[PR]

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)をめぐり、佐賀県伊万里市は2日、九電と安全協定を結んだ。市は原発立地自治体並みに原発施設を変更する際などの事前了解の権限を盛り込むよう求めていたが、盛り込まれなかった。市は同日、権限をもつ県との間で「県は市の意向に十分配慮する」とうたう覚書を交わした。

 伊万里市と九電の安全協定には、市が九電から事前説明をうけ、九電に意見を伝えられるとする内容が盛り込まれた。福岡、長崎両県にもまたがる玄海原発30キロ圏と佐賀県内の全市町を含む計25市町で唯一、協定がなかった伊万里市と協定を結んだことで、九電にとっては玄海3、4号機の再稼働に向けた課題の一つが取り払われたことになる。

 伊万里市は電力事業者との対等な関係を目標に2013年8月から事前了解を盛り込んだ協定の締結をめざして九電と30回以上協議を重ねたが、昨年12月に断念を表明。市は県と交わした覚書によって協定を補完できると評価している。

 玄海原発の再稼働をめざす九電は、事前了解の権限をもち、立地自治体と見なす佐賀県と玄海町に対しては再稼働に際して同意を求めていく考えだが、伊万里市はこの対象にはならない。(原口晋也)