政府が今年夏の世界文化遺産登録を目指している「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本県)について、政府関係者は4日、推薦をいったん取り下げる方向で最終調整していることを明らかにした。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関から不備を指摘されたため。政府は現状のままでは登録は難しいと判断、来週にも閣議で取り下げを了解する。政府関係者は「課題解消に時間がかかり、今夏の登録審査に手続きが間に合わない可能性がある」としている。
不備の指摘を受けたのは1月中旬。政府関係者によると、ユネスコ諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)から「潜在的な普遍的価値は認めるが、個別の構成資産が果たす役割の説明が不十分だ。このままでは審査前に登録延期勧告が出る可能性がある」との内容だった。推薦書の見直し作業が長期化する可能性もあるという。
教会群は、日本にキリスト教が伝来して以来、約250年にわたり弾圧を受けながらひそかに信仰を守り抜き、復活した歴史をたどる。現存する国内最古の教会で国宝の大浦天主堂(長崎市)、禁教下の信仰を伝える天草の崎津集落(熊本県天草市)など14の資産で構成する。
政府は昨年1月、ユネスコ本部に正式な推薦書を提出し、イコモスは昨年9~10月、専門家による現地調査を実施。今年5月ごろに評価結果をユネスコに勧告し、7月の世界遺産委員会で登録の可否が審査される予定だった。〔共同〕
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