(ピアノ)
(ピアノ)
(宮部たまき)あら…。
ほんとごめんなさい。
(神戸尊)あ…いいえ。
まさかそんなにダメとは思わなくて。
そのタイトルでまさかホラー映画とは僕も思いませんでした。
確かに杉下さんは興味ないでしょうね。
そうなんですよね。
でも私はこういうの大好きなんです。
ねえあのシーンすごかったですよねぇ。
え…?井戸から水をくみ上げたら入っていたのは水じゃなくて…!うわぁ!うぷっ…。
ちょっとすいません…。
(パトカーのサイレン)
(前川剛)大丈夫なんだろうな?10時までの約束だぞ。
(ドアが開く音)
(伊藤正隆)問題ありません。
あぁ失礼。
(米沢守)あっ杉下警部。
今日はお1人ですか?
(杉下右京)神戸君はもう帰ってしまったあとでしたから。
今夜は何か予定があるとかで。
あぁ…。
さてはデートですかな?さあどうでしょう。
射殺ですか?午後8時20分頃近隣住民から破裂音が聞こえたという通報がありまして。
8時20分という事は事件発生からさほど時間は経っていませんねぇ。
ええ。
所轄の警官が聞き込みに行ってますが今のところ有益な情報は入ってきてませんね。
身元については?携帯電話や財布など身元につながるような所持品は一切見つかってません。
なのでこちらのビルの管理会社の方に遺体の顔を確認してもらったところこの部屋の借り主の奥田徹さんだという事がわかりました。
即死のようですね。
で僕に聞きたい事というのは?あっちょっとお待ちくださいませ。
被害者の口の中からこのようなものが。
口の中から?ええ。
被害者のダイイングメッセージだと思ったんですが…。
即死という事は被害者本人が口の中に入れる事は不可能だった。
…という事は犯人がやったという事になるんでしょうか。
明永楽青花葡萄文様皿…。
景徳鎮ですねぇ。
2000万ですか。
かなり高額の商品を扱っていたようですね。
買ったのは北野貿易とありますが…。
すでに一課のお三方が聞き込みに向かっています。
(ピアノ)失礼しました。
大丈夫?はい。
まあなんとか。
(ピアノ)
(伊藤)いかがでしょう?
(ピアノ)
(坂本康平)いやぁ〜…。
何度見ても素晴らしいなあ。
さすが伊藤さんが持ってきただけの事はありますな。
まずこれは坂本様にと思いまして。
どうかしました?あぁいえ…。
あのお皿景徳鎮ですよね?景徳鎮って中国の陶磁器の?ごめんなさいよくわからないの。
景徳鎮は明や清の時代には宮廷でも使われヨーロッパやイスラム圏にも輸出されました。
古いものになると数千万円もするんです。
あら〜神戸さんよくご存じで。
ああ子供の頃祖父が持っていてその受け売りです。
祖父?ひょっとして神戸さんっていいとこのお坊ちゃんだったりして。
そんな事…あったりなかったりで。
使用された拳銃については何かわかりましたか?ええ。
9ミリマカロフ弾です。
中国製のものは通称赤星とも呼ばれていて2001年以降トカレフを抜いて暴力団からの押収量がトップに上がってる拳銃です。
なるほど。
発砲音と共にすぐに騒ぎになったので所轄の警官も10分以内に到着してます。
しかしこのような場所で発砲をすれば騒ぎになる事ぐらい簡単に予想出来たはずですがねぇ。
…おや。
これは?あぁ…見てのとおりの板チョコですが。
なぜか中身だけこのビルの外に落ちてました。
ビルの外に?ええ。
外箱と銀紙はこの部屋の隅で見つかってるんですが…。
事件と関係あるのかどうか…。
妙ですねぇ。
妙ですなぁ。
(ピアノ)どうしました?あ…。
あの景徳鎮の男さっきレストルームで別の男と一緒にいたんですよ。
あの一緒に座ってる年配の男性じゃなくて?後ろに立ってる男です。
お知り合いなのに変ですね。
はい。
どうも気になりますねぇ。
右京さんみたいですね。
はい?ふふ…。
じゃあ私は行きますね。
えっ?お仕事頑張ってください。
ああここは…。
すいませんお送りも出来ずに。
いいえ。
いかがでしょう。
骨董は一期一会と申します。
困ったねえ〜。
あのね女房に道楽はいい加減にしろって言われたんだよねこの間。
これは立派なお皿ですねえ!あはっ…。
景徳鎮ですね?しかもかなり古い。
あぁ…わかりますか?そう!あの明!明の時代のものです。
明代の!祖父が大の骨董好きでして。
その影響で僕も少々…はい。
へえ〜!おじいさん!いやはやどこにでも同好の士というのはいるもんですなあ!神戸です。
すいませんついつい気やすく…。
いやいやなんのなんの。
あの骨董好きでしたら大歓迎ですから。
私坂本と申します。
不動産業を営んでおります。
おたくは?ええまあ色々と事業を…はい。
ああ〜そうですか。
お若いのに大したもんだ。
いや…あっ家業を継いだだけですから。
…あっすいません。
名刺切らしちゃって…。
いやいやいや結構ですよええ。
え〜こちらはですね美術商の伊藤さんです。
神戸です。
伊藤です。
よろしかったらもう少し近くで拝見してもいいですか?
