大奥〜華の乱〜 #09 2016.02.04


それで、清原さんは本当のことを言わなければまた、しますからね。
入手先を供述しなければ
(桂昌院のあえぐ声)
(うめき声)
(侍女)桂昌院様!?
(桂昌院)ううっ…。
(綱吉)あっ!?母上!?
(侍女たち)桂昌院様!
(中臈)お匙を!
(綱吉)退け!退け!
(中臈)お匙を!
(綱吉)母上!母上!母上!母上!
(中臈)早う!
(綱吉)匙は!?匙はまだか!?気を確かにお持ちください。
母上!匙は!?匙はまだか!?
(柳沢)拙者の一存で身柄を留め置かせて頂きました。
上様もご存じないことです。

(音羽)
そこにいるのは死んだとばかり思っていた夫成住様にございました

(テーマ曲)
(成住)安子か!?確かに安子か!?
(安子)成住様。
お懐かしゅうございます。
あの時の子はつつがなく育っているか?
(成住)安子。
もしや!?はい。
そうか。
わたしは上様の思し召しによって生き長らえた。
初めはその事をお恨み申した。
なれどここで写経しつつ暮らすうちにふと思うたのじゃ。
すべてに因果がある。
いつ捨てても惜しゅうない命だが捨て時があるのやもしれぬと。
上様をお恨み申すでないぞ。
恨みは何も生まない。
それよりもあの方がよりよく生きられるようお導き申すのじゃ。
安子。
達者でよかった…。
このお方のお命大切と思し召すなら安子様。
あなた様のなすべき事となさざるべき事おのずからお分かりでしょうな。

あの日お心に芽生えた小さな疑いがもともと弱っておられた心の臓を一突きにしたように桂昌院様は二度と起き上がることもかなわず死に至る病に苦しんでおられました
(柳沢)安子様。
このお方のお命大切と思し召すなら・
(忍び泣き)
(染子の泣き声)・
(安子)染子様。
染子様。
一人人に言えぬ思いを抱え過ごす日々はお辛うございましょう。
打ち明けて楽になられるお気持ちがおありなら私にお打ち明けくださいませ。
安子様。
何もかもお気づきなのですね。
吉里は上様のお子ではございませぬ。
実は…。
(安子)右衛門佐殿!?
(音羽)申し訳ございませぬ。
染子様のご様子探らせて頂いておりました。
あるいはこのようなお話の向きになるやもと思い…。
(右衛門佐)お話はお聞きしました。
染子様。
ご案じあるな。
佐殿は悪いようには致しませぬ。
のう佐殿?染子様。
吉里君は上様のお子ではないと今申されましたな?申されましたな?その事桂昌院様の御前でいま一度申し上げることができまするか?
(右衛門佐)将軍家のお世継ぎのお血筋を偽るは天下の大罪。
なれどその罪は私たちが身を呈してかぼうて差し上げましょう。
産褥で朦朧として産み月を間違えただけ。
よう考えれば上様のお子ではないとそう仰せなされませ。
桂昌院様のかたくななお心を動かせるのは吉里君の母上であらせられるあなた様のお言葉よりほかにないのです。

