林田直樹(医学部講師・老化学・神経変性疾患・血管病)

山口大学医学部で講師をしています。分子レベルでの研究によって、寿命を延ばし老化を抑制すると同時に、加齢依存的疾患を一気に治療できる方法を見つけたいと思っています。講義・実習・演習では、生化学とタンパク質関連の分野を主に担当しています。これまで、大学および大学院生時代を過ごした東京大学で免疫学研究に着手したのをはじめ、タンパク質化学や、抗体のX線結晶構造解析も行いました。並行して発生学や組織学も学びました。現在は、細胞生物学、実験動物学、組織学を中心に、老化関連疾患の発症および抑制機構に関する論文を発表しています。facebook: https://www.facebook.com/naoki.hayashida.7

東大、論文不正で3人の博士号取り消し

http://www.sankei.com/affairs/…/150328/afr1503280014-n1.html

ついに…という感じです。早稲田が処分をしない間に、東大の方が先に博士号取り消しをしましたね


 名前が出ているのでここに書きますが、藤木亮次元助教と金美善氏の論文(いずれも Nature 誌、小保方氏の STAP 論文が掲載された雑誌です)は出版直後に目を通していて、特に藤木助教の論文は


「まあ、次はこういうタイトルの論文を出してくるだろうな」


と、結論が先にあって、それに後からデータを当てはめたように感じました

 まず、藤木元助教の論文ですが、ヒストンおよびヒストンメチル化酵素の糖鎖修飾で2本Natureにアクセプトされていました。 

GlcNAcylation of histone H2B facilitates its monoubiquitination.

Fujiki R, Hashiba W, Sekine H, Yokoyama A, Chikanishi T, Ito S, Imai Y, Kim J, He HH, Igarashi K, Kanno J, Ohtake F, Kitagawa H, Roeder RG, Brown M, Kato S. Nature. 2011 Nov 27;480(7378):557-60. doi: 10.1038/nature10656.

PMID:22121020

GlcNAcylation of a histone methyltransferase in retinoic-acid-induced granulopoiesis.

Fujiki R, Chikanishi T, Hashiba W, Ito H, Takada I, Roeder RG, Kitagawa H, Kato S. Nature. 2009 May 21;459(7245):455-9. doi: 10.1038/nature07954. Epub 2009 Apr 19. Retraction in: Nature. 2014 Jan 23;505(7484):574.

PMID:19377461

[Chromatin regulation by transcriptional co-regulator complexes].

Fujiki R, Kato S.

Seikagaku. 2010 Mar;82(3):180-90. Review. Japanese. No abstract available.

PMID:20408450


[Role of nuclear O-glycosylation in epigenetic regulation].

Fujiki R, Chikanishi T, Hashiba W, Kato S.

Tanpakushitsu Kakusan Koso. 2010 Jan;55(1):61-8. Review. Japanese. No abstract available.

PMID:20058708


 一応、Kim氏の論文にも触れておきますと、

「Kimさんはこの論文を書くのに9年かかった」

っていう噂を聞いたんですね。でも、こういう事態にになってしまうと、一体どこにそれだけの時間がかかったのか、もしくはタイトルと内容がどんどん変わって行って、最終的にこのタイトルと内容になるまで単に「結果として」9年かかったのか。どちらにせよもうこの世には存在しない論文なわけですが、この論文に限らず、

「あの論文には6年かかりました」
「これは結構難産で、4年以上かかりましたね」

なんていう、「どれだけ時間がかかったか」を競争しているような話を聞く・・・までもないんですが、もし、少しでも人に役立つ、人を助けるための研究をしているという意識があるなら、時間はもっと短くすべきだと思います。

 僕はいつも書くことですが、患者さん、特に重い病気の患者さんには時間の余裕がないのですから、

頑張って早く結果を出して、世の中に役立ってほしいと思いました

という方が立派だと思いますし、個人的には、自分より若い世代の研究者や大学教員にはこういう風に感じてほしいと思っています。

DNA demethylation in hormone-induced transcriptional derepression.

Kim MS, Kondo T, Takada I, Youn MY, Yamamoto Y, Takahashi S, Matsumoto T, Fujiyama S, Shirode Y, Yamaoka I, Kitagawa H, Takeyama K, Shibuya H, Ohtake F, Kato S. Nature. 2009 Oct 15;461(7266):1007-12. doi: 10.1038/nature08456. Erratum in: Nature. 2011 Dec 1;480(7375):132. Retraction in: Kim MS, Kondo T, Takada I, Youn MY, Yamamoto Y, Takahashi S, Matsumoto T, Fujiyama S, Shirode Y, Yamaoka I, Kitagawa H, Takeyama K, Shibuya H, Ohtake F, Kato S. Nature. 2012 Jun 14;486(7402):280.

