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最終更新:2016年2月5日(金) 2時28分

成人9割がウイルス保有、人気声優の命奪った「CAEBV」とは?

 去年10月にこの世を去った声優の松来未祐さん。最初は「w
 地上波テレビで放送された「ひだまりスケッチ」を始め、数々のアニメ作品に出演していた声優の松来未祐さん。去年10月、38歳の若さで亡くなりました。病名は、「慢性活動性EBウイルス感染症」。略して「CAEBV」。ウイルスがリンパ腫などを引き起こすもので、国内で発症するのは年間数十人程度とみられる難しい病です。

 未祐さんの体調に変化が現れたのはおととし頃だったと、父親は語ります。

 「夜、39度くらい熱が出て、何日かしたら治まる。風邪の症状みたいで」(未祐さんの父親)

 いくつかの病院に行ったものの、当初は「原因がわからない」、「風邪ではないか」などと診断されていたといいます。その後、首のリンパ節が腫れるなど症状が変化し、CAEBVの感染がわかったのは去年夏。実に1年以上がたった後でした。

 この写真は、去年9月、闘病中に開かれた未祐さんの誕生パーティーの様子。パーティーを開き、未祐さんを励ました友人は・・・

 「(パーティーで)未祐ちゃんの気持ちを伝えてもらう時間をとって、『なんで自分が病気になっちゃったんだろう。それはすごくつらい』と言っていた。『でもみんなが応援してくれるから頑張れるし、これからも頑張ります』と伝えてくれて」(未祐さんの友人)

 そのひと月後に未祐さんはこの世を去りました。

 CAEBVとは一体、どんな病気なのでしょうか。

 「健康な人が突然発症するが、原因はよく分からない。偶然というか、たまたま」(大阪府立母子保健総合医療センター 河敬世 顧問)

 原因となるEBウイルスは、実は成人の9割以上が感染しているといいます。感染するのは、白血球の一種のリンパ球のB細胞。その際、重い症状をもたらすことは少ないですが、生涯にわたり細胞内に潜伏します。ただ、免疫力の低下などに伴い、まれに別のリンパ球に感染するのがCAEBVで、悪化すると、悪性のリンパ腫や白血病などを引き起こすのです。

 「この病気で一番怖いのは急変。そういう状態に陥る前に診断されて、計画的に今の治療を受ける。以前は不治の病だった。全員亡くなっていた。今は90%以上の人を助けることができる」(大阪府立母子保健総合医療センター 河敬世 顧問)

 ただ十分な病気の知識を持つ医者が少ないため、早期の発見・治療が難しいのも現状です。未祐さんも早く見つかっていれば、命を落とさなかったかもしれません。そのため、国が難病に指定すれば医者の間で周知徹底が進むと、期待する声もあります。

 病名を今回公表した未祐さんの父親は、その思いをこう語ります。

 「(生前に)本人が『退院して手記を書いて、同じ病気で苦しむ人の助けになりたい』と。『(病名を)言ってくれ』と言っていた」(未祐さんの父親)
(04日23:11)

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