(信子)わたしが致す故そなたたちは水を取り替えてきやれ。
(村瀬)はい。
(桂昌院)信子殿か。
(信子)はい。
そなたには苦労をかけました。
すべては上様の御ためになした事。
許してくだされ。
「上様の御ため」都合のよいお言葉にあらしゃいますな。
なれどそのお言葉で何もかもが許されるとお思いか?わたしはそなたにたってと望まれて京の都を捨てはるばる徳川に輿入れしました。
公家鷹司家の姫として誰よりも大切にして頂けると信じたからです。
なれどそなたにとってわたしは捨て駒にすぎませなんだ。
あとからあとから上さんのお種を受ける方々が大奥に来てはわたしの顔に泥を塗っていきました。
(桂昌院)信子殿。
世継ぎを産む女子がいなければ大奥の成り立たぬことそなたとて分かるであろう。
(信子)「お世継ぎ」吉里君にございますか?そうじゃ。
あの若君は果たして上さんのお子でしょうか?何を申す?染子はもともと柳沢の側室でございましょう?吉保は上様のお渡りの後あの女子には手を付けていないと申しておる。
口では何とでも申せます。
大体あの若君は柳沢と同じ左利き。
黙らっしゃい!上様に対して何たる無礼な申しようじゃ。
隆光殿のご託宣に従い上様が「生類憐みの令」をもってお犬様をご愛憐なされた故吉里君が授かったのじゃ。
神をもおそれぬ暴言即刻取り消しなされ!ご信心のあついこと。
それもこれも神頼みでここまで成り上がってまいられたからこそにございましょうな。
所詮は町家育ち。
お末あがりのあさましさじゃ。
のうお玉。
お玉。
わたしはそなたには随分と世話になりました。
そのご恩返しによいことを教えて差し上げましょう。
わたしは先日染子と柳沢が密会しているところを目にしました。
あの二人の仲はまだ続いておりまする。
(あえぐ声)・
(村瀬)けけ…桂昌院様!?
(信子)発作がぶり返したご様子じゃ。
冷や水で楽にして差し上げなされ。
(村瀬)はい。
(あえぐ声)
やがて桂昌院様は右衛門佐様安子様染子様吉里君とのご面会に臨まれたのでございます
(桂昌院)大きゅうなられたのう。
吉里君。
お庭へ下りてこの竹とんぼでお遊びなされ。
(吉里)はい。
(桂昌院)うん?ふふふ。
染子殿。
吉里君は…。
(侍女たちの笑い声)
(桂昌院)吉里君は上様のお子か?
(染子)殿そうか!?でかした
(柳沢)お体を大切にご自愛なされ。
お方様
(右衛門佐)桂昌院様。
(桂昌院)そなたは黙っていなさい。
はい。
吉里君は上様のお子にございます。
さようか。
それを聞いて安堵致しました。
(桂昌院)右衛門佐。
近う。
はい。
(桂昌院)世間は口さがないものじゃ。
妾は染子殿を信ずるが吉里君のお血筋について要らぬ憶測をされぬようこの際柳沢殿には後見を退いてもらうのが得策と思うが。
はい。
桂昌院様。
どうかその仰せはお考え直しくださいませ。
柳沢様はこれまで上様の御ために一身を捧げてご奉公なさってまいりました。
そして今吉里君をお守りすることを残る一生の天命となさっておられます。
そのご忠心の深さいかなるお方にも劣るものではございません。
どうかそのお心をおくみ取りくださり吉里君の後見は何卒柳沢様にお申しつけくださいませ。
そなたはお世継ぎのご生母じゃ。
そのそなたがそれほどまで申すならそう致しましょう。
ありがとう存じます。
ご一献いかがでござるか?敵の杯は受け取らぬということですか?成住殿。
我らは同じ穴のむじなではございませぬか。
同じ主君に仕え宮仕えの辛さを味おうた。
某も若き頃上様に女子を寝取られました。
ずっと以前某がまだ館林の御殿で小姓をしていた頃です。
いずれは嫁にしようと思いをかけていた女子がおりました。
里久と申しましたがその女子を上様が所望された。
してその女子はその後?死に申した。
それまで上様に忠誠を尽くすことに何の疑いも抱いてはおりませなんだ。
上様のご意向をくみ気に入られて出世の階を上ることだけが望みでござった。
なれどその日から階を上り詰めたその先を考えるようになり申した。
その頂に立てばあるいは上様をも見下ろせるやもしれぬと。
目指す頂まであと一息というところでございます。
邪魔者は斬って捨て進まねばなりませぬ。
女子でも容赦は致しませぬ。
無論貴殿の奥方でも。
(桂昌院)嘘であろう。
あの女子の申していたことです。
桂昌院様。
安子殿。
この事は決して口外致してはなりませぬ。
今のままでよい。
すべてが丸う収まっておる。
上様もお喜びじゃ。
幼い二人のお子を次々に亡くされこの上更なるお悲しみに耐えるお力はありますまい。
上様はお心の弱いお方じゃ。
妾亡き後はそなたが上様をこの婆に代わってかぼうて差し上げてくだされ。
頼みましたぞ。
(うめき声)
(安子)桂昌院様!?桂昌院様!桂昌院様!上様。
母上。
約束してくださいませ。
一つ。
御台様側室の方々には公平に接しどなたからも恨みを買わぬようお心を砕かれること。
(桂昌院)一つ。
重臣の方々と共に吉里君をもり立て次なる治世への布石となすこと。
しかと承知致しました。
上様。
妾は口うるさく厳しいばかりの母でした。
お許しくださいませ。
何を仰せになる?母上らしゅうもないお気の弱いことを。
お顔を…。
お顔をよう見せてくだされ。
お顔…。
もそっとこちらへ。
もそっと。
(綱吉)母上。
何とまあ温こうて心地よいこと。
もっと早うに上様がお小さい時にこうして差し上げればよかった。
妾はそなたに厳しすぎました。
(綱吉)母上!
(泣き声)母上!母上。
春日局様。
私ごとき者のために遠方よりお出迎え恐れ入りまする。
将軍家のお血筋の橋渡し私の使命と心得力の及ぶ限り務めましてございます。
ご満足頂けましたか?あっ。
そこが私の座る席にございますか?あなた様のお隣が!?ああ…。
もったいなや。

