上村君の父親が「犯人を一生許さない」川崎中1殺害公判

2016年2月4日14時14分  スポーツ報知

 川崎市川崎区の多摩川河川敷で昨年2月、中学1年の上村遼太君(当時13)が殺害された事件で、殺人と傷害の罪に問われたリーダー格の無職少年(19)=事件当時18=の裁判員裁判の第3回公判が4日、横浜地裁(近藤宏子裁判長)で行われた。意見陳述で上村君の父親は「胸が握り潰される思いで、私は今も前を向けない」と深い悲しみをにじませ「犯人から反省が感じられない。犯人を一生、許すことはないでしょう」と言葉を詰まらせながら話した。

 上村君の父親は、「はぁー」と深く息を吐き出してから話し始めた。

 「遼太がいなくなって1年がたとうとしています。遼太を失った悲しみは何一つ癒やされることなく、これからもないと思います。私たちは一生この悲しみ、苦しみを持って生きていかなくてはなりません」

 「私は今、島で暮らしています。遼太と生活したとても小さな島です。遼太は家に入るとき、なぜか玄関ではなく、リビングの窓から『お父さん』と言って入ってきました。(島の)どこに行っても遼太のことを思い出してしまいます」と、上村君が小学6年で転校するまで住んでいた島根県隠岐諸島の西ノ島の思い出話を交え続けた。

 「最後に遼太に会ったのは、(15年の)1月2日でした。回転寿司で昼食を食べた。あの子はいつも、マグロとサーモンばかり食べた。少し照れたような笑顔を見せながら。別れ際に遼太が『今度の夏休みに島に行きたい』と言ったのが最後になった。でも、遼太は島に帰ってこない」

 被害者参加制度を利用した上村君の父親は、初公判が行われた2日から3日間、検察官の後方で審理を見守ってきた。「犯人は、私と一度も目を合わせなかった。反省しているとは思えない。(14年6月に)鉄パイプで人を殴った時も反省したのではないか。(昨年1月に上村君が少年に暴行された)日吉事件でも『反省している』と言って、(その後)遼太の命を奪った」と少年の態度に不信感を募らせた。

 「遼太がこれから得る喜びを全て奪った。遼太の成長とともに私たちが得る喜びを全て奪った」と空虚な日々を過ごしてきた思いを述べ、「犯人は『遼太の人生を背負っていく』と話していたが、冗談じゃない。遼太の人生はそんなちっぽけなものじゃない」と怒りをぶつけた。

 最後に「あれから激励の声もいただきましたが、私は前を向けない」と涙声で吐露した。リーダー格の少年は、うなだれるように床を見つめていた。

 起訴状などによると、事件は昨年2月20日午前2時ごろ発生。無職少年ら年上の少年3人に河川敷に連れてこられた上村さんは無理やり、川を泳がされた。3人は川から上がった上村さんの首をカッターナイフで何度も切りつけ、出血性ショックで死亡させたとしている。

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