めずらしく大河ドラマを観てます。どれ以来だろうかと考えてみたけど想いを馳せたところで宮沢りえちゃんの豪姫が浮かんでいやそれ大河じゃなくて映画じゃなかったかとか思う程度に記憶が錯綜するくらい長いこと観てなかった気がするのだけれど、それは私が戦国時代の歴史にとんと興味が無いから。
真田丸にしても時代背景とか全然わかってないので先日の織田信長さんがなんかとても怒ってるシーンにしても
私はこの辺の歴史に疎いから、いちいち夫に「なんであの人怒ってたの?」「怒られてたのは誰なの?」ってあとから教えてもらってるんだけど、その知識なくてもあの信長の激怒するシーンは若い真田の子が初めて信長を見る衝撃を一緒に感じられたような気がして面白かったよ。
— イシゲスズコ (@suminotiger) 2016, 2月 4
こんな程度です。
でも別に歴史そのものに興味が無い訳でもなく、興味のある分野に関してはやたら読みあさっているので日本史でも世界史でもとびとびですごく詳しいところと全く知らないところがある感じだなぁと思いながら本棚を眺め、歴史系の漫画が意外と多いことに気づいた朝でありました。
ハードカバーは重くてかさばるから図書館で借りたり手放したりしてしまってるものが多いのだけど、コミックは子供らがそのうち興味を持つかもと思って残してるものが多かったんだなぁと。
というわけで今日は趣向をかえて我が家の本棚の歴史漫画を紹介してみようかと思います。
池田理代子「ベルサイユのばら」
ベルサイユのばら コミック 全10巻完結セット (マーガレット・コミックス)
- 作者: 池田理代子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1974/05/20
- メディア: コミック
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王道です。オスカル様です。小学生のころ従姉のおねえちゃんの本棚から借りて読んだときの衝撃、バイトするようになってすぐに大人買いしたあの日を思い出します。
池田理代子さんはこれが多分歴史ものとして一番有名なんだろうとは思うんですが、他にも「栄光のナポレオン」や「女帝エカテリーナ」「女王エリザベス」などの世界史ものも多く、同時期に実在したそれぞれの人物が別の作品に登場していたりしていて、歴史の横のつながりを自然と理解することができたりもします。
栄光のナポレオン―エロイカ (1) (中公文庫―コミック版)
- 作者: 池田理代子
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1997/05
- メディア: 文庫
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モンストで「ナポレオン」の名前を知った次男が先日本棚の前に座って一生懸命読んでました。ルビがふられてないのでちょっと難しかったかもしれません。
女帝エカテリーナ コミック 全3巻完結セット (中公文庫―コミック版)
- 作者: 池田理代子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1994/09/01
- メディア: 文庫
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エカテリーナのかつての恋人のその後を描いた「天の涯まで〜ポーランド秘史」も世界史などであまり登場しないマイナーな部分ですが好きな作品です。
天の涯(はて)まで―ポーランド秘史 (1) (中公文庫―コミック版)
- 作者: 池田理代子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1999/05
- メディア: 文庫
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池田さんの作品は西洋のものだけでなく「春日局」「聖徳太子」などの和ものもありでかなり読みあさりました。
里中満智子「天上の虹」
日本の歴史ではまったのは日本書紀の時代を描いた里中満智子さんの「天上の虹」 。
中大兄皇子の娘である持統天皇の生涯と描いた作品です。資料の少ない時代なので作者の空想の部分もかなりあるんだろうとは思いますがこの時期を扱う漫画は少ないので今も本棚に残してあります。たしか高校生の頃から買い始めて完結したのはつい最近。自分が鸕野讃良皇女(持統天皇)と一緒に成長していったようなそんな思い入れ深い作品でもあります。
「天上の虹」のスピンオフ的な作品として「長屋王残照記」や「女帝の手記」などの続編も出ていて、教科書で有名な平安時代の藤原家の隆盛に繋がる部分を読むことができます。
長屋王残照記 (1) (中公文庫―コミック版 (Cさ1-16))
- 作者: 里中満智子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1998/03
- メディア: 文庫
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女帝の手記―孝謙・称徳天皇物語 (1) (中公文庫―コミック版)
- 作者: 里中満智子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1998/01
- メディア: 文庫
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安彦良和「ナムジ・神武」
持統天皇よりさらに過去、神話の時代を描いているのが安彦良和さんの「ナムジ 大国主」や「神武」。
ナムジ -大国主- 全4巻完結セット (中公文庫コミック版) [コミックセット]
- 作者: 安彦良和