(綱吉)母上!?母上!母上。
母上ー!
宝永二年水無月の頃にございました。
そのお目に最期に映っていたのは胸に抱く我が子の顔ではなく生涯追い求めた権力の幻であったのやもしれませぬ
母上。

(囃子)
桂昌院様のご遺言により吉里君のお世継ぎを祝う端午の節句が大奥にて盛大に執り行われました
(大典侍のあくび)
(拍手)
(秀尾)吉里君は眉が濃くて男前ですね。
(葛原)これ!そのような事人前で申すでないぞ。
(秀尾)どうしてですか?
(美吉野)秀尾殿。
鈍すぎますよ。
あの若君のお顔がどなたに似ているかちょっと見れば分かりそうなものなのに。
えーっ?どなたにって…。
もう。
ですからあのお顔…。
もしかして!?うわーっ。
うん?
(秀尾・美吉野)あっ!?
(葛原)あっ…。
ああー。
ああー。
よいお天気でございますね。
(秀尾・美吉野)はい。
(秀尾)あっあっあっ。
「塩瀬」のまんじゅう…。
美味でございます!
(葛原・美吉野)ほほほほ。
(秀尾・葛原・美吉野)失礼を致します。
(葛原)さっ参りましょう。
失礼致します。
(葛原)参りましょう参りましょう。
(秀尾)はい。
ああ美味でございます。
(美吉野)ねえ?ほほほ。
(信子)お悲しみですな。
桂昌院はこの大奥でそなたのたった一人の後ろ盾であらしゃいましたのに。
(大典侍)御台さん。
わたしはこれからやと思うておりまする。
これからとな?人も噂するように吉里君が上さんのお血筋かどうかは怪しいもの。
わたしが上さんのお子を身ごもれば正真正銘わたしがお世継ぎのお腹さんになれるのです。
楽しみにしてお待ちくださいませ。
うっ。
ううっ…。
ああっ。
(あえぐ声)お小姓お中臈の方々は?
(染子)はい。
人払いを致しました。
(柳沢)何事ですか?殿。
私は殿のお役に立てるならと一身を捨て大奥に参りました。
今もその気持ちに変わりはございませぬ。
ただ長い間にいつかこの重荷に耐えられなくなり我知らず言うてはならぬことを漏らしてしまうのが恐ろしいのです。
いっそのことその前に私の命を殿の手で絶ってくださいませ。
遺言はここにしたためてございます。
死んで身の潔白を証すと書き記しました。
今ここで命を絶てと申すか!?神田橋のお屋敷で殿に愛されて過ごした日々が私の一生の幸せにございました。
今ここでお手に掛けて頂くのなら本望にございます。
分かった。
そなたの望みどおりにしてやろう。
うれしゅうございます。
覚悟はよいか?はい。
さあ。
あまり長くかかると怪しまれまする。
名をお呼びくださいませ。
お方様ではなく染子と。

