メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

日韓の安保協力 情報共有の強化を図れ

 北朝鮮の4回目の核実験に対し、日本、米国、韓国の3カ国は、国連安全保障理事会の制裁決議の採択に向けて、連携を強めている。

     北朝鮮が新たにミサイルを発射する可能性も取りざたされている。北朝鮮がさらなる挑発行為に出ることのないよう、日米韓3カ国と中国が協力して国際社会を主導していくことが求められる局面だ。

     日米韓の連携は、外交はもちろん安全保障面でも重要だ。だが、日韓の安全保障協力は、不十分な状態にある。協力の基礎となる軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が締結されていない問題が大きい。

     軍事情報包括保護協定は、防衛に関する秘密情報を交換する際、第三国への情報漏えいの防止など取り扱いについてまとめた協定だ。口頭、映像、電子、磁気、文書などあらゆる形態の情報が対象になる。

     日本は米国、北大西洋条約機構(NATO)、フランス、豪州、英国、インドの5カ国・1機関との間で情報保護協定を締結している。

     韓国は昨年12月現在で、米国やロシアなど32カ国と結んでいる。

     だが、日韓間には協定がない。

     両国の協定は2012年6月、締結寸前までいきながら、韓国側の国内事情によって署名の1時間前に急きょ、延期された経緯がある。韓国政府による国民への説明不足という手続き上の問題に加え、反日感情や、対中関係への配慮からだった。

     日韓の協定が締結できないため、日米韓3カ国は14年末、この穴を埋めようと新たな取り決めを結んだ。

     北朝鮮の核とミサイルの脅威に関する情報について、米国を介して日韓が情報を共有できる枠組みを作った。日米間、米韓間には情報保護協定があるため、米国を間にはさむことで、日韓が間接的に情報交換ができるようにしたのだ。現在はこの方法で情報がやり取りされている。

     ただ、この枠組みは、対象が北朝鮮の核・ミサイル情報に限定されている。他国に関わる情報や、北朝鮮の関連であっても特殊部隊の動きなどの情報は、共有できない。

     日韓防衛相会談のような2国間でのやり取りにも使えない。時差のある米国を経由するため、情報交換に遅れが出ることもあるだろう。

     日韓関係はただちに改善するわけではない。両政府が昨年末にかわした慰安婦問題の合意は、その後、韓国国内で反発が出ており、双方の努力が求められる状態にある。

     だが、情報の共有は、平素からやり取りを重ねてこそ信頼関係ができ、いざという時に機能する。情報保護協定の締結について、韓国は大局的な見地に立って検討し、日本は粘り強く働きかけを続けてほしい。

    あわせて読みたい

    制限なく記事をお読みいただく方法はこちら

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです
    毎日新聞のアカウント

    のマークについて

    話題の記事

    編集部のオススメ記事