(坂本)ああ!
(伊藤)申し訳ありませんが…商談中ですので。
(坂本)いいじゃないですか。
このお皿のですよ価値のわかる方なんですから。
それにね私背中をポンッと押されないと決心出来ないような気がするんですよ。
坂本様がそうおっしゃるなら。
では失礼します。
はぁ〜…。
(ピアノ)チョコレートが落ちてたのはあの辺りですね。
あぁ…。
ここから投げ捨てたのでしょうねぇ。
トイレに閉じ込められて助けを呼ぼうとしたんでしょうかねえ。
しかし助けを呼ぶのになぜチョコレートでしょう?手元にそれしかなかったからとか。
しかし箱と銀紙は部屋の中で見つかった。
…謎ですなぁ。
おや。
はい?随分無用心ですねぇ。
はい。
(角田六郎)いいねえ暇な部署は早く帰れて。
よいしょっと。
(大木長十郎)さぼってないで課長も手伝ってくださいよ。
3日後には一文字会のガサ入れあるんですから。
さぼってんじゃないの。
コーヒーブレーク!わかんないかなもう〜!頭ん中お前すごい回ってるんだから今。
ロックはされていますがこれではロックの意味がありません。
(米沢)奥田徹…。
やはり被害者の車のようですね。
そのようですねぇ。
…おや。
「北野貿易北野社長」8日12時。
今日ですね。
(北野清志)小さな商社ですがアジア方面を中心に貿易業をやっております。
(伊丹憲一)こういった美術品なんかも扱ってらっしゃる?
(北野)ええ。
バブルの時に買われた作品を買い取って中国で競売にかける事があるんですよ。
最近ではあっちの方が高値がつくんで。
ハッハッ。
あっそれが何か?
(伊丹)奥田徹さんっていう方ご存じですよね?奥田…?
(三浦信輔)最近取引されたと思うんですけど。
ああああ美術商の。
先ほど遺体で発見されました。
えっ…?どうして?
(三浦)それを調べてる最中でして。
何か心当たりはありませんか?いや…そう言われましても…。
(山村直樹)ええ。
取引したのはひと月以上前ですしそれ以来会ってませんし…。
(携帯電話)失礼。
(携帯電話)
(ため息)はい伊丹。
現場付近で被害者のものと思われる車を見つけました。
中に手帳があって今日のお昼12時に北野貿易の社長と会う予定だったようです。
ほう〜なるほど。
一応ご報告しとこうかと思いまして。
それでは。
(伊丹)「ちょっと待った」また呼んでんじゃねえんだろうな特命係。
まさかめっそうもない…。
(携帯電話を切る音)
(伊丹)今現場にいる人間から連絡がありまして。
北野さん。
今日の昼被害者に会う約束をしていたそうじゃないですか。
(芹沢慶二)ん…?さっき取引以来会ってないっておっしゃってましたよねえ。
いや…何かの間違いでしょう。
いやそんな約束してませんよ。
本日午後8時20分頃どちらにおられました?今日は夕方からずっとここにいました。
そうだったよなあ?はい。
間違いありません。
親しく取引させてもらってる関連会社の鈴木さんとここで商談してました。
実は遺体の口の中からこの納品書の控えが見つかったんですよ。
…口の中から?
