リニアが通過する区間のうち、オフィステル(住居兼事務室)との間隔が15メートルの地点に差し掛かると、列車の窓は瞬間的に曇った。ガラス窓に貼り付けられている液晶シートに電気が流れることで、ガラス窓が不透明になるのだ。シン・ビョンチョン団長は「周辺地域の住民たちのプライバシー侵害を防ぐための装置だ」と説明した。
リニアの車両の幅2.7メートルで、一般的な電車(3.5メートル)に比べ狭い方だ。機械研究院は「列車の設計上の速度は110キロだが、運行時の最高速度は80キロだ」と説明した。
■建設費は新交通システムと同程度、運行コストは30%ダウン
仁川国際空港周辺で運行されるリニアは、機械研究院などが韓国独自の技術で開発した。騒音や粉じんなどが発生しない、環境にやさしい点が長所だが、経済性も劣ってはいない。1キロ当たりの建設費は通常の新交通システムと同程度の400億-500億ウォン(約39億-49億円)程度で、車両1両の価格も20億-25億ウォン(約1億9700万-2億4650万円)で同程度だ。一方「車輪など車両の部品やレールの摩耗などが少ないため、運営費は一般的な電車より30%ほど低減できる」と機械研究院は説明した。
リニアの開通は当初、2013年8月の予定だったが、5回の延期を経てようやく開通することになった。新しい技術だけに、安全性をめぐる懸念の声が少なくなく、これを解消しようと努めたためだ。とりわけ、風が強いときには列車が一方に傾き、車体がレールと接触して停止してしまうのではないかと指摘する声が上がった。これについて機械研究院の関係者は「風速15メートル以上の場合は、時速を40キロ以下に落とし、20メートルを超えた場合には運行を中止するなど、安全基準を策定した」と話した。
仁川国際空港の交通センターからリニアに乗り、竜遊駅で降りると、マシアン海岸や乙旺里海水浴場、舞衣島などの観光地に行くことができる。国土交通部の関係者は「西海岸の観光地に行く人たちや、わずかな時間に空港周辺地域の観光を楽しむ乗り換え客の利用が期待できる」と話した。