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力まず、恐れず、スピーディーに ベーシック社長ブログ

一番町にある株式会社ベーシックの社長ブログです。

GAMEFEAT事業の譲渡とその経緯。そして彼らはすごかった。

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GAMEFEAT事業を譲渡しました

ゲームチェンジと意思決定

去る2月1日付で3年間運営していたGAMEFEAT事業を
レントラックスさんへ事業譲渡いたしました。以下はリリース内容です。

今回はGAMEFEAT(以下GF)の譲渡にあたり、
どのような意思決定を行ったのかを綴ってみたいと思います。
少し長いです(汗

まず簡単にGFの事業内容をお伝えすると、
Game to Game のアドネットワークで、カジュアルゲームが中心です。
強みはゲームに特化している点とウォール型アドを中心に
1SDKで効率的にマネタイズできる点にあります。

一定の成長の後サービスを変化させていき、現状はWeb版中心のサービスに変わりました。
GAMEFEAT web - 高単価ゲームアプリアフィリエイト

生まれた背景

GFが生まれた背景をお伝えしますと、
もともとはアプリ領域をコア事業とすべく投資していた新規事業の一つでした。

2012年当時はどの事業者においてもアプリ領域ではまだ手探りの状態でして、
当然弊社もそうであり数多くのアプリやサービスを立ち上げて行きました。

  • ロケプラ
  • マッチに火をつけろ
  • AppLIFE
  • Growing App
  • 返信ください
  • どうぞどうぞ
  • ステルス彼女
  • 恋愛男女ん

などなど。

特にカジュアルアプリ群(後にアプたまシリーズと総称)は、
App Storeにおいて何度か総合1位を記録し、
GFと並んでアプリ事業の中核サービスとして形を成していきます。

その後、チームは子会社フルセイルとして法人化しました。

成長は突然やってくる。
そしてGFは破竹の勢いで成長していきます。

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それはある日突然やってきました

他を寄せ付けず、最短期間で1億円の売り上げを記録。
ゲーム領域のマーケットの拡大に歩調を合わせるように、
その勢いはとどまるところを知りませんでした。

誰の目からも月商の大台を越えるのは時間の問題のように思えました。

突如として起こるゲームチェンジ
どの領域においても起こりえるルール変更。
我々のアプリ事業にもそれはある日突然やってきました。

GFにおいてのそれは、AppleからのGFSDKが搭載されたアプリへのリジェクトでした。

Apple規約について
2.25「App Storeと同じもしくは紛らわしい方法で自社製品以外のアプリの販売を促進する表示をするアプリは却下される」

この点については、当時の規約からすでに明示されていることなので、
実際にはゲームチェンジではなく、規則を厳密に問われた格好ではあります。

ただ、多くのアプリ内では様々な手法を用いてアプリの紹介がなされており、
事実上黙認されていました。
それが、ある時期から厳密に運用されるようになり、その影響をモロに受けた格好です。

参考記事

これにより1SDKでマネタイズできる強みを失うことになりました。
飛ぶ鳥を落とす勢いだった成長に急ブレーキがかかります。

素晴らしい結果と、考えるきっかけ

ピンチはチャンスに変わるのか。
ことの顛末を先にお伝えすると、このあとGFは過去最高の記録を生み出します。
変化を受け入れ、その中でできることは何かを、チームメンバーが一丸となって取り組んでいき、
最終的には素晴らしい結果を生み出していきます。

そして、これら取り組みは、僕にとって組織のあり方を
より深く考えるきっかけになっていったのです。

この期間に思ったこと。
外部環境の変化は常に起こるものであり、
それらに対応していく組織を作ることはどの企業においても当然。

一方組織の在り方、戦略は当然その会社ごとに違います。
事業がスタートした当時からある一点まで、
我々の成長戦略の中にアプリ領域はありました。

ただ、時を経てそれらは変わり、いわゆるノンコア領域とすることを正式に決めました。
事実上のアプリ領域からの撤退です。

それに伴い子会社フルセイルをベーシックに吸収することも決定します。

理由としては、

  1. すでに多くのプレイヤーが存在する中において我々でなければならない理由がなくなった。
  2. 強みを有する領域に制限がかかり、強みに立脚できる状態でなくなった。
  3. 再度成長の機会を得るには多くの投資が必要。
  4. 上記を踏まえ、社として取り組むべきことを明確にした。

これらが判断した理由です。

この時はまだGFを他社へ譲渡する決断は下していませんでした。
ただ、気になっていたことはあります。

それは、アプリ領域をノンコアとしつつも、GFの事業存続をしていくことは、
見方を変えれば、全社収益の貢献であり、とても尊い行為です。
しかもメンバー一人一人はサービスをより良くするために日々議論し改善しつづけていくのです。

ただ、それが本当に誰にとって何がどうよいのか僕の中ではわからなくなっていました。

繰り返される自問自答、そして決断

経営者として第一に考えるのは社の収益ですが、
それ以上に重要なことはメンバー一人一人のキャリアです。
ノンコアと位置付けた領域の中で、誰一人としてかけてはならない状態(属人化した状態)が
果たしてよいのか。

また、社として向かうべき(向かいたい)方向がある中で、
それをここで続けることが本当に必要なのかと何度も自問し続けました。

メンバー誰を取っても、誇りを持って取り組んでいることは明白です。
別にコア、ノンコアなんて気にもしてないと思います。
むしろ大事なのは、ユーザーであり、クライアントであり、パートナーメディアであると。
そう思って取り組んで来たと思います。

もちろん僕自身もそう思っています。
だからこそ決断の必要性を感じました。

このサービスを我々の手に残してはならない。
むしろ一層の成長が望める環境を用意すること。
そして我々はやるべきことに徹底して向き合うべき。
そう思うようになりました。

