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      指定廃棄物の分散保管継続へ

      指定廃棄物の分散保管継続へ

      東京電力福島第一原子力発電所の事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物を巡り、環境省は、茨城県に限って現在の場所で分散して保管を続け、放射性物質の濃度が国の基準を下回れば指定を解除して一般の廃棄物として処分できるとする新たな方針を明らかにしました。
      東日本の12の都県におよそ17万トン保管されている指定廃棄物について、環境省は5つの県に新たに処分場を建設する計画ですが、地元の反対などでいずれも建設のめどは立っていません。
      このうち、茨城県では14の市と町におよそ3500トンが保管されていて、地元自治体が現在の場所での保管の継続を求めていました。
      4日、水戸市で開かれた環境省と地元自治体の会議で、環境省は茨城県に限って放射性物質の濃度が国の基準を下回るまで現在の場所で分散して保管を続けることを決めました。
      そのうえで、茨城県以外の都県も含め、基準を下回った指定廃棄物は一般の廃棄物として従来の処分場で埋め立てなどの処分ができるとする新たな方針を明らかにしました。
      放射性物質の濃度は時間とともに自然に低減することから、環境省は、茨城県内ではすでにおよそ70%の廃棄物が基準値以下になっていて、10年後に基準値を超える廃棄物は0.6トンにとどまると推計しています。
      環境省は、茨城県以外の4県では引き続き県内1か所に集約する方針で、処分場の建設に地元の理解を得たい考えです。

      茨城県の橋本昌知事は「それぞれの自治体の長は、安全をどう確保するかを考え、現実的な判断をしたのだと思います。保管場所の近くに暮らす住民には国とともに地元に入り、説明していきたい」と話していました。
      また、茨城県内で指定廃棄物を最も多く保管している日立市の小川春樹市長は「分散保管の継続ということで、国の理解を得られて安心した。今後も国の責任のもとで処分してもらえるようにしっかりと主張していくが、まず、地元としては安全に保管していきたい」と話していました。
      3年余り前に、一度、指定廃棄物の最終処分場の候補地に選ばれ、その後、撤回となった茨城県高萩市の小田木真代市長は「住民の間では、ふたたび候補地に選ばれるのではないかという不安があっただけに今回の決定は安心したし、指定廃棄物の問題解決に向けた大きな一歩となった」と話しました。
      一方、高萩市で保管されている指定廃棄物は、廃棄物の性質上、数十年後も国の基準を上回る状態が続き指定が解除できないと推計されています。
      この現状について、小田木市長は「管理の在り方を含め国に対応策を検討するよう求めていきたい」と述べました。
      以前は、指定廃棄物の一時保管に対して受け入れられないと態度を示していた、茨城県龍ケ崎市の中山一生市長は「どこの自治体もこのまま保管していいと考えているところはないと思うがが、合理的に考えるとやむをえない決断だと思っている。一時保管している地区の住民に納得してもらえるように、環境省にもしっかりと説明責任を果たしてもらいたい」と話していました。

      会議のあと、井上環境副大臣は「福島に続いて、茨城で指定廃棄物の処分の基本的な方針を決めることができて感謝している。今後も一時保管の強化や指定解除後の処分先の確保などの課題を国として技術的、財政的な支援を責任を持ってやっていく」と述べました。
      そのうえで、茨城県を含めて新たな処分場の建設を計画している5県については「最終的には各県で集約して処分するという方針は堅持する。ただ、茨城以外の4つの県で、どういう形でやっていくか、各県で異なる意向や置かれた状況を最大限踏まえて決めていかなければならない」と述べました。

      02月04日 17時37分