(柳沢)染子。
はい。
(柳沢)うっ。
(染子)あっ。
うれしい。
いま一度こうして殿に…。
抱かれとうございました。
染子…。
染子。
染子。
(柳沢のすすり泣き)話とは何じゃ?上様。
今から申し上げることは私の心ひとつにとどめおく所存でした。
吉里君は上様のお子ではございません。
安子。
その事にわしが気づかなんだと思うか?そのような事初めから察しておったわ。
(綱吉)吉里を世継ぎに立てたのは母上のためじゃ。
母上がそう信じその望みにすがっておられたからじゃ。
余命いくばくもない母上からそのたった一つの望みを奪うことがどうしてできようか?桂昌院様はご存じでした。
桂昌院様こそ上様をかばわれていたのです。
上様に更なるお悲しみを与えるのは酷だと。
そうか。
母上とわしはだまし合うていたのか。
笑えるの。
(安子)吉里君のお墨付をお取り下げ願えますか?柳沢様にご処分を。

(小山)申し上げます!ただいま染子様がお隠れになりました。
懐剣で胸を一突きにしご自害なされたのでございます。
ご遺言がここに。

またしても死のにおいが…。
そして新しい時代の足音が近づいてまいりました
明日はいかなる日になるのでございましょうか?
2016/02/04(木) 14:55〜15:50
関西テレビ1
大奥〜華の乱〜 #09[再][字]

「遺言」

詳細情報
番組内容
 柳沢邸で催された宴席の最中、世継ぎの吉里が柳沢(北村一輝)と同様に左利きであることから、柳沢の子であると悟った桂昌院(江波杏子)がショックのあまり倒れた。騒然となる中、柳沢は安子(内山理名)を別室に招き入れた。そこにはなんと、死罪となったはずの安子の夫・成住(田辺誠一)が幽閉されていた。柳沢の野望が安子に阻まれぬよう、成住は人質にされていたのだった。思いがけない再会に涙する安子。
番組内容2
 信子(藤原紀香)は病気ですっかり弱った桂昌院に対し“お末上がりのお玉”と侮蔑しながらこれまでの恨みつらみを述べ、吉里は柳沢の子で、染子(貫地谷しほり)はまだ柳沢と密会していると桂昌院を苦しめる。
 一方、染子は世継ぎの母を演じる重圧に耐え切れず、安子に「吉里は上様の御子ではございませぬ」と打ち明けるが、そのやりとりを隣室で聞いていた音羽(余貴美子)と右衛門佐(高岡早紀)が踏み込み、桂昌院の前で
番組内容3
そう証言するよう申し渡す。しかし、いざ桂昌院の前に出た染子は葛藤の末、「吉里は上様の御子」と断言、後見人として柳沢を退かせるのだけはどうか考え直してほしいと必死に訴えた。染子は身の潔白を証明する遺書を用意し柳沢に殺して欲しいと懇願。
 ほどなく桂昌院は綱吉(谷原章介)を庇ってくれと安子に後を託し、春日局の幻影を見ながら亡くなった。安子は意を決して綱吉に吉里が実子ではないと打ち明けるのだが…。
出演者
内山理名 
谷原章介 
小池栄子 
高岡早紀 
北村一輝 
中山忍 
貫地谷しほり 
田辺誠一 
余貴美子 
江波杏子 
藤原紀香
原作・脚本
【脚本】
浅野妙子
監督・演出
【演出】
林徹
【企画】
保原賢一郎
【プロデュース】
林徹 
手塚治 
樋口徹 
金丸哲也
音楽
石田勝範
【主題歌】
「修羅場」東京事変(東芝EMI)

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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