的なひとときに耽っている様。
しかし、真実は華麗なる処刑遊戯\(^ω^)/ 薔薇の花で窒息死させるとか何考えてんだwww 作者は19世紀イギリス(オランダ生まれだけど帰化した)の画家ローレンス・アルマ=タデマ(1836-1912年)。近代画の緻密な描写が美しいね。
何を思ってこんなしょうもない逸話をモチーフに描いたのかはわかりかねますが、さっそく遊ばせてもらいますね!‹‹ヽ(´ω` )/››‹‹ノ( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››
ヘリオガバルスとは何ぞや
ヘリオガバルスとは、ローマ帝国第23代皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌス・アウグストゥスの通称。畏れおおくも最後の五賢帝と同名だ。はてなキーワードでも出てくるのはこっちだし。「テルマエ・ロマエ」では宍戸開が演じたあの人。
では、こちらもその名に相応しい賢帝だったかといえば、どっこいクズ。今でも「ローマ史上最悪の暴君」の名を欲しいままにするロクデナシだ。ローマは一日にして成らないが、ローマを一日で滅ぼすにはその名を唱えるだけで効果てきめん。
その名残りがラピュ○の滅びの呪文「バ○ス」として現代に知られt(‘д‘⊂彡☆))Д´)パン
歴史はオネムなのでその人物像だけを箇条書きにするとこうなる↓
- 14歳で皇帝に。趣味は女装←当時のローマ帝国ではかなりのスキャンダル
- 女は手当たり次第手篭め。4度の結婚、同性の愛人とは妻として結婚アッ( *゚д゚)♂
- 政治は母&祖母らに丸なげし、自分は娼館に女装して入り浸り掘られ待ち
- 太陽神信仰が流行ってたのを機に、自分のオキニ神、「エル・ガバル」(シリア土着の太陽神)を最高神にねじ込む。この頃からヘリオガバルス(太陽神に仕える者の意味)を名乗るように
- 酒場での男漁りでは足りずに、宮殿の一部を売春宿化(無論ネコ)
- 最期は近衛兵達の反乱に遭い処刑。享年18。首を落とした胴体ともども川にポイ
放蕩と薔薇族な日々を過ごしてきた皇帝って他にもまだいそうなもんだけど、やっぱりこの場合、悪目立ちしてしまったのが女装なんだろう。司祭でもある皇帝が男の娘姿でうろうろするのは、当時の宗教に対する冒涜だったのだ。されど本人どこ吹く風。
どころか、自分が偉いことだけは知っているからあとはもう子どもの心理で、「いい」と言ってくれる人はいい人、「だめ」と言ってくるヤツは悪だから罰しよう、ってことになるのですね、わかります。若いうちに権力の味を味あわせちゃイカンね。
ヘリオガバルスをさがせ!
というわけで、画に戻るっと。
客人を招いての酒宴。そこに、吊るされていた天幕の紐を何者かが切り、その中にぎっしり詰められたバラを一気投入。突然口を塞がれて窒息死する様を満足そうに眺める皇帝たち。向かって左側に寄せられた客人に、より恨みが深いらしい。
バラの花びらでスペシャルアロマの香り接待にしか見えないんですけど。
さて、肝心の皇帝はどの人物だろう。
まぁ順当に見れば①だと思う。ただ、中央でバラ風呂に戯れている女たちを生ぬるい視線で眺めて左側の惨劇ガン無視というのはどうだろう。②も金糸の衣装に冠、一人だけ寝そべっていることから皇帝候補だが、同じ理由で疑問が残る。
一番このシーンに合致したアクションをしているのが③。視線は薔薇地獄の贄たちへ注がれ、盃を傾ける仕草などもそれっぽい。が、皇帝は女装すればわからぬほどの美形なのだ。さすがに女装した竹○力が微笑んだような③は…でも一番らしいんだよね。
④~⑦は、まぁ、女装していることを考えると一応候補かなぁ、くらいに。ただ、
この女性だけはないなと思って除外。皇帝の背に乗れるのは男だk(‘д‘⊂彡☆))Д´)パン
そんなわけで、パッと見なら①、画のシチュエーション的には③というのが私の見解だ。よく見たら、③がバラの花びらを操っているようにも見えるよ。現代と古代、日本とイタリアの美醜の基準は、もしかしたらものすごくかけ離れているのかもしれない。
薔薇刑の殺傷力や如何に
最も深い恨みを買っていると思われる一角。バラの花びらだけで人を埋め尽くすとか何万、何億本必要なのだろう。むせ返るほどのバラの香りで窒息死させようと思ったのか溺れさせようと思ったのかはわからないが、凶器にするにはあまり現実的ではない。
①と③は明らかにピンシャンしていて、③に至っては「何をされるのです、陛下!」と訴えようとしているようにも見える。ただ②の人物は、自らも首までバラに浸かりながら、右手を前方に投げ出している。何かをさすっているようにも見える。
察するに、前方に犠牲者が一人いるんじゃないかなって。あと④の人も死んでるかもしれない。でもカメラ目線で死ぬって、それバラ関係ないやろwww 異様な肌の白さからして誰かのお気に入りのお人形(ゲスい意味で)と推察する。
反対側に至っては完全にサロンだ。「はぁ~、極楽極楽♡」という声が聞こえる。そもそも花びらだけって最高に手間が掛かっているはずだ。皇帝は処刑どころか彼らを労い、贅を凝らした宴を催したという可能性デテキタwww あれ、画のテーマが真逆に。
ソースは現代の「2ちゃんねる」
アルマ=タデマがこのモチーフを得たのは『ローマ皇帝群像』という皇帝の伝記集から。2世紀前半から3世紀末までの歴代皇帝の逸話をまとめた一応"歴史書"だ。6人の著者がおり、彼らも一応"歴史家"を名乗っている。繰り返すが"一応"だ。
なぜかというと、この本自体に信憑性が全くなく、全く根拠の無い虚偽まで掲載されていたから。それでもこの本が今も史料として生き残っている理由はただひとつ。同様の資料が他にないからにほかならない。
この「名画シリーズ」もそういういい加減なものなんだからNE!!(σ`・ω・´)σ チェケラ おちまい!