はぐれ刑事純情派15 2016.02.04


(安浦刑事)へぇー鯖の味噌煮か。
久しぶりだな。
うん…うまい。
(安浦ユカ)はい。
おう。
なんだいなり寿司も作ったのか?うん。
うまそうだけどさ…鯖の味噌煮とおいなりさんはミスマッチだな。
お父さんはやっぱり白いご飯のほうがいいや。
ねえお父さん…今日は何の日だか忘れたの?えっ…?
(安浦エリ)やっぱり忘れてる〜!あっユカの誕生日か。
なに言ってんの違うわよ!じゃエリお前か?今日はお母さんの命日でしょ。
だから今朝出かけるときに早く帰ってきてねって言ったじゃない。
お父さんはお母さんの命日も忘れちゃうの?忘れたわけじゃないよ。
仕事が忙しくてついうっかり…。
ついうっかりで済むことと済まないことがあるでしょ!ああ〜!お母さんかわいそう!
(エリ)ううっお母さん…!
(エリ)そうやってだんだんお父さんに忘れられていくのね!お父さんだってべつに忘れたわけじゃないよ…。
私たちは死ぬまでお母さんのこと忘れませんからね!お父さん…悪いと思うならお母さんに謝りなさい…!お小遣いでも仏壇に入れておいたら許してくれるかもね。
あっでもコインはダメよ。
お母さん重たいの持てないから。
(2人)ね〜っ!結局こいつらそこに落ち着くわけだ!母さんごめんね。
(パトカーのサイレン)
(里見刑事)あそこから落ちたんですわ。
あの方が第一発見者です。
(高木刑事)…すると毎朝ジョギングでこの公園を通ると?三波死後どのくらいだ?
(三波主任)8〜9時間ってとこか。
じゃ亡くなったのは昨夜の9〜10時の間か…。
(田崎婦警)被害者は高校の先生ですね。
三宅昌也32歳。
都立笹塚商業高等学校教職員…。
(林刑事)殺しだとすると…物盗りの犯行ですかね。
財布が見つかりません。
安さんここの赤いの見てくれ。
血じゃないようだな。
うん。
山手中央署の田崎です。
(今井刑事)今井です。
都立笹塚商業高校の教頭の坂本です。
三宅君の奥さんです。
早速で申し訳ないんですが…確認してくれますか?奥さんはお腹に赤ちゃんがいらっしゃいますし私が…。
よろしくお願いします。
どうぞ。
どうですか?・
(坂本)三宅先生…!奥さん…!学校は笹塚ですよね?三宅先生のお宅は調布ということですが発見されたのは反対方向の新宿だったんです。
どうして三宅先生が新宿へ出かけたのか聞いてませんか?そのことならこちらに来る途中に奥さんから聞きました。
大学時代の友達と飲むから遅くなると電話があったそうです。
(川辺課長)死亡推定時刻は昨夜の午後9時から10時の間…。
課長戻りました。
ご苦労さん。
晴ちゃん様子どうだった?奥さんのお母さんが見えてからなんとか落ち着きました。
続けるぞ。
…死因は頭がい骨骨折による脳挫傷。
血中からはかなりの濃度のアルコールが検出されている。
そこから考えると…自ら誤って石段から落ちたとも考えられるが財布がないんだよな。
課長…ガイシャの三宅さんはどうしてこの公園に行ったんですかね?うん?わざわざ公園へ行く理由が見つからんのですよ。
トイレでも行ったんですかね?それは一緒に飲んでた大学時代の友人に訊けばわかるだろ。
とにかく財布がないんじゃ他殺の線も考えられる。
みんなしっかり頼むぞ!
(一同)はい!三宅先生のクラスの副担任をしていてる野口先生です。
山手中央署の田崎です。
安浦と申します。
では私はこれで。
(野口涼子)どうぞ。
早速ですが…昨日三宅先生と一緒に帰ったそうですね。
はい。
どちらで別れました?笹塚の駅です。
何時ごろですか?6時10分ごろだと思います。
そうですか…昨日三宅先生は大学時代の友人と会うことになってたそうですがそのことで何かお聞きになってませんか?いえ…話したのは生徒たちのことだけです。
三宅先生ってどういう方だったんでしょう?熱心な先生でした。
ああ…お仕事以外ではどういう方だったんですか?えっ…プライベートなことはあまり話さないので…。

(高木)今井さん!おい写真!