そして決断しました。

これを書いている今でも思いますが、
もし我々にもっとリソースがあれば、決断は違っていたと思います。

今回の一連の行為を「選択と集中の結果」と言えばカッコがいいですが、
実際にはそうではないのです。

事業推進をする上で分散と収斂は繰り返し行われるものですが、
これは単純にシンプルにすることではなく、
狭めつつも徐々に領域を広げていくものだと思うからです。

つまり、このアプリ領域においては、ベーシックは拡大に失敗し、
収斂の際に一つの機会を失ったと思います。

ただ、後悔しているのかと言えば、それも違います。
先ほどの例は仮の話であり、上述したような理由が諸々あれば、
何度考えても同じ結論だからです。

強みに立脚すべき
事業を行う上で、存在意義は常に問うべきと思います。

そのもの自体が存在することがその領域の役に立てるか。
それは成長できる状態にあるのか。させるつもりがあるのか。
社の持つ強みと重なりがあるか。なくても手に入れるつもりか。
その未来を信じているのか。

青臭いことを言うようですが、これらの問いに答えられないのであれば、
その事業はやるべきではないと思います。
もしくは、それができる先に委ねるべきではないでしょうか。

どのような事業であれ仕事であれ、求める人がいるのであれば、それは尊いものでしょう。
でも、あなたが経営者であるなら、その取り組んでいるものが何なのかは自問すべきであり、
「続けてきたこと」が続ける動機になっているのであれば、
見直す勇気も必要では無いでしょうか?

会社に、その事業に携わる人々にとって有益な状態を目指すのなら、
事業は強みに立脚しているべきだし、それを目指す最大限の努力はすべきでしょう。

そして僕らはGFの持つポテンシャルを最大限生かしていただける先に
レントラックスさんを選びました。

GFの特徴(ネットワークの価値、クライアントの数)と
レントラックスさんの組織(人、経験)が合わさり、
事業が強みに立脚した状態になると判断しました。

この譲渡においてレントラックス様には迅速かつ丁寧にご対応頂きました。
ありがとうございます!

事業の存在意義を僕らなりに考え、最終的に行き着いた結論です。
僕らが保有し続けるよりも高く成長すると期待して。

GAMEFEATが残した結果

すごい結果を残した。
決断をしたその後が本当凄かった。
このグラフを見れば明らかですが、彼らは大いなる結果を残しました。
もともと強みであったSDKを封印されはしましたが、チームは変化に対応し
アプリからWebへ主戦場を変えて最終月の1月に過去最高の収益を出しました。

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やっぱり、すごい奴らだった。
この事業にこれまで携わったメンバーは28人。その中で中心的なメンバーは7名。
一人一人の紹介はできませんが、この偉業とここまで諦めずにやり続けてくれたことに、
感謝の気持ちで一杯です。

この激動の3年間を歯を食いしばり、本当良くやってくれました。
最後に有終の美を飾るところも、素敵すぎます。

特に事業責任者の川鍋はやばかった。
GF事業責任者の彼とはこの譲渡にあたり、多くの議論をし、
そして会社の行く末について何度も話し合いました。

また、社としても重要な要職についており、
事業責任者の立場を離れて判断が求められるなかで難しい局面もあったと思います。

そんな中、大事なことは社の成長であり、事業の継続であるとの決断をし、
譲渡にあたって滞りなく推進してくれていることに
改めて「ありがとう」を言いたい。(現在進行形です)

それぞれの道へ

今回の決断にあたり、一緒に頑張るメンバー、結果、袂を分かつメンバーもいます。
残念ですが、ただそれも仕方ないと思っています。
それは、ここまでの取り組みにおいて参加した誰もが想定を超える経験をし、
それを成長の糧にしてきたと思うし、一人一人の血肉になっていると考えるからです。
寂しいですが、仕方ないですね。。

事業の立ち上げから終了までを見届けることはなかなか出来ることでは無いと思います。
参加した彼らにはその機会を通じた思い出も、経験も残ります。
このような経験を通じて知り合った仲間とは一生付き合えることでしょう。
その機会が提供できたことを嬉しく思います。

そして僕らは成長していく

これまでも同様の選択を迫られることはあり、その都度しゃがむこともありました。
でも、いつでも成長し続けてきました。
ここまで書いておいてなんですが、決断のもう一方では一層の成長をすることが目的です。
ですので、立ち止まる理由はありません。もっと言えば、成長の芽は驚くほどに伸びています。
例外を設けず徹底的にやりきり、どの事業においてもマジでやっていきます。

ポートフォリオ経営を志向している弊社としては、
一つの事業の影響で全体が機能不全を起こすことはありません。(一時の影響は当然ありますが)

ただ今回の一件からもわかるように、
今後は事業の共通項(重なり)は意識して組織していきます。

分散と収斂を繰り返しながら、徐々に領域を広げ、
最終的には多くの問題解決をする事業者を目指します。

今回はこのような結末ですが、この先も何が起こるかはわかりません。
そして、その時には多くの矛盾や悩みをはらむことでしょう。
いつか来た道と思ったその時にはこのブログを読み返そうと思います。
避けては通れない道ならば、多少は進化した判断をしたいので。

最後に

恐らくこのメンバー全員が、同じ時に同じ目標に向けて仕事をすることはないでしょう。
だからこそその一瞬に全力を掛けたことを誇りに思ってもらえたら何よりです。
僕も皆と一緒に働けたことを心から誇りに思います。
改めてGFチームの皆んな本当にお疲れ様でした!そして、ありがとう!!!

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