PMID:19829383


 STAP細胞論文の問題が起きて1年以上が経ちましたが、きちんと決着がついていない問題がまだまだあります。自分は大学教員ですし、その中でも「教育者としての自負が強い」と自覚していますので、小保方氏の出身の早稲田大学がどうきちんと対処するのかが、今でも一番の関心事です

 そこで、早稲田卒の方には申し訳ないですが、藤木元助教も早稲田卒です。大学院から東大に入ってきたので、博士号は東大が出しましたから東大が取り消しているのですが、肝心の早稲田大学は、小保方氏に対してどうするのか?この前のような滅茶苦茶な論理を押し通すのか?注目しています。


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(以下はリンク先の全文面です)
 東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授らが発表した33本の論文に研究不正が認定された問題で、東大は27日、捏造(ねつぞう)や改竄(かいざん)をした図を学位論文に使ったとして元助教ら3人の博士号を取り消したと発表した。3人は加藤研究室の学生だった藤木亮次元助教と金美善氏、製薬会社社員で研究に参加していた古谷崇氏で、平成17~19年に農学の博士号を得ていた。東大は、不正部分が重要な意味を持ち、削除すると論文の結論が成り立たなくなるとした

「こんな上司が部下を追いつめるー産業医のファイルからー」

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AA%E4%B8%8A%E5%8F%B8%E3%81%8C%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%82%92%E8%BF%BD%E3%81%84%E3%81%A4%E3%82%81%E3%82%8B%E2%80%95%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%8C%BB%E3%81%AE%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%81%8B%E3%82%89-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E8%8D%92%E4%BA%95-%E5%8D%83%E6%9A%81/dp/4167753081


 私は本を買った場合、その日付を必ず書くのですが、この本を購入したのは2008

12日で、翌日には読み終えています。宇部市内の本屋にはおいてなくて、妻の実家

に正月休みで行ったときに(休みではいつもそうしてます)、ついでに福岡県の小倉の井筒屋(地元の老舗デパートです)に出向き、そこの本屋で「ようやく見つけた」ものです。

 ネットで注文すれ
ばはるかに簡単だったと思うのですが、それが思いつかないくらい、当時は仕事の大変さで参っていたのかもしれません。以前からこういう問題には重要視していましたので、非常に興味を持ったのです。

 ちなみに興味をもった(興味と言うと、軽い響きがするので、この問題を重要視するようになった、とします)きっかけは大学ではなく、この本にある通りに、企業における過労死ですが、知人が過労死と思われる脳内出血で死亡したりした経緯も関係しています。また、とある大学でも、私の知る当時38歳の助教授が同じく脳内出血でなくなったのもはっきりと記憶しています。

 その准教授の方は、娘さんが産まれたばかり(1歳)だったので、自分が実際に親になった今となっては、思い出すと、非常に胸に刺さるものがあります。特に、彼は、帰宅後に自分で「ちょっと頭が痛いから病院に行くね」と言って、家族とともに普通に歩いてタクシーを捕まえて病院に行き、そこまでは一見正常に見えたのが、病院で急変したと聞いています。

 最近、自分も他人事ではないと思い、これだけが原因ではありませんが、最近いくつか自覚症状があったので、脳神経外科を受診し、MRIの検査を受けてきました(結果は全く問題はなく、小さな梗塞もなければ、血管もすべて正常でした)。ただ、将来を鑑みて、生命保険の額は増やそうかと神経に考えてはいます。

 このほか、最近では、この「それ、パワハラです」を読みました。これは、企業のケースだけですが、かなりひどいパワハラの現実の事例が書かれていて、同じようなパワハラを受けた経験のある人は、読まない方が良いのでは(再び病気がぶり返すという意味で)と思うくらいです。1つの事例では、とにかく部下への上司の言葉が酷く、かつ報告書も嘘だらけで、部下が訴えて、弁護士及び裁判所からの命令で査察が入ったのですが、それがなければ、上司は嘘を書き並べた報告書や矛盾だらけの勤務表を作成して、部下に対するハラスメントと退職していく姿を見て、遊び続けたのでしょう。

「それ、パワハラです」
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%80%81%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%81%A7%E3%81%99-%E4%BD%95%E3%81%8C%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88%E3%81%A7%E3%80%81%E4%BD%95%E3%81%8C%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%95%E3%81%8B-%E5%85%89%E6%96%87%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E7%AC%B9%E5%B1%B1-%E5%B0%9A%E4%BA%BA/dp/4334036945