(鑑識官)どうぞ。
(高木)三宅昌也…。
課長喜んでよ。
(川辺)なに?財布から前科のある指紋が検出された。
これなかなかのモンだよ。
見て驚くよ。
もったいぶらずに主任…早く言いなさい。
これね…重森澄子58歳。
犯歴はこれ。
昭和48年に詐欺で懲役5年…次が窃盗で懲役3年窃盗で懲役5年詐欺で懲役3年窃盗で懲役5年6か月…!そうなのよ!29歳からシャバとムショを行ったり来たり。
これは相当なシロモンですよ!
(林)すごい人がいますね〜!で今はどっちにいるんですか?
(三波)これもちゃんと調べた。
3か月前に関東女子刑務所を出所してる。
安さん…重森澄子の最初の犯罪ってのはさ銀行に勤めていて男に不正送金をしたっていう…アレだろ。
あー昔そんな事件がありましたな。
…私っ覚えてますっ!私まだ学生だったんですけどねテレビとか雑誌でもうそりゃすごい報道だったんですよ!
(保護司)それが…初めの1か月はちゃんと面会に来たんだがぱったり来なくなったんで心配してるんですよ。
仕事は何をしてたんですか?初めの服役のときに優秀受刑者で炊事係をしていたようでして料理ができると言うので工事現場の賄いの仕事を紹介したんですがそこも1か月ばかりで辞めてしまったそうなんです。
優秀受刑者だったんですか?…そんな人がなんで何回も罪を重ねるようになったのかな…。
(保護司)さあねえ…。
家族とはどうなってるんですか?絶縁状態のようで…今さら顔を見せられた義理じゃないんでしょ。
(現場責任者)もう参りましたよ〜。
辞めるんなら辞めると言ってくれればこちらも補充を考えるのに急にいなくなっちまうんだから!本当は嫌だったけど保護司の方がどうしてもと言うから雇ったのに。
それで重森澄子さんの行く先に心当たりありませんか?さあ…わかりませんね。
ああ内山さん!刑事さんなんだけど…重森さんの行く先に心当たりはないかって。
どこかに知り合いがおるとか昔どこにおったとかそういう話は聞いてませんかね?
(内山)一緒にいたのはひと月ぐらいだったんですよ。
それにあんまり昔の話はしませんでしたねぇ。
(店員)いらっしゃいませ。
(ATM)「暗証番号を入力してください」
(重森澄子)45年…4月9日…。
(ATM)「金額を入力してください」20万円…。
(ATM)「手続きをしております。
しばらくお待ちください」
(ATM)「ご利用ありがとうございました」やった〜っ!!
(里見)重森澄子の弟が川口におるというので行ってみようかと…。
話を訊きにか?はい。
ムダだよ。
それよりまず聞き込みだ。
行け!
(高木)戻りました!
(川辺)おう。
課長。
重森澄子なんですが現場の公園に半月ほど前から寝泊まりしてたそうです。
写真で確認を取りました。
やっぱりだ!重森澄子はガイシャが酔っぱらってるとみて財布を取ろうと思ったんだよ。
ところが相手に気づかれてそれで2人が争ってるうちに石段から突き落とした…!・
(電話の音)はい刑事課。
…そうですか。
場所は?…南池袋。
(高木)この人じゃなかったですか?あ…はいそうです。
どっちへ行きました?さあ…?初めて来た客かな?