(三浦)ええ。
その取引で何かトラブルがあったんじゃないですか?私をお疑いですか?いえ。
そういうわけでは…。
もし私が犯人ならなぜ自分の名前の入ったものを死人の口の中に入れなきゃならないんです?いや〜色合いといい光沢といい…素晴らしいです!そう思われますか?はい。
しかしこのような逸品一体どこで手に入れたんですか?長くおつきあいしている資産家の個人コレクターがいらっしゃいまして。
その方ですねこれをもともと2000万でお買いになったそうです。
2000万で?この品は永楽帝が側室に贈ったもので本来博物館に入るところをある富豪が買い取った事で出回ったそうです。
つまり美術的価値だけではなく歴史的価値も含まれてるんですよ。
まさに骨董道楽の極みです!ええ。
それをですね今回半値で譲って頂けるっていうんですよ。
えっ半値で!?すごいでしょ?ね?あぁ〜そうなんです。
ただ…誰でも買えるというわけではありません。
条件があります。
現金払いなんです。
事情があって急に入り用になられたそうで。
資産家といってもキャッシュをお持ちとは限りませんので。
なるほど…。
その方有名な収集家だったりして。
ちなみにお名前は?あっそこはご勘弁を。
愛着ある品を手放さなければならない先方のご事情もありますから。
…ですよね。
ですよねうん。
坂本様のような価値のわかる方の手に渡れば先方も安心なさると思うのですが。
うまいなうまいな〜。
これじゃねだんだんだんだんだんだんねえ!買わなきゃならなくなっちゃうじゃないですかねえ!
(携帯電話の振動音)ちょっと失礼します。
ちなみに伊藤さんとはどこで出会ったんですか?あぁ3か月ほど前です。
競売会場で私が競り落とした品があったんですよ。
それを伊藤さんも狙ってたって言うんです。
で私に骨董を見る目があるなんて事を言ってくれたんですよ。
それ以来いい話があるとこう持ってきてくれるんです。
でもいくらなんでも半値とは…。
逆に心配にならないですか?でもね時々あるんですよ。
掘り出し物といわれるものが。
前にもね30万の掛け軸が15万で譲って頂けたんですよ。
ねえ。
…でね言われるとおり最初は疑うじゃないですか。
で私伊藤さんに内緒で鑑定に出してみたんです。
そしたらいくらだと思います?いや〜。
50万ですよ!はは〜。
こんな時に何してるんだよお前!誰だあいつ!さっきここですれ違った男ですよ。
骨董に興味があるとか言って突然割り込んできたんです。
そんなやつさっさと追い払えばいいだろう!客が座らせたんです。
無理に拒否するのはかえって不自然でしょう。
僕はプロです。
任せてください。
盗品?いや実は最近知り合いがだまされましてね。
何十万円もする茶壷を買ったんですがあとになってそれが盗まれたものだったってわかったんですよ。
気の毒だなあ〜。
ダメですよそんな簡単に信じちゃ。
骨董は難しいんですから。
ですよねぇ。
ただその人最初にですね10万円の壺を5万で売ってもらってそれがまた高値で売れちゃったもんだからこれ信じちゃったらしいんですよ。
はぁ〜そりゃまた…。
いや〜何十万円の壺で済んでよかったかなあ。
うん。
今回のような値段だったらどうします?どうされました?あの…真贋を見極める方法っていうのはないですかね?え?真贋…この皿の?いやいや伊藤さんのです。
いやでもさっき信用出来るって…。
(坂本)試してみましょう。
試す?はい。
骨董の話をもう少し突っ込んで聞くんです。
2000万もの商品を扱う美術商でしたらそれなりに見合った知識が必要かなと思うんです。
ああ確かに。
万一ですよ?話があっち行ったりこっち行ったりあやふやだったりなんかしたらですよ?きちっとその時は疑いましょう。
あぁ…。
失礼しました。
どうかしましたか?先ほどからどうも妙ではありませんか?…と言いますと?車はドアがロックされているにもかかわらず窓が開いていてロックを外してドアを開けると手帳が落ちていてそしてそこには「北野貿易」と書かれていた。
…何か不都合でも?逆です。
あまりにも都合よくいきすぎていると思いませんか?まるで誰かが我々の目を導いているかのようです。
つまり何者かが我々の目を北野貿易に向けさせているという事でしょうか?その可能性は十分考えられますねぇ。
ひょっとしたら今回の事件これ…強盗殺人の線もあるんでしょうか。
強盗殺人ですか。
ええ。
(米沢)奥田さんはかなり高額の商品を扱っていました。
真犯人が捜査をかく乱して逃げる時間を稼いでいるとすれば…。
なるほど。
ちょっと戻って美術品が奪われていないかどうか調べてみます。
お願いします。
(携帯電話の振動音)おやなんでしょう。
