空前のラグビーブームに日本中が沸くいま、”強い”ジャパンを作り上げたある銀行マンの生涯が、ビジネスパーソンからの熱い共感を集めている。
宿澤広朗、天才ラガーマンにして三井住友銀行専務取締役。1989年、世界8強のスコットランドを相手に日本代表の歴史的勝利を導いた名監督だ。その知られざる苦闘の生涯を掘り起こした傑作評伝が、彼の没後10年を経て文庫化された。
加藤仁『宿澤広朗 運を支配した男』より、第一章「伝説の男」を公開!
28000人の「シュクザワ」コール
その日、5月28日は、日本のラグビーファンにとって、どれほど幸せな一日であったことか。宿澤が代表監督をつとめるジャパン(代表チーム)の初陣、テストマッチに日本全国のラグビーファンが酔いしれた。
対戦相手は、世界ラグビーの最高峰に位置する強豪スコットランドである。国際ラグビーボード(IRB)の宗主国の8強(イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド、フランス、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド)と日本のテストマッチは、昭和46年以来おこなわれてきたが、それまでの18年間、日本代表は一度も勝ったことがなかった。
ところがその試合は、前半の開始早々から好タックルでスコットランド代表の動きを封じ、山本俊嗣(サントリー)のPG(ペナルティゴール)で先行した。そのあと17七分に吉田義人(明治大学)が初トライ、日本代表が前半を14点差でリードするという予想外の展開を見せた。
後半に入るとスコットランドが猛反撃に転じたが、耐えに耐えた日本が28-24でノーサイドに持ちこんだ。28戦目にしてラグビー宗主国にはじめて勝利をおさめたのである。28000人の観客からは「シュ・ク・ザ・ワ、シュ・ク・ザ・ワ」「万歳、万歳」の大合唱が巻きおこり、宿澤広朗の小柄な身体が二度、三度と宙に舞った。
「お約束どおり勝ちました」
これが試合後に発した宿澤の第一声であった。
-
五郎丸歩 独占インタビュー 「僕はいま、“失敗”したい」(2016.01.07)
-
なぜ日本の男は苦しいのか? 女性装の東大教授が明かす、この国の「病理の正体」(2016.01.28)
-
ラグビー「ブライトンの奇跡」〜エディ・ジャパンの通訳とメンタルコーチが明かす歴史的偉業の舞台裏(2016.01.09)
-
「ナッツ類」があらゆる死亡率を下げる! ダイエットや便秘予防にも効果アリ、その偉大なパワーとは(2016.01.30)
-
なぜ能力の低い人ほど自分を「過大評価」するのか(2016.01.19)
- 日本ラグビーの歴史を変えた伝説の銀行マン〜1989スコットランド戦勝利の舞台裏 (2016.02.04)
- ブッダの教えは「ニートになれ」だった!? ほんとうの仏教は、こんなにヤバくて面白い(2015.12.25)
- スピンク(犬)が見た作家・町田康の仕事ぶり……「小説の執筆と言いながら、何しているの?」(2015.11.23)
- 町田康さんの犬が日記を書いた!?「スピンクです。小説家の主人・ポチは外見的には人間ですが……」(2015.11.22)
- 【特別公開】町田康『スピンク日記』「私はスピンクといいます。犬です。小説家の主人・ポチと楽しく暮らしています」(2015.11.21)
- 勝新流ギャンブル、セックス、女の口説き方 ~最後の「弟子」が見た勝新太郎・男の生きざま (2015.10.23)