(店員)多分。
初めて見たんで。
防犯カメラのビデオを見せてもらえますか?じゃ店長に訊いてきますね。
山手中央署まで連絡してください。
(里見)よろしくお願いします。
(フロント)いらっしゃいませ。
(里見)山手中央署の者ですが。
事件がありまして…この女性が来たら知らせてもらえますか?林。
次どこや?…ここですね。
どうしました?…うん?あ晴ちゃん…重森澄子なんだけどさあれだけ前科がある女が自分の指紋をふき取らずに盗んだ財布を不用意に捨てたりするかね?それとコンビニだってね監視カメラがグルグル回ってることぐらい知ってるだろう。
そうなんですよね…。
そんなことに気が回る女ならね…何回もムショに入ったりしない。
(三波)よう安さん。
おう。
ガイシャの襟についてた赤いもの分析結果が出たよ。
何だ?口紅だ。
口紅?コンビニで売ってる一番安いやつだ。

(電話の音)はい刑事課。
…はいわかりました。
重森澄子が池袋のビジネスホテルに現われました!里見たちに連絡しろ。
はい!ここです。
(ノックの音)重森澄子さんですね?
(澄子)そうよ?窃盗容疑で逮捕状が出てます。
…早かったわね。
あなた今日南池袋のコンビニでお金をおろしましたね?ああ。
夜中でもおろせるんだってね。
便利になったもんだ。
(晴子)ホントそうですね…。
でそのキャッシュカードですけどどうやって手に入れました?財布に入ってたのさ。
財布は捨てたけど現金とカードはもらっておいた。
その財布はどうやって手に入れました?昨夜公園でさ…。

(三宅昌也)〔…おい!?待てっ!〕〔おいっ!〕〔返せ…!〕〔ウワッ…!?〕それからどうしました?さっさとヤサを引き払ったさ。
財布はどこに捨てたんですか?
(澄子)公園のごみ箱。
どうして財布の指紋をふかなかったの?あんたほど何回も警察のやっかいになってる人がさ指紋から足がつくことぐらいわかりそうなもんでしょ。
あわててたから気がつかなかった。
アッ…ツ…!どうかしましたか?なんでもないよ…。
ウウッ…!事件発生から24時間で全面解決…さすが山手中央署の刑事課だ!安さん…常にこうありたいもんだね。
どうもこの口紅が気になるんですよ…。
口紅って?ガイシャの襟にくっついていた口紅ですよ。
重森澄子は口紅なんかつけてないんですよ。
…それはさあ飲みに行った先でホステスなんかとイチャついてそれでついたんですよ!そうに決まってますよ!
(内山)どうぞ。
どうも。
重森さんなんですが…どこか体が悪いんじゃないですかね?何かお聞きになってませんか?本当はねここでの仕事もできないぐらいに悪かったんですよ。
でどんな病気だったんですか?リウマチですよ。
もう痛そうで痛そうでねぇ…。
(内山)見てるこっちのほうが助けてほしかったぐらい。
そうですか…。
(横溝署長)じゃあ何か?重森澄子は刑務所に戻りたくてやってもいない殺人を自供してるというのか?しかし安さん…刑務所って場所は規則ずくめで食いたいものは食えない。
行きたいところには行けない。
そんな不自由な場所へすすんで入りたいと思うヤツがいますか?そりゃ万に一つはあるかもしれないけど今回は違います!いやいや課長…この30年近く彼女はシャバの暮らしよりもムショの中の暮らしのほうが多いわけですよ。
ムショの暮らしには慣れてるでしょう。
課長がおっしゃるとおりムショにはいろんな規則があります。
しかしシャバには規則がありません。
ですから彼女はかえってシャバでは生きていきづらいんじゃないでしょうか?ままあ…そんなことはどうでもいいんだよ。
署長。
じゃあ三宅を誰が一体殺したかが問題なんですよ!課長の言うとおりだ。
あっ…君たちにちょっと話を訊きたいんだけど。
(絵美)こんなところで商売してると警察に捕まるよ。
警察!?
(絵美)三宅先生のこと?
(美紀)ああウザイよね〜。
スカート短いとか化粧するなとか。
(美紀)嫌なら見るなっての!へぇ…マジメなんだ。
んー口ではね。
体育のときなんかさ女子の体ジロジロ見るし…。
あいつぜったい女好きだよね!