もしもし。
たまきですけれどまだお仕事中ですか?ええ。
何か?あっよかった。
今日お店をお休みするのをうっかり言い忘れてしまって。
もしひょっとしていらしたらと心配になっちゃって。
臨時休業とは珍しい。
今日神戸さんと一緒だったんですよ。
ほう神戸君と。
まあでも途中でお仕事になっちゃいましたけど。
おや。
仕事というと?そうですか。
とても教養のあるおじいさまだったんですね。
いやぁそんな事はあったりなかったりで…。
あの〜伊藤さんこそこれほどの品を扱われるからにはさぞかし美術にはお詳しいんでしょうねえ。
とんでもない。
私はただの商売人ですから。
またご謙遜を。
いや知識がなければ目利きなんて…。
ねえ?神戸さん。
え?確か景徳鎮はあり…有田焼にも影響を与えてると昔教えてもらった事があるんですけどこれはまた…う〜ん趣が違いますね。
これは永楽期のものですから西暦でいうと大体1400年代初頭。
日本での磁器の生産が始まったのが1616年。
朝鮮半島から帰化した陶工が始めたといわれていますからその違いは年代の差ともいえます。
なるほど。
なるほど。
ちなみに有田焼の最盛期は1690年から1700年にかかる元禄時代でその後金襴手という磁器が一世を風靡する事になります。
景徳鎮では元の時代以降とりわけ嘉靖年間に流行したものです。
神戸さんがおっしゃってるのはその事ですね。
どうですか?いや〜。
さすがに一級品を取り扱ってるだけの事はありますね。
お恥ずかしい限りです。
いや〜安心した!妙な事聞いちゃったからね心配してたんですよ。
ちょっと…坂本さん。
妙な事とは?いやもしかするとこれが盗品かもしれないって事ですよ。
それはまたなんと言っていいか…。
いやいや怒らないでくださいよ。
あの…お友達がですね最近被害に遭われたそうなんですよ。
そして私の事も心配してくださって。
なるほど。
どうも変だと思ってましたが…ひょっとして先ほどの質問は…私が真っ当な美術商なのかどうか試しておられたんでしょうか?いやそんなそんな…。
(伊藤)それで…お眼鏡にはかなったでしょうか?ええもちろんもちろん。
それはよかった。
ああ私はね最初から疑ってはいませんでしたからね。
ありがとうございます。
(携帯電話の振動音)あっ…。
ごめんなさいちょっと。
杉下です。
怪しい男を探っているそうですねぇ。
なんで知ってるんです?たまきさんから聞きました。
ああなるほど。
今丸の内のCOTTONCLUBにいるんですけど骨董品を売ろうとしている美術商がいてその男がどうも怪しいんです。
美術商ですか。
どのように怪しいのでしょう。
伊藤という男なんですけどトイレで別の男と怪しげに話してるところを見たんです。
しかしその2人は客の前では他人のふりをしている。
その伊藤という男が売ろうとしているのは明永楽青花葡萄文様皿明代の景徳鎮ではありませんか?なんでわかるんです?実は僕も今京橋にいます。
京橋。
近いですね。
事件か何かで?美術商が倉庫で射殺されていました。
犯行時刻は8時20分頃です。
美術商が?まさかこっちの男と何か関係あるんでしょうか。
あっこっちの男が美術商を殺して盗んだ景徳鎮を売ろうとしているとか。
まだそちらとの関連性はわかりませんがこちらはこちらで調べてみます。
どうですか?ああ…。
これ商品のリストなんですけども同じ名前の掛け軸が2つあるんですよ。
同じ名前の掛け軸が…。
あっ!おや!これ…同じですなこれは!こんな事ってあるんですか?考えられるのはただ一つ。
被害者の奥田氏が贋作を扱っていたという場合でしょうね。
なるほど…。
被害者の指紋を前科者データと照合する必要がありそうですね。
わかりました。
先に戻った人間に聞いてみます。
お願いします。
どうしたんすか?先輩。
行きましょうよ。
いやもう少し様子を見る。
俺の刑事の勘がそう叫んでる…。
刑事の勘ねぇ…。
勘ねぇ…。
(米沢)指紋ヒットしました。
ええヒットしましたねぇ。
藤田恭二…。
(米沢)奥田徹というのは偽名だったようですな…。
詐欺罪で過去に3回逮捕されていますねぇ。
最後の逮捕は3年前で半年の実刑判決。
肝機能障害のため八王子医療刑務所に収監…ですか。
そのうち2件は共犯がいますなぁ。
横田幸一…。
チームを組んでせっせと美術品詐欺をやっていたというところでしょうか…。
もしも北野に対しても同じように贋作を売りつけたとすれば殺害の動機にはなりえますね。
しかしまがりなりにも会社の経営者がだまされたぐらいで殺しまでやりますかね?まあ普通の会社ならば考えにくいでしょうが使用された拳銃から考えてみると…どうでしょう。
ああ…!
