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アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と- 作者:一星

第一章 脱出 一巻ダイジェスト部分

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二話 初戦闘

 部屋の探索を終え、外に出る為に革の鎧を装備する。
 魔物が居るって話だし、用心に越した事は無い。まあ、それ以上に純粋に着てみたいってのもある。
 野球のキャッチャーが下げている様な形の、茶色い前掛けを首から通し、脇にある紐を結んで固定する。
 次に腕の部分を着けようと持ち上げて見ると、どうやら先にこちらを着ないといけなかったようだ。

 紐を解き胴部分を一度脱ぎ、木箱に引っ掛けておく。
 腕の部分は肩から手の甲までの一体型で、攻撃を多く受けるであろう部分は、硬い革を縫い付けられ強化されている。
 そんな左右の革の腕は丈夫そうな黒い革のベルトで繋がっていて、そのベルト部分を肩に掛け、締め着ける事で体へ固定させる作りになっていた。
 両腕を通し腕の内側に付いた紐を絞りしっかりと固定させ、肩部分のベルトを締めこちらも固定する。そうして再び、胴部分を上から被り脇にある紐で固定した。

 脚を守る部分はズボンの様な形になっており履ける様になっていて、腰紐を締めれば簡単に身に着ける事が出来た。
 太ももや脛の部分は握ってみても形が崩れない程硬いが、動きが阻害されないよう関節部分は自由に動くようになっていて、違和感無く走り回れる事が出来そうだ。
 最後に飾り気のないヘルメットを被れば装備完了だ。

 軽く身体を動かして、感触を確かめてみると長年使ってきたかの様に馴染む。

 いいねー、やっぱり装備してこその鎧だよな。
 しかし、流石神様が用意してくれた品だな、ここまで違和感も重さも感じないなんて。

 初めて着る鎧に興奮しながら、地面に置かれていた鞘に収まった剣を拾う。

 どこに下げるのがいいんだろ?

 一瞬、某狂戦士が頭に浮かび背中に下げる事を思い付くが、どう考えても抜きにくそうなので止めた。
 剣の長さも無いので基本であろう腰に着ける事にする。
 鞘に付いているベルトを腰に巻き、きつく締め固定出来たのを確認して、剣を抜き中段で構える。
 重さや感覚を確かめてから、足に当たらないように気を付け素振りをしてみる。
 今まで生きてきて真剣など振った事は無いが、小ぶりに作られた剣は中々しっくりと来た。

「ふ、ふははは! 何というファンタジー!」

 こんな物は笑わずには居られない。
 鎧を着て剣を振る、今は子供の体だからまだ有りだろうが、こんな姿を現代日本でやったら何かのイベントとかでない限り、相当アレな人だと思われてしまう。

 やばい、楽し過ぎる。
 早く外に出てこの世界を堪能しなければ!

 自分が異世界で子供になっている事を忘れ、更にはここがダンジョンの中であると言う事、全てを忘れて表に出る。

 一歩外に出たそこは、ダンジョンと言うよりは崖の谷間の様だった。
 自動車が三台位並んでも走れそうな程の幅が有り、見上げなければ頂点が分からない位、高く垂直にそり立つ壁は、十階建ての建物位の高さがあるだろうか。
 今さっき出て来た場所を振り返り見ると、そそり立つ土の壁に入り口だけがポツンとあった。小屋だと思っていた物は、どうやら壁の中に掘られた洞窟の様だ。

 ダンジョンて言うか外じゃないのか?

 部屋に差し込んでいた光を忘れていた訳では無かったが、ダンジョンと言う言葉から、ここは建物か地下の中であると思っていた。

 これなら登れば外に出れるんじゃないか?
 なんか拍子抜けだな。

 期待していた物と違い若干テンションが下がったが、気合を入れ直して探索を始める。

「さて、何処から行くかな」

 改めて周りを見渡すと、俺はT字路の突き当たりに居る様だ。
 と言っても正面と左右に見える道は曲がりくねっていて、ここから見る限り先がどうなっているかは見えない。
 それ以外では、正面の道の脇にはそれほど高くはない木が、一本生えているのが見える。

「まずは正面から行くか」

 俺は正面の道へと進む。
 緩やかに曲がる道の真ん中を進み、数分ほど歩くと開けた場所が目に入ったのでその場で足を止めた。
 注意をして目を凝らしその広場の中央を見てみると、何か動く物が見えて来る。

 更に注意深く見てみると、広場の真ん中には高さ五メートルは有りそうな、象より大きいと思える黒いサイがそこには居た。
 頭部には二本の長い角が生え、棘の生えた太い尻尾を揺らしながら、その場をウロウロとしている。
 俺は圧倒的な存在感に、思わず体を低くして身を隠した。

以下、ダイジェスト

 大きなサイから気付かれず、逃げるように道を戻った俺は、次なる場所に進む。そこにいたのは五匹のこれまた大きいトカゲ。これも直ぐに後退して、最後の道へと進んでいく。
 そこにいたのは、一匹のスライム。勝てると思い挑んでみるが、見事に返り討ちに遭い、装備全てを失ったのだった。
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