(絵美)バスケ部の女子なんて教えるフリして触られてるらしいよ〜。
でも2年になってからクラブ出なくなったっしょ。
野口が副担任になったからさ。
(絵美)野口に気があるの見え見えなのにカッコつけちゃってさ。
野口っていう若い先生を?はい。
あの子たちの見る目って案外正確なんじゃないかと…。
田崎君。
はい。
ガイシャが飲んでた店の特定を急ぐように連絡してくれ。
賄いの仕事を一緒にしてた内山さんから聞いたんだけど重森さん…あんたリウマチが相当ひどいらしいね。
そうなんだよぉ〜刑事さん。
シャバにいたら医者に行くにも金が要るだろ。
ムショならみんなタダでやってくれるじゃないか。
痛くてしょうがないんだよ〜。
早くムショに送っておくれよ。
じゃああんた…刑務所の中でリウマチの治療をしたいために人を殺したっていうんですか?…そうじゃないでしょ。
あなたはたまたまあの殺人の現場に居合わせて犯人が去ったあとで男から財布を抜き取ってでお金をおろした…ただそれだけじゃないのかね?ハッ…!アホらしくて話す気にもならないよ。
しかしまあ…もし刑事さんが言うことが本当だったとしてもそれでいいじゃないか。
いやよくありませんね。
そろそろ本当のことを言ってもらわないと。
妙な刑事だねぇ〜!刑事っていえばみんなやっただろ!?やっただろ!?って言うもんだと思ってたらこっちが「やった」と言ってんのに「やってないだろ」なんて…。
フッ…長いこと生きてるとおもしろい人に会うもんだ…。
あんたも運が悪かったね。
私はねヘソ曲がりで通ってるんだよ。
犯人が「私がやりました」と言うと「いやそうじゃない」「やってないんじゃないか」って思いたくなるたちでね。
バカ言ってないでさっさとムショへ送ってくれよ!私にはもう…誰も気にかけてくれる人なんていないんだ…。
ムショに入ろうと道ばたでおっ死んでようとだーれも気にかけやしないんだ…。
(片桐由美)そうだったんですか…。
どうしたの?今日はペースが早いのね。
そうかね?…いつから日本はさ刑務所の中よりも冷たい国になっちまったのかと思ってね…。
刑務所の中よりも冷たい国?うん…刑務所に入りたくてねやってもいない罪をやったと言い張ってる女がいるのさ。
あら…その人世の中がそんなにつらいの?いつから日本はこんなふうになっちまったのかねえ…。
その人家族はいないの?うん…いるらしいんだけどさ絶縁状態らしいんだ。
そう…本当は家族に会いたいと思ってるはずよ。
なにがあったかわからないけど家族に受け入れてもらえないから意地になってるんだわきっと。
しかしさ他人よりも家族のほうが難しいっていうからなあ…。
そこをなんとかしてあげるのが安浦さんじゃないの。
そんなふうに言ってないで頑張ってよ。
う〜ん…。
頑張るって約束してくれたら次の1本私のおごり。
えっ!?ありがたいねぇ〜。
ママがそう言ってくれるなら俺は明日からも頑張れるよ!…だから1本とは言わずにもう1本。
もう…ゲンキンなんだから〜!