(いびき)
(携帯電話)もう寝入りばな…。
ああ!あ?どうした警部殿。
お暇ですか?暇じゃないよ!北野貿易という会社についてお聞きしたいのですが。
北野貿易?あれ?ついさっき見た気が…。
おおこれこれ!あったあった。
うん。
こちらが鑑定書になります。
いやいや現物が目の前にあるんですから見なくったって〜。
でもまあどんなもんかちょっと拝見します。
お急ぎなんですか?は?いや先ほどから時計を気にしてらっしゃるから。
いや…今日は突然お呼びしたものですからあまり時間を取らせてはと。
坂本さんいつから悩んでらっしゃるんですか?ああ…。
私ねぇこう見えて優柔不断なんですよ。
であの8時にはお会いしてましたからえ〜1時間半ぐらいですかね。
悩みすぎですかね?いや…。
あっ伊藤さんいつもすいません!いえいえ。
坂本様の気が済むまでおつきあいします。
社長!10時までにおじきに2000万の上納金耳を揃えて差し出さないとほんとにまずいですよ?わかってる!この前も1日遅れただけであんだけやばかったんです。
今回きっかり10時の約束守らないと金だけじゃ済みませんよ。
そんな事はわかってる!前川から連絡はあったのか?まだです…。
何ちんたらやってんだ!あいつは!前川に連絡させろ。
早くしろ!わかりました。
おい。
はい!もうこんな時間か…。
あー!!おじきには俺が直接話をつける。
ありがとうございました。
北野貿易は一文字会のフロント企業だそうです。
組織犯罪対策部が一文字会一斉検挙のための組織の洗い出しの中で挙がってきたのが北野貿易だそうです。
一文字会といえば最近アジアルートの麻薬密輸で荒稼ぎしている…。
ええ。
高額の美術品を買ったのも麻薬で稼いだ金を浄化するためだったと考えられます。
なるほど…。
美術品マネーロンダリングですか。
おそらく藤田は北野貿易が一文字会のフロント企業だとは知らずに贋作を売りつけた。
しかしそれに気づいた北野たちに捕らわれ金を返すよう脅された。
そして自分の車で北野たちと共に金を取りにここへやってきた。
携帯電話や所持品がなかったのも途中警察などに連絡しないよう北野たちが取り上げたのでしょう。
そして土壇場になって逃げようとした。
もしくは抵抗した。
だから撃たれた…。
どうかしましたか?何かがしっくりしませんねぇ…。
な…何がですか?北野たちはなぜ自らの手を汚すような真似をしたのでしょう?殺さなくても済みそうなものですがねぇ。
だからあの…藤田が抵抗したのでは?多少抵抗されても脅せば済む話じゃありませんか。
武器を持ってたのかも…。
携帯電話まで取り上げておいて懐の凶器に気づかなかったとは思えません。
確かに…。
それからもう一つ。
もし北野たちが犯人だとしたら口の中の納品書や証拠品の類は藤田本人が工作したという事になりますね。
ええ。
自分が北野たちに殺されたんだという事を我々捜査陣に知らせたかったんでしょうなぁ。
米沢さん。
はい。
とりあえず北野と一文字会の関係を伊丹刑事たちに知らせてください。
わかりました。
(携帯電話)また米沢か…。
もしもし。
一文字会?
