トヨタグループに部品不足影響拡大、愛知鋼爆発-大震災以上の声も (1)
2016/02/03 17:38 JST
(ブルームバーグ):トヨタ自動車グループでは系列鉄鋼メーカーの工場事故による部品供給不足の影響が広がっている。広範囲にわたる部品が影響を受けており、東日本大震災の際よりも影響は厳しいのではないかとの声も出ている。
爆発事故のあった愛知製鋼は3日、今期(2016年3月期)業績予想を未定に修正した。爆発事故に伴う今期業績への影響額は、設備復旧費用や、他ラインでの代替生産、同業他社への生産委託に伴うコスト増を含め80億円以上を見込んでいるとした。鵜飼正男副社長は名古屋証券取引所での決算会見で、事故のあった加熱炉がある工程について、生産復旧するのが3月29日ごろになるだろうとの見通しを示した。
鵜飼副社長は、爆発があった愛知県知多工場の他のラインで24時間体制で増産に取り組んだり、同業他社に生産を委託するなどして部品不足の解消に全力で取り組んでいるとした。影響を受けている棒鋼はエンジンやトランスミッションなどさまざまな部品に使用され、その数は数千に上ると推定されるという。
同日決算会見した豊田通商の柳瀬英喜常務は、影響について「品種が非常に多い。部品によってもサイズが違う、材質が違う、熱処理が違う」と述べ、「震災の時より厳しいのかもしれない」と語った。また、愛知製鋼の製品と「類似したものを供給できる会社は限られてる」と話し、不足している部品を提供してくれるのが何社かあるという。
ジェイテクトの牧野和久常務は決算会見で、トヨタ向け専用ラインの稼働を同社と同様の8-13日に停止することを明らかにした。トヨタ向けと他社向け双方を生産する混流ラインについては生産調整や残業調整で対応するとし、「利益面への影響は精査している」と述べた。
愛知製鋼・知多工場で発生した爆発事故による部品供給不足を受けて、トヨタは1日、8-13日の国内完成車組み立てラインの稼働を全て停止すると発表していた。15日に稼働再開の予定で、海外の完成車組み立てラインは稼働を継続するとした。さらに3日には、8日についてはユニット工場を含む国内の全工場の稼働を停止すると発表した。
愛知製鋼の1月21日の発表資料によると、同月8日に事故があった知多の第2棒線圧延工場は3月内の稼働再開を目指しているとしていた。この加熱炉を点検作業する際、漏れて滞留していたガスにパイロットバーナーの火が引火して事故になったと想定しているという。
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更新日時: 2016/02/03 17:38 JST