(2人笑い)
(重森孝雄)重森です。
お忙しいところ申し訳ありません。
山手中央署の里見といいます。
殺人!?本人は自分がやったと自供してるんですがしかしお姉さん…本当はやってないんやないかと思うんですわ。
ならなんでやったなんて?それだけあの人の今の生活はつらいんです。
刑務所から出ても身寄りはいないし話し相手もいないんです。
それにリウマチだし…。
どうですか?署まで面会に来てもらえませんか?それは…できません。
刑事さん…姉のことで両親や私がどんなに嫌な思いをしてきたかわかりますか?両親は事件がわかるとすぐに東京から夜逃げ同然でこっちへ引っ越してきました。
私はそのときはもう家を出ていましたが結局居づらくなって会社を辞めてしまいました。
女房と結婚するときもむこうの両親の大反対にあいましてね。
親父やおふくろがあんなに早く死んだのは姉のことでの心労が原因だと思ってます。
それでもね…最初の事件で更正してくれるならこんなことは言いません。
いちいち訊いてませんがそのあとも何回か警察のお世話になってるでしょう。
冷たいと思うでしょうが私には姉はいないと思ってます。
身内の人間でもいい。
友達でもいい。
もうちょっと彼女のことを真剣に考えてくれるヤツはいなかったのかね?そうですよねぇ…。
彼女初犯のときは模範囚だったっていうじゃないですか。
なんでこんなことになっちゃったのかねぇ…。
最初の刑を終えてから2度目の罪を犯すまで結構間があるんだよな…。
(園長)ここで働いてくれたのは半年ぐらいでしょうか…。
よくやってくれたのにあの人には申し訳ないことをしてしまって。
それはどういうことでしょうか?給食を作ってもらってたんですが仕事は速いしコストのことまで考えてくれていい人に来てもらったって喜んでたんですけどねぇ…。
それがあの人の過去のことが子供たちのお父さんやお母さんの間で噂になりましてねぇ…。
そんな人を使うならうちの子はよその幼稚園に変えるなんて人もいて…。
結局辞めてもらうしかなかったんです。
あーそういうことだったんですか…。
親元へは帰れないからどこかで仕事を探すって言ってました。
(バーテンダー)えーえー覚えてます。
誰かと一緒だったと思うんですがどんな人でした?若い女性の方でした。
若い女性?間違いありませんか?ええ。
あちらのカウンターにお2人で。
(ママ)澄ちゃんにお金を貢がせてた男がいてね。
で澄ちゃんからこれ以上出ないとわかったら今度は澄ちゃんのお客から取ろうってことになったワケ。
バカでしょ〜?…でもねあっさり捕まっちゃって澄ちゃんは前科があったからそのまま刑務所へ直行。
…しかしあの人はなぜそんなことを?うーん…まああのころの澄ちゃんはヤケになってたわね。
そのちょっと前にお父さんが亡くなったんだけどお葬式にも呼んでもらえなかったって澄ちゃん泣いてたわ。
まあ家族としては親戚が集まるから澄ちゃんを見せたくなかったのかしらね…。
結局寂しかったのよね…。

(玄関のチャイム)はい?・山手中央署の安浦です。
ちょっといいですか?夜分にどうも恐れ入ります。
ちょっとお時間いただけますか?家に帰ってから毎晩あのように勉強してるわけですか。
ええ…。
教員採用試験の準備なんです。
私教員免許は持ってるんですけど採用試験に受からなくて…臨時採用なんです。
あーなにかと大変ですねぇ。
…ところで3日前の夜ですが三宅先生と一緒に新宿の「FESTA」ってお店に行きませんでしたか?…いえ。
そうですか…いや店の従業員は一緒に来た女性の顔をもう一度見ればわかると言ってるんですがね。
…行ってません。
(婦警)終わったら呼んでください。
(うめき声)どうですか具合は?…リウマチが痛むのかね?今晩泊まっていけって言うんだけど…ダメだよねえ?いや…いいでしょう。
でも…逮捕されてるんだよ?自分で刑務所に帰りたいって言ってる人だからまさか逃げたりはしないでしょう。
本当のことを言ってくれないかな?みすみすほかに犯人がいるとわかってるのに警察はね別の人間を刑務所に送るわけにいかんのだよ。
もしだよ?刑事さんの言うとおりほかに犯人がいるとするとでもその人はムショに行きたくない。
私は行きたい。
誰も困らないじゃないか。
事件も解決して警察も喜ぶ。
みんな喜ぶんだよ。
警察はそんなことじゃ喜ばない。
私はムショの暮らしに慣れてるし外にいたって家族や友達もいない…。
そうだろ?刑事はね本当のことを突き止めるために毎日足を棒にして歩き回ってるんですよ。
私がやった。
それが本当のことだよ。
まったく…!逮捕した容疑者を勝手に入院させたりして!逃亡でもされたらね大ごとになるんですよ!?逃げてくれるんならこんなに困ったりしませんよ。
(三波)安さん。
よう。
昨夜安さんから預かったストローの口紅…ガイシャの襟元についていた口紅と同一だった。
ちょっと待て。
そのストローの口紅って何だ?昨夜野口涼子さんと一緒にお茶を飲みましてね。
ああそういうことか…。
しかし同じ口紅を使う女なんて山ほどいるんだよ。
それだけで逮捕状はムリだ。
里見さん…これを下の受付から預かってきました。
課長…重森澄子の弟さんからです。
おい…安さん!