 最近ブログを書いていなかったこともあって、今回は本の紹介に留めますが、自殺まで行かなくとも、かなり追い詰められた人たちの話はたくさん聞いています。このような実態を改善していくことにも、自分が関わっていく必要があるのではないかと、最近思っています。

 

もう半年くらい前の記事ですし、似たような内容の記事は嫌というほどあふれているのですが、あえて取り上げてみました。

「エリート外国人学生」の争奪戦が日本でも始まった! グローバル対応待ったなし
https://news.careerconnection.jp/?p=1794

一部を抜粋すると、
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日本企業にとって、海外進出・グローバル化は欠かせない。そのために、語学や専門知識に秀でた優秀なアジアの若者を採用したいと考えている。日本語を学び、日本で働きたいと考える海外アジアの学生も、この30年で急激に増加しているという」

「しかし現実には、企業と学生の双方を結ぶルートが確立されておらず、思うように採用は進んでいなかった。2014年9月16日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、名だたる大企業が優秀なアジア学生を効率的に獲得しようとする姿を紹介した」
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忙しい中、わざわざ僕のブログを読んで下さっている方の中にもいろいろな方がいると思いますが、とにかく

「グローバル」

という言葉は良くも悪くも散々聞かされているのではないでしょうか。そしてその後の流れは

「グローバル化に対応しなければ・・・」

という流れですね。

 確かにグローバル化の流れは強いのですが、僕の感覚では、思ったよりも進んでいないというか、もっと早く(悪い意味で)進むかと思っていました

 一口に「グローバル」と言っても、それぞれの立場で頭の中に浮かべるものは絶対に違うはずです。ということは、何かの基準を設定すれば、おのずと分類というか、分けることが出来ます。まず1つの例ですが

グローバル化に合わせないといけない人
グローバル化に合わせなくても、いきなり生きるか死ぬかの状況にはならない人

という分け方があると思います。でもこれはほんの一例で、無限とまでは言いませんが、相当な数の分類方法があるはずです。

 「そんな分け方に何の意味があるのか」と言われそうですが、それぞれの方の状況に依るという不公平な部分はあるんですけど、

苦手な部分で勝負をしたら、どれだけ才能がある人でもかなりの確率で負ける

と思いませんか?これを「グローバル」に当てはめると、

「グローバル社会が自分に(能力的にも性格的にも)合っていると思うならその道を選べばいい」
「グローバル社会が自分に合わない(能力的にもですが、精神的にも持つかどうか)と思うなら、出来るだけ違う職種や場所を選べばいい」

と思います・・・というか、そういう選び方をしないと、かなり危険だと思います。無論、

「すでに身動きが出来ない、どうしようもない」

という方も多くいるでしょうが、そういう場から逃げようと思ったら、やはり重要なのは「人脈(コネ)」なんですが、一方で

「法律の知識」
「自分を守ってくれるような相談所やセイフティーネット」

をどれくらい知っているかも、極端な話、生死を分けるというか、企業などでは嫌がられるでしょうけれど、「労働組合」がある程度しっかりしているところならそこに頼ってみるか、少なくとも合ってみて自分の救いになるかを調べてみる価値はあります。

 私は大学人としてずっと過ごしてきているので、企業の厳しさとかを、実際にその現場にいらっしゃる方と同じように感じることは出来ませんが、大学は大学で、非常によい大学ある一方で、いろんな意味でまずいところもあります。

 最近の大学では「ハラスメント対応委員会」みたいなのは大抵あるようですが、「被害者の方に寄り添ってくれる」委員会もあれば、鼻っから「加害者側に責任はない」という結論を用意しているだけのところもあるので、こういう場合も、人脈で、人脈がない場合はとにかく誰でもアクセスすることが可能なところにアポイントを取ってみて、相談できる相手を見つけることです。

 グローバルの話から随分ずれてきたように思われるかもしれませんが、

「自分はグローバル社会が合っている」

と思うなら、そのまま放っておけばいいのです(笑)。大学でも

「世界レベルの大学を目指す」

と唱っているところがほとんどと言ってもいいくらいですが、一度ならず二度三度、

「果たして自分に取ってのグローバルとは何なのか?」

を考えてみないと非常に危ないと思います。英語が流暢に話せればグローバル人材?外国滞在経験や居住経験が多ければグローバル人材?外国人の友人が多ければグローバル人材?英語で研究が出来ればグローバル人材?・・・もっと極端に言えば

「外国で危険な集団に捕まったけど、生きて帰って来られたからグローバル人材?」
「外国で身ぐるみはがされて命の危険を感じる経験をしたからグローバル人材?」

でしょうか。実は、僕はその答えはそれぞれの方で違うでしょうし、それでいいと思うのです。でも、僕が上に、赤字で書いた

精神的にも持つかどうか」

ということを皆さんどれくらい常に意識されているでしょうか?

