- 2015.06.19
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【時間地図】全国的に歪ませてみた。
こんにちは。乗換BIG4の廣戸です。
前回まで、何種類かの「鉄道利用による時間地図」をお見せしてきましたが、主に北陸新幹線開業の効果を見るために、範囲を「本州の大阪より東」のさらに一部の地域に絞った図をお見せいたしました。
では、今度は対象範囲を広げて「日本全国(鉄道で行ける範囲)を対象にすると、どのような時間地図になるのか」を見ていきたいと思います。今回は、北海道から九州まで、日本全国を対象にした時間地図を作ってみました。
※なお今回は、すべて東京駅が中心の時間地図を作ります。
※すべての図がリンクになっています。タップすると図のみの閲覧が可能です。
対象とした範囲は、以下の図のとおりです。
まずは大雑把に見てみたいので、海岸線沿いの主要路線を中心に選んでいます。また詳しい駅名は省略していますが、主に新幹線や特急の全列車が停車する駅を中心に、主要駅を選んでいます。
さて、時間地図はどんな形状になるでしょうか?
前回までに作った時間地図の形状から類推すると、
- 新幹線の通っている駅は、東京駅に近づきやすい
- 乗り換えが多く必要な駅は、東京駅から遠ざかりやすい
といったことが言えそうです。すると新青森や博多といった、東京から新幹線1本で行けるような駅は東京に近づいて、逆に乗り換えが必要な北海道や九州の南の方、山陰や四国は東京から遠ざかりそうな予感がしますね。
ではさっそく、時間地図を見てみましょう。こうなりました。
いかがでしょうか。日本列島の面影は残しつつも、だいぶ大きく変形しましたね。いろいろとわかることがありますが、少なくとも以下のような特徴が挙げられます。
- 房総半島や伊豆半島は、東京から実距離では近い割に時間地図上では遠くなっている
- 本州内では、紀伊半島、能登半島、中国地方が特に遠くなっている
- 北海道は遠いが、札幌から先が特に延びている
- 九州と四国が重なってしまっている
- 九州は遠いが、志布志や枕崎は特に遠くなっている
全体としてまとめると、
- 新幹線の通っている箇所は縮む
- 在来線特急の通っている箇所は、相対的に時間がかかるため引き延ばされる
- 特急すら走っていない箇所は、さらに引き延ばされる
という特徴が色濃く出ています。
また、東京からの所要時間が同じになるように引いた同心円に着目してみると、
- 名古屋や仙台より、房総半島の先の方(館山や安房鴨川)、伊豆半島の先の方(伊豆急下田)が時間がかかる
- 本州内では、特に中国地方(山陰)、紀伊半島が遠く、遠いところでは東京から7〜8時間ほどかかる
- 新幹線で繋がっている鹿児島中央へは8時間以内だが、同じぐらいの距離の札幌や宮崎へは、特急を乗り継ぐ必要があるためかおおよそ10時間以上かかる
- 九州の先端(志布志)へは約14時間の所要時間なのに対し、北海道の先端(根室)へは18時間以上かかる
といったことが分かります。今回の計算では「各路線において平均的な乗車時間を足し合わせる」方法を取っているので、鉄道での所要時間が18時間ということは、東京から北海道東部へは、現実的には1日以上かかると言っても過言ではありません。
では、より多くのことを把握するために、変形の様子をアニメーションで見てみましょう。
なんとも味のある変形ですね!
本州が縮み、北海道や九州が引き延ばされている様子がよくわかりますね。本州でも、紀伊半島や中国地方がものすごい勢いで鋭利になっています。特に、もともと東西方向になだらかな曲線を描いていた山陰地方の歪み具合は印象的です。
またよく見ると、変形の序盤で九州が捻れてしまっているのがわかります。これは、九州の西側(熊本、鹿児島)は九州新幹線があるため東京からの所要時間が短く、一方で九州の東側(大分、宮崎)は在来線特急しかないので西側に比べて所要時間が増してしまうために起こっています。最終的に九州と四国が融合してしまっているのも、ほぼ同様の理由です。
次回予告
さて、今回は大雑把な変形を追いかけてみましたが、もう少し細かく見ていくと各地の鉄道の現実が見えてきそうな気もします。次回は、「東京からどっちのルートで行っても遠いあの駅はどこ!?」といったような視点で分析を深めていきたいと思います。
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記事を書いた人
乗換BIG4:廣戸(ひろと)
ヴァル研究所開発部所属。幼少期から鉄道好きで、その知識・熱量は「人間駅すぱあと」と呼ばれるほど。20代前半で全国のJR路線の90%を制覇した乗り鉄の中の乗り鉄。