(北野)きっちり2000万揃いました。
今出ますんで10時には着きます。
…え?アハハ!この前みたいな事はありませんよ。
ご心配なく。
アハハハハ!じゃあ失礼します。
もう間に合わねえ…。
前川を戻せ。
俺は身を隠す。
お前たちはここで10時まで時間を稼げ。
わかりました。
(呼び出し音)おい状況が変わった。
はいわかりました。
お待たせしました。
(伊藤)なかなか巡り合えない逸品です。
いかがでしょうか?はい…。
はい。
そうですよねぇ…。
いつまでも迷ってても仕方ないですよね。
いい加減買う買わないを決めないといけないですね!では…。
え?う〜ん…。
はい決めました!あの…やっぱり衝動買いはよくないですよね。
ですから今日のところは帰ってですね頭を冷やさせて頂きます!そうですか…。
残念です。
いえ!買わないっていうわけじゃないんです。
私の心が決まりましたら電話をさせて頂きます!ちょっと失礼します。
坂本様…。
実は申し上げにくいのですが…。
なんですか?先ほどの電話別のお客様でして。
このあとすぐにでも会いたいとおっしゃられて…。
え…。
申し訳ありません。
え〜!杉下です。
例の強盗の可能性のある二人組なんですが1人が急に姿を消したんです。
もう1人のアリバイはどうでしたか?シロみたいですね。
8時20分にはすでに一緒にいたと客が証言しています。
つまり伊藤という男は強盗犯の仲間ではない。
はい。
姿を消した方はともかく伊藤に限っては違うようですね。
何せ彼の古美術に関する知識はかなりのものです。
殺害された美術商は贋作を扱う詐欺師でその皿を売りつけられた暴力団によって殺害されたものと思われます。
しかし僕はてっきり伊藤という男が暴力団の仲間だと思っていましたが…。
なぜ仲間じゃないと?豊富な古美術の知識がある仲間がいるなら北野が詐欺に遭う事もなかったでしょう。
ちょっと失礼します。
はい。
ここにいた客は?ああ…。
先ほどお帰りになられましたが。
帰った!?ええ。
(呼び出し音)「新しいメッセージが1件あります」「12月8日水曜日午後8時18分」
(藤田恭二)「幸ちゃん…ほんとごめん…」「俺金持って逃げる…」「幸ちゃん絶対殺されるなよ…」「ごめんな…ごめん…ごめん…」おい…北野どこ行った?知りませんよ。
なんだとコラァ!神戸君彼から目を離さないでください。
わかりました。
ありがとうございます。
うわ〜!今伊藤が店を出ます。
切りますね。
あ!神戸さんやっぱり買っちゃいました!ねえ祝杯でも上げませんか?一緒に!いずれまた!神戸さん…。
横田さん。
あれ?さっきまで伊藤さんでしたよね?おかしいな。
ただ聞き間違えただけですよ。
私は伊藤です。
ああ偽名ですか。
しかし普通美術商の方が偽名を使う必要はないですよね?だから聞き間違いですよ。
もうよろしいでしょうか?急いでますので。
お連れの方はご一緒じゃないんですか?なんの話でしょうか。
ほら。
さっきレストルームで話してましたよね。
僕はてっきりお2人が盗品を売りつけようとしてるのかなと思っていました。
しかし真相は違った。
偽名を使って偽物の美術品を売る。
つまりあなたは…詐欺師だ。
あなたは一体…?ああ申し遅れました。
警視庁特命係の神戸です。
警視庁…?どちらへおでかけですか?こんな事もあろうかと…。
あ!ちょっと…!待てコラッ!待て!
(芹沢)確保ー!
(北野)離せ!コラァ!確保ー!確保ー!あー!痛い痛い痛い痛い痛い!先輩!先輩!
