2016-02-04 学校で浪費される無駄な10年をどーにかすべき論
乳児と幼児の時代を終え、“子供”と呼ばれ始める 4歳からの10年間で、すっかり大人になってしまう子がいます。
もちろん 14歳なので見かけは子供です。
でも 100人にひとりくらい、つまり、2クラスにひとりくらい、中身的にはもはや子供ではないという子がでてきます。
自分で考える意思と能力をもち、周りの子と自分が異なることを怖がらない 14歳
子供のために設計された学校という世界に飽き足らず、大人の世界に生きたいと思う 14歳
学校の先生なんてあんまり賢くもないんだなとわかってしまう 14歳
大人達相手にいっぱしの意見を言い始める(もちろん知らないことは多々あるけれど、の)14歳
この子たちは、4歳からの 10年間、かなりのスピードで成長します。
ところが 14歳になると、その成長カーブがいきなり緩くなってしまうんです。
なぜなら、この期間に彼らが受ける「クラスの真ん中の子」にあわせた教育が、あまりに“かったるい”から。
もちろん彼らは、中学、高校、大学生活をそれなりに楽しみます。
友達と遊び、好きな本や雑誌や映画に(今ならネットやゲームや SNS に)熱中し、クラブ活動にいそしみ、
ちょっとでもいい大学を目指せという大人の口車に乗せられて勉強してみたり、恋愛してみたり、“まあまあ楽しい”青春時代を過ごします。
が、成長カーブはそのフルポテンシャルにたいして、かなり低いレベルに抑えられています。
彼らは 14歳で既に「自分で考える意思と力」を持ち始めているのに、それを発揮できる舞台もなければ、
フルに発揮しなければ達成できないゴールも与えられないからです。
彼らにとって“いい大学に行く”などというのは、大して難しいコトではありません。なかには、そんなことに意味はないでしょ?と理解してしまう子さえいます。
(前者は成績が良く後者は成績が悪いので、全員が学校的な優等生なわけではありません)
彼らが 14歳ではなく 24歳だったら、成長を加速するための舞台は自分で探すでしょう。でも 14歳では、それは難しい。
だから彼らは「そこそこ楽しく、そこそこ成長する」10年間を経て、24才となり、社会にでていくんです。
社会にでると再び、成長カーブが大きくなります。働く生活は、学生生活なんかより、よほどチャレンジングで、成長機会に富んでいるからです。
でも 10年たつとまた、成長カーブは鈍ってきます。34歳くらいから、今までほどの成長はできなくなる。
年功序列で高齢化が進む日本の組織では、既に事業部門ひとつくらい回せる能力がついた 34歳にも、係長だの課長代理だのといったポジションしか与えられません。
自分の力を持てあまし気味になり、成長カーブも鈍ります。
しかし今回は 14歳の時とは違います。
彼らは自分で自分の環境を変える術を持っています。
だから、転職したり起業して、成長カーブをもう一度、大きくすることができます。
ただし、この年齢では既に「住宅ローンもあるし、妻も反対するので」成長カーブより、安定や会社の名前を選ぶ人もおり、そういう人は、二度目の緑の線を辿ることとなります↓
34歳以降の違いについは、本人の意思による選択なのでどっちでもいいんですけど、
いずれの場合も、14歳から 24歳の成長カーブが最大化されてない、というのが、すごいもったいない。
ちなみに100人に一人じゃなくて 10万人に一人くらいの傑出した子(各学年で、全分野あわせて 10名から 20名)は、下記の赤ラインのように、14歳からさらに成長カーブが加速します。
錦織選手とか羽生選手とか、もうひとりの羽生さんとか、10代で欧州の音楽コンクールで入賞しちゃうピアノやバイオリンの上手い子とか。
そういう子達は 14歳の時には既に「こいつはスゲエ!」と誰にでもわかる状態になっているため、多くの場合、特別コースに乗り換えるんです。
なので、14歳以降の成長カーブが、10歳−14歳の時より更に高くなる。
問題は、「そこまでじゃないけど、チャンスさえあれば、かなり良い線に行ける」という、クラスにひとりいるかいないか、くらいの子。
彼らの成長カーブが、14歳のところで寝てしまう。これが問題。
100人にひとりというのは、日本全体で見ればそれなりの数(一学年で1万人から2万人)です。
その人数 × 10年分の成長が最大化されてないというのは、国全体としては大きな損失です。
今これらの子の多くは、学校の授業くらいでは時間がつぶせないため、親が与えた“将来は医者か弁護士ね”とか“東大を目指そうね”みたいなストレッチゴールをとりあえず目指したりもするんだけど、
それだってたいしたチャレンジじゃないんですよね。
受験ってのは基本“暗記”なので、そんなもんに頑張っても大して成長しません。
とはいえ大学からは自由度も高まるので、「こんなスピードの成長ではヤバイ」と気付き、
学生時代から起業をしたり世界放浪をしたり、就職を待たずに大人の世界に飛び込むことで、成長カーブを早めに戻す人も最近は多くなってて、
その場合は下記のように、緑の部分(成長が抑制されてる時期)が最小化できるので、かなりマシにはなってます。↓
それでも 4,5年の間は成長スピードが無駄に抑制されており・・・全くもってもったいない。
ひとつの対策として中高一貫校というのがあり、できるかぎり無駄な時間(受験のための時間)を減らそうとするわけですが、それでもやっぱり「中学生」「高校生」という枠を超えた体験はさせてもらえない。
でもね、そのあたりの年齢になれば彼らは、コンビニバイトでもベンチャー企業のインターンでも、その辺の大学生よりしっかりこなせるし、
大学の研究室に入っても十分ついていける、という子が( 100人にひとりの割合で)いるんです。
彼らが14歳からあんなかったるい教育システムの中に放置されず、もっと実践的なリアルワールドの中で鍛えられてたら、全く違ったゴールにたどり着ける可能性が高い。
しかもそういう 14歳は 100人にひとりいる。赤い線に乗る子ほど少ないわけでもない。
彼らがせめて真ん中の黒線のように、スピードを落とさず成長できたら・・・
実はこのカテゴリーに自らが属する人であっても、自分の成長カーブが 14歳から 24歳にかけて緩くなってたことを意識してる人はそんなに多くない。(楽しい時期であったことは確かなのでね)
だから「次の世代のこの 10年を救わねば!」という問題意識が醸成されにくい。
この、「 2クラスに 1人 × 10年間」という、膨大かつ無駄に放置されてる時間をどう変えていくか。
これが、国全体でみた時の人材育成の大きな課題だと、あたしは思ってる。
昨年末に紹介した フェルドマンさんの本 が提案する方法は、いい案だし、ひとつの可能性だと思う。
でも国全体が動くのは時間かかる。
だったら、自分にできることは何かないのか、ちょっとだけでも考えてみたいと思ってます。
そんじゃーね。