(澄子)「姉さんに人を殺すことなんかできない」「そんな罪を犯す人ではない。
私にはわかっています。
孝雄」どうですか…。
ご両親は最後まであなたのことを心配していた。
お母さんはお父さんの葬式にあなたを呼ばなかったことを最後まで悔やんでおられた…。
そう書いてあるでしょ?どうですか?一度ご両親のお墓参りをなさったら。
弟さんもね心の底ではあなたのことを思ってると思うんですよ。
そろそろ本当のことを言ってくれませんかね?…はい。
私がやりました。
安さんがお手上げだって言うんだから相当な頑固者だな。
(婦警)失礼します。
重森澄子に面会の方です。
こちらに重森澄子さんという人がいると聞いて伺ったんですけど…。
あなたは?坪井香織といいます。
どういうご用件ですか?これを重森さんに食べてもらおうと思って…。
差し入れですか?
(香織)ええ私が作ったんです。
どうぞおかけください。
重森さんとはどういうご関係ですか?「つばさ幼稚園」でお世話になった者です。
…と言っても重森さんは覚えていないと思います。
あの…重森さんがここにいるというのはどうやって…?つばさ幼稚園の園長先生から電話をいただきました。
重森さんの居所がわかったら知らせてくださいとお願いしてあったんです。
器は差し上げますからじゃあ食べてもらってください。
食べられません。
どうしてですか?こんなおいしそうなものを…。
食い物で釣ろうなんて考えてませんから遠慮しないで。
豆ご飯に小芋に人参菜の花…栄養のバランスが良さそうですな。
どうしてこのお弁当がここにあるのかそれがわかるまでは食べられません。
(香織)これ私の年少組のときの連絡ノートなんですけど中学のとき部屋を片づけてるときに見つけて懐かしいなと読んでたんですけどこんなことが書いてあって…。
読んでもいいですか?ああどうぞ。
「今日お部屋に入ってるとすぐに香織ちゃんが新しいお箸を買ってもらったと言って見せてくれました」
(幼いころの香織)〔先生見て。
新しいおハシ買ってもらったの〕
(先生)〔本当に?ちょっと見てもいい?〕
(香織)「でも献立表を見たらパンにカレーシチューフルーツポンチでお箸を使うものがありません」「困ったなと思って職員室でその話をしたら給食係の重森さんがあり合わせの材料でもう1品作りましょうとほうれん草のおひたしを作ってくれました」〔香織ちゃん良かったね〕〔うん!〕「香織ちゃん新しいお箸はどうだったかな?」私…お料理を作ることで人を幸せにできるんだなーと思ってそれでお料理に関係した仕事に就こうと思ったんです。
それで栄養士さんになられたんですか。
はい。

(香織)栄養士になったらいつか重森さんに私の作った料理を食べてもらおうと思って園長先生に頼んでおいたんです。

(晴子)それで差し入れを持ってきてくれたんだ。
うれしいじゃありませんか…あなたのことをちゃんと覚えていてくれた人が1人いたわけだ。
この香織ちゃんという子は今はもう大きくなりましてねちょうど先生と同い年ぐらいかな。
この短い文章を読んで栄養士になりたいなと思ったそうなんです。
今は目的を達成して国立病院の栄養士さんになったそうです。
私はこの話を聞きましてね…こういう話こそ大人が子供たちに伝えてやるべきじゃないかと思ったんですよ。
あなたには早く本採用の先生になっていただいて子供たちに教えてやっていただきたいんだ。
算数や国語も大切でしょう。
しかしこの香織さんのようにいつまでも忘れない感謝の気持ち。
それから重森さんのちょっとした思いやりの気持ち…。
そういったことを子供たちに教えてやるのが先生の仕事じゃないかと思いましてね。
今日はこの話を聞いてほしくてやって来たわけなんです。
じゃ私はこれで…。
あの…刑事さん!お話したいことがあるんですけど…。
