聞いて呆れる篤志家
それは昨年6月のことだった。臨床保育の仕事で倉敷に滞在していた折に我が家に小生を訪ね、その翌日に小生が出張から帰ってくることを知ると、また我が家を訪ねてきた者がいた。よほど切羽詰った問題を抱えていたことは、この行動を見れば誰にも容易に想像しうること。案の定、小規模作業所を運営していたUは、当人が運営する小規模作業所をNPO法人化したいが、この法人化をするにあたり手続きをできる人間が周囲にいないので、小生に手伝ってもらえないかと窮状を訴えてきたのだった。当事者抜きの障害者自立支援法によって、小規模作業所つぶしが始まっていたことは以前より知っていただけに、今年度内に法人化しえなければUの作業所は潰れる運命にあることは確かなことだった。
現に、この3月末までに法人化を達成すると共に、更には就労支援A型かB型に移行することができなければ、多くの小規模作業所が確実に解体され、そうした施設に頼って生きてきた多くのハンディを背負わされたひとたちが、実際に行き場を失っていっているという現実がある。Uにとっては死活問題なのだろうとおもい、忙しいさ中にあってNPO法人化の手伝いをすることを快諾したのだった。ひとの心理というのは実に面白いもので、このUから長年にわたって聞かされてきていた、障害者のために全財産を投げ出して全力で支援しているという言葉によって、このUが運営する作業所の実態がどうであるかなどという冷静な判断は、小生のなかにはいっさいなかったと言っていい。つまり、作業所の実態を見ないままに、Uの言葉だけを信じ、その先入見のみによってNPO法人化の手続きの一切合財を引き受けたのだった。
こうしてUを理事長とするNPO法人が誕生したのだが、いざ実際に蓋を開けてみると、そこには末恐ろしい現実が待ち受けていた。つまり、行き場を失ったと思い込ませられている障害をもつ利用者さんたちを、まさに骨の随まで貪り食らう「貧困ビジネス」が、平然と行われていたのだ。たとえば、Uの気に入らない利用者さんには頭ごなしで怒鳴りつけ、挙句には殴る蹴るの体罰を平然と行うといった日常が作業所を支配し、更には利用者さん同士を互いに互いを監視させ、夕飯時にその報告をさせ、食事を食べている利用者さんの前でUの意向に沿わないことをした利用者さんを、見せしめのために徹頭徹尾恫喝するということが日常茶飯として行われてきていた。まさに、社会から締め出された人たちがまるで良い人に出会って救われているかのような装いを纏いつつ、世間から見えない暗部にあってUのしたい放題に操られ、地獄の生き絵図を描いていたと言っても決して過言ではない状況を呈していた。
このたびの貧困ビジネスを告発してきた小生や職員で休職中のNさんに対して、尽くUの言いなりになって弾圧攻勢をかけてきているUの弁護士は、このUをして篤志家だといって憚らない。ならば、この篤志家が一体全体自らの家は電気もガスも電話も止まってはいないにも関わらず、何故ゆえ利用料を支払っているにも関わらず、利用者さんたちが住む寮の電気やガス、或いは電話が止まってしまうというような事態に陥るのだろうか。実際、小生のケータイには、利用者さんたちからSOSのメールや電話が入ってきているのだ。お風呂にもはいれず、食事の用意もできなく、見たいTVも見ることができず、夜通し真っ暗な中で過ごしたという。ましてや緊急警報システムは、電話回線を通して行われるようになっている。万一、火事や不足の事態に利用者さんたちが立至った際には、何の役にも立たないのだ。
我々がこのNPO法人から排除されて以来、ますます利用者さんへの虐待もしたい放題と聞き及ぶに至って、居ても立ってもいられない中、着々とUへの攻撃の包囲網は狭まってきていることだけは確かなことと、支援して下さっている方々には報告しておきたい。(法的な追求を行なっている渦中にあり、相手側に反撃のヒントを悟られないために、今はこのブログにおいてこれ以上のことは言えないことをご了承願いたいとおもう)
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