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 覚醒剤所持の疑いで逮捕された元プロ野球選手の清原和博容疑者(48)。警視庁は1年ほど前から内偵捜査を本格化させていた。暴力団関係者の関与や再犯率の高さが特徴の覚醒剤事件。薬物犯罪に詳しい人たちは、影響の大きさを心配し、社会復帰を支えるシステムの必要性を訴える。

 薬物捜査の関係者によると、清原容疑者の薬物疑惑は数年前から浮上。2014年3月には週刊文春が覚醒剤を使用している疑いを報じた。清原容疑者は別の週刊誌などで疑惑を否定していたが、警視庁は1年ほど前から、薬物捜査が専門の組織犯罪対策5課による内偵捜査を本格化させた。

 警視庁は、昨春ごろに薬物事件で逮捕した清原容疑者の知人と称する人物から「(清原容疑者と)一緒に覚醒剤を使ったことがある」との供述を得たという。だが、当時は具体的な証拠を得るまでに至らず、捜査を続けた。

 昨夏には、複数の週刊誌が薬物疑惑や立件の可能性を報道した。捜査関係者は「このころから清原容疑者の行動パターンが変わっていった」。自宅マンションや車を売却したのも確認したという。

 警視庁はその後も、都内の複数のホテルや自宅などを転々とする生活だった清原容疑者について行動確認を継続。その結果、覚醒剤を所持している疑いが強いとの確証を得て、2日夜に強制捜査に踏み切った。「預かっただけだ」「他人のものだ」といった言い逃れができないよう、自宅に1人でいるところを狙ったという。(阿部朋美)

■「仕事のため」手を染めるケース目立つ

 俳優、タレント……。有名人の薬物犯罪は後を絶たない。薬物問題に詳しい小森栄弁護士(東京弁護士会)は「芸能界が薬物にまだまだ甘い。芸能人御用達の密売人もいる」と指摘する。

 小森弁護士によると、近年目立つのが「職業型」の薬物犯罪。仕事や生活のストレスから逃れ、加齢で衰える体力や集中力を補おうと、社会的地位のある人も手を出すという。清原容疑者について「現役引退後に芸能活動など慣れない仕事を始め、私生活でも離婚があった。生活を立て直せずのめり込んでしまったのでは」と推測。「有名人の薬物使用は社会的悪影響が大きい。若者が『清原も使っていた』と安易に考えないといいが」と危惧する。