私年齢制限で採用試験を受けるの今年が最後のチャンスなんです。
三宅先生はそれを知ってて教育委員会に知り合いがいるから頼んでやるって…。
それで?あの日はその教育委員会の人に紹介してくれるというのでついて行ったんです…。
〔ごめんごめん。
斉藤のやつ急に会議になっちゃったらしくて〕〔せっかくだから飲んで行こうよ〕
(涼子)店を出て駅へ向かうときも公園の中を通ろうと言い出して…。
〔野口君〕〔やめてくださいっ!〕〔待ってよ!〕〔やめてください…!〕〔野口君!…ウワッ!?〕〔三宅先生…!?三宅先生…!?〕〔早く逃げな!〕〔この男が悪いんだから早く逃げな!〕〔いいかい?警察が何か言っても知らないって言うんだよ〕〔さっ早く逃げな!〕新聞であの人が警察に捕まってるって知って何度も本当のことを言おうと思ったんです…。
でも…でも…子供のころから夢だった教師の道をあきらめきれなくて…。
…あんたが悪いんじゃない!こんなことで自分を卑下しちゃだめだよ!そりゃあ陰口をたたくヤツがいるかもしれないけど…そんなヤツは何もわかってないアホたれだ!
(澄子)誰が何て言ってもこの私だけは世界中で1人になってもあんたの味方だからね。
覚えておきな!ありがとう…!とうとう嘘がバレてしまったね。
でもあの男の金を盗んだのは本当だからね。
立派な窃盗罪だ。
それも野口涼子さんを救うためのね。
今度はムショへ入らなくて済むように私からも頼んでみよう。
何言ってんだい!?余計なことしないでくれよ!シャバも慣れるとなかなかいいもんだ。
もう少し外で暮らしてみる気にはならんかね?ホントに変な刑事だねぇあんた。
(笑い)彼女の体でこのシャバで1人で働いていくというのはとうていムリだと思うんです。
しかしですね課長…彼女はこれから生きていかなきゃなりません。
何かこう彼女に生きていく勇気を与えてくれるような働き場所はありませんか?うーん…しかしね安さん。
カードで金を引き出したこと。
財布を盗んだこと。
こういう問題に関しては私の立場じゃどうもね…。
そうですか…処理できませんか。
難しいなあ…。
こうなったらですねもう署長の判断に任せるしか…。
うんっうんっ!…署長いかがでしょうか?…そうきますか。
はいっ!安さんが張り切ると仕事が増えるね。
わかった…重森澄子のことは今晩3人で考えよう。
…久しぶりに行くか?ありがとうございます。
この問題に関しては徹夜で考えましょう。
一杯やりながら。
(一同笑い)ただいま〜…アイタッ!なんだ…休み明けの皆さんは寝たのかー?エリユカケーキだよー!起きてこぉい…。
おかえり。
…やった!紅茶いれるね。
気がきくじゃなーい!署長が買ってくれたんだよ。
なんだそういうことか。
ユカ…ユカ…お前ね小さいときから箸の使い方がヘタだったんだユカ。
それを直すのにひと苦労した…!なによ急に?いや…箸を持っていったらカレーだったんだよ…それで!栄養士になろうと思ったワケだよ…。
それが連絡帳に書いてあった…!中学のときに見つけたんだ…!…聞いてるかっお前たちっ!?聞いてるよ。
そうか…人間というのはいつまでもそういう思いやりを忘れちゃいかんということをお父さんは言ってるんだ!2016/02/04(木) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
はぐれ刑事純情派15[再][字]

「刑務所に入りたい女!?赤い口紅の殺意」

詳細情報
◇出演者
藤田まこと、眞野あずさ、梅宮辰夫 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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