- 出版社/メーカー: 中央公論社
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神武―古事記巻之二 全4巻 完結セット(中公文庫―コミック版) [マーケットプレイス コミックセット]
- 作者: 安彦良和
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- メディア: コミック
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古事記の昔のお話です。
初めて読んだのはかなり前だったと思いますがガンダムのあの絵柄で描かれた神話の神々の美しい絵にもかなり惹かれたのを覚えています。
安彦さんの作品では近代ものの「虹色のトロツキー」も好きです。
山岸凉子「レベレーション(啓示)」
まだ1巻しか出ていないですが「日出処の天子」の山岸涼子さんが描くジャンヌダルク、即買いました。
1巻はジャンヌが村を出るところまで。 山岸さんらしい切り口、続刊を心待ちにしてます。
前述の安彦良和さんもジャンヌダルクを描いています。こちらもお勧め。
余談ですが山岸さんはバレエ漫画も良いですよねえ…
よしながふみ「大奥」
男女逆転の大奥をえがいたよしながふみさんの「大奥」
ファンタジーの要素がかなり強いですが男女が逆転しているという部分以外の史実はかなりしっかりと描かれている印象があります。よしながさんの美しい絵で描かれる見目麗しい男子を楽しめます。
こうの史代「この世界の片隅に」
以前このブログでも描いたことがある、こうの史代さんの戦時中の広島を描いた作品。歴史ものというには近すぎる過去かもしれませんが。
私がこれまで読みあさった戦争に関する漫画の中で唯一と言えるかもしれない「戦争のなかの日常を丁寧に描いた作品」だと思います。戦争を扱う作品にどうしても感じてしまっていた、登場人物たちがなぜか8/15に終戦を迎えることを知っているようなそんな未来人的な雰囲気。それををまったく感じない、戦争のなかで私たちと同じように怒ったり泣いたり笑ったりする家族のさまを描いた名作です。
こうのさんの作品は先に実写化されている「夕凪の街 桜の国」もとても好きです。
原爆を扱う漫画にありがちな凄惨さや悲惨さを前面に出した感じではなく、淡々とした日常に戦争や原爆がじわじわと影響を及ぼしていく様子がこうのさんのやわらかい絵と印象的な言葉で丁寧に綴られています。
竹宮惠子「紅にほふ」
著者竹宮さんのお母さん姉妹をモデルに戦前から戦後までの満州の花柳界やその周辺の様子が描かれています。実在の身内からのお話が元になっているだけあってかなり細かい生活の様子を感じられる作品です。
満州での庶民の生活の様子や戦況が段々と悪化していくさま、終戦直後の混乱や終戦時の立場により違っていた日本への引上げの実情などが詳しく描かれています。
おまけ
私の本棚の隣に並ぶ夫の本棚は私よりさらに歴史漫画が詰まっています。そちらから少しご紹介。
横山光輝「項羽と劉邦」「三国志」
夫が中国の歴史に目覚めたとっかかりとなったようです。ここから夫の中国歴史オタクへの道が始まったのだなぁ…
原 泰久「キングダム」
中国の春秋戦国時代を描いた作品。これはアニメ化もされてたみたいで息子らも一緒に観てました。
王欣太「蒼天航路」
中国の歴史続きで三国志もの、曹操孟徳のお話だそうです。かなりお気に入りの様子でトイレとか寝室とかによく置き去りにされています。極厚という分厚いのが本棚のかなりの場所を占めているようです。
宮下英樹「センゴク」
「センゴク」「センゴク天正記」「センゴク一統記」とかなりの巻数があるようで本棚にずら〜っと並んでいます。
これ、実は私が夫の蔵書の中で唯一読んでいる作品です。
戦国時代の歴史に全く興味を持てない理由を昔夫に問われたときに色々考えてでた結論が「歴史を男の人しか動かしてないから」
それまで読んで来たいろんな小説や観て来た映像ではどれも女性は政治の道具に使われるだけで主体的に動いている姿をあまり感じた記憶が無く、男性主導の時代というイメージでつまらないと感じていたような気がします。茶々様のお話なんかも知らなかったわけではないですが全体的に男性ばかりが活躍しててあまり興味が向かなかった。そんな私に「じゃあこれなら」と進めてくれたのが「センゴク」でした。
絵柄的にも男の人向けの漫画らしく馴染めない部分も結構に多いのですが、茶々様はじめねねやお市の方など知っている女性がなんか良い感じに人間臭く描かれていて新鮮でした。
おわりに
ながながと紹介してきました。たいていがこれをとっかかりにそこから色々と読んだり映像を観たりしていく導入になっていった作品です。子供たちが既に読んでいるものもあればまだのものも。歴史ものにつきものの男女の性愛を描いているシーンが露骨なものも含まれているのでその辺は様子を見ながらという感じです。
内容が史実に忠実でないものやファンタジーの要素が強いものも含まれていますが私は導入になる漫画は必ずしも正確でなくてよいのかなと思っています。興味をもつ、そこから広げる、ということが大事なのかなと思うのです。その結果あの漫画のあの考察は違ってたんじゃないかとかを考えることもまた楽しみの一つなのかなと。
歴史ものの好きな夫もよく映像化されたものを観ながらその表現に苦笑いしたりと思いと違う様子のこともあるのだけど「その時代に生きてた人はもういないわけだから誰が正解かなんて考えても仕方ない、人により色んな解釈ができるところも歴史ものの面白さだから」と言っていてなるほどな〜と。
100ゼロ思考、正しいのは何か、とつい考えがちな私にとってはファジーさを受け入れる柔軟さを培う上でも色んな人が色んな視点から描いた歴史ものをあれこれと読んでみるのは良い訓練になっているのかもしれないなぁと考えたりしています。