国土交通省は4日、全地球測位システム(GPS)の電波が届かない地下や屋内でもスムーズに道案内ができるスマートフォン(スマホ)アプリの実証実験を東京駅周辺で始めた。NTTや東日本旅客鉄道(JR東日本)、三菱地所などが協力する。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて訪日外国人や高齢者、障害者なども移動しやすい環境をつくる取り組みの一環。
18年の実用化を目指す。対象エリアは東京駅周辺の地下でつながった大手町、丸の内、有楽町、銀座、八重洲の一部にまたがる。こうした実験では国内最大規模の広さになるという。
従来も屋外ではGPSを使った様々な道案内サービスがある。半面、電波が届かない地下や屋内では利用が難しい。把握した位置情報を表示する地図も、商業施設やビルの管理者ごとに作成・管理される場合が多く、統一したデータが不足している。
実験では周辺ビルなどの協力で地下空間の地図をつなぎ合わせて1つにまとめたほか、ビーコンと呼ぶ無線機器を約300カ所に設置。既存の公衆無線LANのアクセスポイントなどの情報も活用し、道案内アプリを使う人の位置情報を正確に把握できるようにした。屋外と地下・屋内を行き来しても途切れない工夫も凝らしたという。
基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマホ向けに開発したアプリを取り込んで起動させる。地下や屋内でも、現在地や行きたい場所までの道順をすぐに表示できる。実験期間は3月6日まで。
今回できた環境を生かす形で、NTTなどは導入を目指す技術の実験もする。行き先をわかりやすく示す立体表現や、曲がり角に来ると振動で目的地方向に引っ張られる感覚を伝える機能などを試した。
国交省は広大な地下空間が広がる東京・新宿での実証実験も検討中だ。
GPS、スマホ、東日本旅客鉄道、NTT、スマートフォン、三菱地所