【BOX】村田、最速2回KO 年内世界戦へ標的はサンダース
◆プロボクシング ▽スーパーミドル級(73・4キロ以下)契約10回戦 村田諒太(2回2分23秒 KO)ガストン・アレハンドロ・ベガ(30日、中国・上海オリエンタルスポーツセンター)
【上海(中国)30日=飯塚康博】ロンドン五輪金メダリストでWBC世界ミドル級5位・村田諒太(30)=帝拳=が「勝負」の2016年初戦をKO勝利で飾った。WBCスペイン語圏ミドル級王者ガストン・アレハンドロ・ベガ(32)=アルゼンチン=と10回戦で激突。初回に右ストレートで先制ダウンを奪い、2回に再び右でとどめを刺して2回2分23秒KO勝ち。目標にする年内の世界挑戦を強くアピールし、戦績を9戦全勝(6KO)とした。
大砲がよみがえった。2回、村田は鋭い左ジャブ2発から右ストレートをつないでベガを棒立ちにさせると手を休めず、相手のこめかみをめがけて右ストレートを打ち下ろした。2度目のダウンを喫した相手は起き上がれない。迫力の光景に異国の観客は息をのんだ。
再出発、そして勝負の年と掲げた2016年。2戦ぶりのKO勝利に「パンチ力に自信をなくした時期もあったが、右が当たれば倒せると分かった。70点の出来」と白い歯をのぞかせた。初回にも右ストレートで先制ダウンを奪って一気にギアが上がった。323秒でのKOは13年8月のデビュー戦を1秒上回る過去最速の決着だ。
昨年11月の米ラスベガスでの試合は見せ場のない判定勝利。「金メダリストのキャリアを守りたいという気持ちがあった」と攻めの姿勢を忘れた自分と向き合った。攻撃法もコンビネーション重視から切り札の右ストレートを打ち抜くことを徹底。体の重心を修正し、パンチがよく切れた。「スパーリングでも右でよく倒していた。練習と試合がつながった意味でいいスタートを切れた」と語った。
故郷・奈良に住む父・誠二さん(61)が上海出発の前日26日に上京した。わずかな時間をともにして心を整理した。苦境に立った時は父から本を授かり、前進する力に変えてきた。今回の1冊は内村鑑三の「代表的日本人」。西郷隆盛や二宮尊徳の生きざまを説いた名著に「焦らず、自分のやるべきことをやっていくことが大事」と悟った。
目標とする年内の世界挑戦の標的にWBO世界ミドル級王者ビリー・ジョー・サンダース(英国)が浮上した。具体的な名前が挙がるのは初めてで、帝拳ジムの本田明彦会長(68)は「サンダースは十分に戦える相手だ」と明かした。王者の動向を見ながら交渉を本格化させる構えだ。
次戦は5月頃に計画。3月から米ロサンゼルスでのスパーリング合宿で進化を目指す。「今回、勝つためにやっているわけではない。僕は上を見ている」と村田。可能性は自分の拳で広げる。
◆村田 諒太(むらた・りょうた)1986年1月12日、奈良市生まれ。30歳。南京都高(現・京都広学館高)で高校5冠に輝き、東洋大を経て同大学職員に。全日本選手権優勝5度など計13冠。12年ロンドン五輪で男子ミドル級で日本勢48年ぶりの金メダルを獲得。アマ戦績は119勝(89KO・RSC)19敗。13年4月にプロ転向を表明し、同8月にプロデビュー。身長183センチの右ボクサーファイター。家族は夫人と1男1女。