(横田幸一)偽名を使ったら犯罪ですか?偽名を使う人間が全て詐欺師だと?横田さん。
警視庁特命係の杉下と申します。
横田幸一さん。
なぜ我々があなたの名前を知っているか気になりませんか?藤田恭二さんの事を調べました。
あなたの詐欺のパートナーですね。
なんの事かさっぱりわかりません。
本当に急いでるんです。
失礼します。
遺体で発見されました。
誰が?藤田恭二さんです。
え?倉庫で射殺されていました。
殺害したのは北野貿易の人間だと思われます。
フッ…自業自得ですよ。
あいつ暴力団と知らずに贋作売りつけたんです。
なるほど。
やはりあなたも事情を知ってましたか。
知ってたも何も私は藤田の穴埋めのために詐欺をするよう北野に脅されていたんです。
あいつを守るために。
なるほど。
レストルームの男は共犯者ではなくて見張りだったんだ。
ねえ刑事さん。
脅迫されていたんだから詐欺の罪軽くなるんでしょ?さあどうでしょう。
軽くなってくれなきゃ困りますよ。
こっちは必死で守ろうと思ったのにあいつ自分で金を持って逃げたんです。
裏切ったんです。
裏切った?留守電に…俺は逃げるって入ってたんです。
藤田のやつどうせ逃げようとしてドジって殺されたんでしょ?果たしてそうでしょうか。
藤田さんは肝臓を患っていました。
医療刑務所の記録に肝臓に腫瘍があると。
患者さんは低血糖の症状のために甘いものを常備するそうですね。
確かに。
藤田はいつもチョコレートを持ってた。
その藤田さんはなぜ北野に撃たれなければならなかったのでしょう?実は殺害現場に妙なものが落ちていました。
これと全く同じ形をしたものが。
チョコレートの箱と銀紙です。
当然藤田さんのものです。
これ…。
ナイフに見えませんか?おそらく藤田さんは…。
(ドアを叩く音)おい!早くしろよ!何やってんだ!
(藤田)うわー!!ああー!!
(銃声)くっ…!チクショー!北野の背後にある一文字会は日本有数の暴力団組織です。
たとえ今回乗り切ったとしても一生使われ続けるかもしれない。
あいつ臆病なんです。
だからすぐ逃げ腰になってボロが出る…。
詐欺師に向いてないんです。
あいつと組んだらろくな事ないのはわかってました。
今回も…俺は逃げるなんて言うからまた臆病風に吹かれたのかって…。
でも俺にはあいつしか…。
あいつしかいないんです。
あなたが初めて逮捕されたのは22歳の時。
その時も藤田さんと一緒でした。
ある意味あなたと藤田さんは強い絆で結ばれていたのでしょうねぇ。
もしかすると藤田さんはあなたにだけは助かってほしかったのかもしれませんねぇ。
たとえ自分が犠牲になったとしても…。
俺金持って逃げる…。
幸ちゃん絶対殺されるなよ…。
ごめんな…ごめん…。
留守番電話はあなたを戻ってこさせないためについた嘘だったんですね。
ええそう考えると藤田さんの取った行動も納得がいくんですよ。
ああー!!
(銃声)バカ野郎…。
これで3度目の逮捕ですが今度はちょっと長くなりますよ。
ちゃんと罪を償ってさもう…足洗いなよ。
言い逃れ出来ねえぞ!まさかあいつがナイフ持ってるとは思わなかったんだよ。
ナイフ?1度目はガラクタの皿を1000万で売りつけられ2度目は銀紙のナイフで…。
ハッ!あんなちんけな詐欺師たちに2度もだまされたんだよ!真相を明らかにする事で藤田が守ろうとした横田は逮捕され北野は殺人から過剰防衛に減刑されると。
ええ皮肉なものですねぇ。
全くです。
ちなみに今日はお休みですよ?花の里。
ああそうでした。
ところで今夜はたまきさんとデートだったとか。
楽しかったですか?ええそりゃもう楽しかったですよ。
あれ〜?妬いてます?もしかして。
君もおかしな事を言いますねぇ。
妬いてなんかいませんよ。
フフッ。
2016/02/04(木) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒season9[再][解][字]
『9時から10時まで』あなたは初めて相棒をリアルタイムで目撃!?景徳鎮の高価な皿に絡む2つの事件。右京(水谷豊)と尊(及川光博)が1時間で辿り着く真実とは!?
詳細情報
◇番組内容
新たなステージへ!ついに真の相棒となった右京(水谷豊)と尊(及川光博)が挑む難事件!見所満載の「相棒 season9」も見逃せない!!
◇出演者
水谷豊、及川光博、益戸育江
川原和久、大谷亮介、山中崇史、山西惇、六角精児
小野了、片桐竜次
《ゲスト》
黄川田将也
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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