ファッションの世界で格好良いとは、いわゆる見た目が良いということが第一義的に挙げられるだろう。しかし、格好良いということをよくよく考えてみると、見た目だけでは語れない多くの要素によって形成される。しかし昨今、あまりにも即物的に見た目だけを装う人が目立つ気もする。以前であればバックボーンが、好きなカルチャーがと、こぞって語られていたが(これも少し考えれば、本来の格好良いとは無関係だと思うのだが)、今や、パクリでもなんでも良いから、世の中が(あるいは異性が)序列的に決めた、あるレールのなかで右往左往することが賢いやり口となっている。例えば、憧れの存在に近づきたい。格好良いとされる人と同じものを着る。これが最もわかりやすい嘘っぱちだ。答えは簡単。誰かになろうとすることは、人として格好悪いことだと思うからだ。自分自身の思考で築き上げられた価値観で、清く、ときには後ろ指を刺されながらも、生きていける強さを持てることが、人として成熟したカッコ良さのひとつなのではなかろうか? つまり他の誰でもない見た目と思想を持てること、これが本来、ファッション的な意味でも、格好良いとされる人の最低条件だと思うのだが。。。
ザ・イノウエブラザーズ。北欧、デンマークで生まれ育った、日本人が作るニットが素晴らしい。そのアイテムの完成度の裏に隠された格好良いという本来の意味。そんな根源的な思想までを言及したかのような、彼らのニットは、ファッションを通じて失われつつある美徳を再び思い起こさせてくれる。
次ページでは、THE INOUE BROTHERSが世界一のアルパカニットを生み出すまでの、物作りに対する姿勢と思想に迫るインタビューを、彼らが作る動画とともにお送りします。
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