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軽減税率、適用あいまいゾーンを整理 財務省が自民に提示

2016/1/29 21:00
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 財務省は29日、消費税率を10%に引き上げる際に導入する軽減税率の適用範囲の考え方を自民党の部会に示した。標準税率の外食なのか、軽減対象の食品なのかが曖昧だった「グレーゾーン」を整理。この結果、ケータリングや出張料理などが軽減対象から外れる一方、学校給食や老人ホームの食事などは8%に据え置かれることになった。

 軽減範囲に関する条文を盛り込んだ2016年度税制改正法案を提示した。与党の議論を踏まえ、2月上旬に国会に提出する見通しだ。

 消費税率を10%に上げる17年4月以降も税率を8%に据え置く軽減対象を巡っては、昨年末の税制改正大綱で「酒と外食を除く飲食料品」とすることが決まっている。ただ外食に含まれるのかが不明確な事例も多い。

 年末の時点で「外食」の定義は(1)飲食設備のある場所がある(2)配膳などの飲食サービスがある――の2点を満たすこととしていたが、今回新たに「顧客が指定した場所で調理、加熱、配膳する飲食サービス」という定義を設けた。

 これにより、ケータリングやホテルのルームサービス、カラオケ店の飲食サービスなどが税制上は「外食」として区分され、消費税が軽減されないことになった。家政婦が食材を家に持ち込み、料理してくれるサービスも標準税率になる。

 一方で「生活を営む場所で、他の形態で食事をとることが困難」な場合については、外食の定義に該当しそうなケースでも例外として軽減対象に含めることにした。例えば学校の給食や、老人ホームで出される食事などが当てはまる。

 線引きが曖昧な事例は1000件以上の指摘があったが、法律上は財務省が示した基準に沿って判定することになる。

 ただ法律上のルールができても、実際の食べ方まで考慮すると、「グレーゾーン」が発生する懸念は残る。例えばハンバーガー店でハンバーガーを購入して家に持ち帰った場合は8%の軽減税率対象になるが、来店客がレジで「持ち帰り用」と述べて商品を購入し、実際には店内で食べた場合にはどう考えるのか。

 屋台でも混乱があるかもしれない。いすやテーブルがない屋台で買った食品は「持ち帰り品」として軽減対象になるが、それを近くの公園のイスに座って食べた場合も想定される。いすやテーブルがある屋台で食べる場合と何が違うのか、消費者には分かりにくい。

 財務省内にはこうした消費者の行動まで含めると「法律では対応できない」(幹部)との声がある。このため区分けできない事例が出てきた場合は政省令や国税庁の通達、ホームページ上の「Q&A」などで個別に判断を示していく方針だ。

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