 元気な時や若いとき、まだ病気やつらい経験をする前は、悪く言えば「幼児的万能感」みたいなのに支配されて、

グローバルに活躍する自分

だけをイメージし、

グローバル社会の中で精神的限界に陥って、普通の生活もままならくなった自分

というのはあまり考えないのではないでしょうか?

 僕は教育者ですから、何もしなくても成功する学生はそれでいいのですが、うまくいかなくてかなり悩んでいたり、かつては良かったけど、今は立ち直るきっかけすらまったく見つからない・・・そういう若い人の方がいつも気になるのです。

 僕の一つの口癖とも言えるかもしれませんが、

人は疲れるものである

のです。「元々非常に裕福で、疲れたら休む、それでも何の問題もない」人や、「常に助けてくれる人がいる・現れる」人はいいのですが、そういう特殊な人を除いて、人は肉体的にも精神的にも疲れますし、想像もしてなかった病気にかかることもあるのです。

「俺は精神的にタフなのが自慢だ」

と思っていたのに(言いかたが古かった気がしますが)、ある日突然出社する元気がなくなる、会社の前で足が止まってしまう・・・そうなる可能性は、常にあるのです。

 ただ、

自分が比較的自信がある分野
「自分が経験豊富な分野
自分が人脈を持っている分野

ならば、比較的そのようなリスクは下がり、成功する可能性が上がるでしょう。それが「グローバル社会でのビジネス」ならその道を行けばいいですし、そうでないなら、違う道を常に考えておくべきだと思います。

 グローバルついでですが、

日本国民のうち、パスポートを所持している人の割合

ってご存知ですか?もちろん毎日変動はしますが、大体

25%

です。4人に1人です。「所持している人」ですから、実際にパスポートを日常的に使っている人の数ははるかに下がります。グローバルとは言っても、実は日本人の大部分はグローバルとは関係ないような世界で生きているのです

 僕は教育者と言う意識が強いので、常に「研究者」という肩書きよりも、「大学の先生」とか、「学校の先生」と呼ばれることをことを好みます。医学部で仕事をして医学の研究をしていますし、研究成果を発表するのは海外の雑誌ですから読み書きは英語、国際学会ではもちろん英語で話します。

 しかし、大学病院に毎日やってくる患者さんたち、特に自分の親世代のような方たちは、みなさん外国になど行ったこともないような人がほとんどだと思います。

 地方大学ですから、そのような親世代の患者さんたちは、地元言葉をしゃべり、優しい医師の方ならば、その言葉に合わせて、ご自身もその言葉で診察をします。そして、診察が終わったら、今度は英語で海外の雑誌に投稿する論文を書いたりするのです。「ドメスティック」と「グローバル」が混在した日々を過ごすのです。

 上の紹介にあるように、僕はある難病患者さんたちの団体に加わらせてもらっています。診断が非常に難しい病気で、ほとんどの患者さんが複数の病院を回り、医師をまわり・・・医師の口調や態度によっては、心まで痛めてしまうこともあります。

 外来をされている先生方は、現実問題として、相当な数の患者さんたちを診察しなければいけません。しかも、全く何の病気かわからないような状態でやってくる患者さんも多く、僕がお会いする患者さんたちもそういう類に入ってしまい、まともな診察や治療をされていないケースもかなりあります。

 先日、その会の新年会があったのですが、食事よりも患者さんや、患者さんを身内に持つ方々のことの方が気になったので、ずっと話を聞いてメモを取り続けました。中には違う病気(皮膚関係)の方もいて、「何度薬を塗っても全然よくならない・・・」と言われたので、患部を見させていただきました。

 自分は患者さんを日々見ているわけではありませんが、研究論文や症例報告などを時間をかけて読んで考える時間があります。その皮膚病のある方は「乾癬」と毎回診察されると言われていたそうですが、ご本人もそう思っていないようでしたし、自分も恐縮ながら見させていただいたのですが、そのようには見えず、何らかの感染症に見えました。とはいえその場で勝手に診断は出来ないので、

「今度病院に行ったら、その部位を取ってもらって、それを調べてもらって下さい。よくプレパラートを顕微鏡でみるようなのがあるじゃないですか。見た目ではなく、病理検索をしてもらって下さい。もしその医者の方が嫌がったら、僕の友人の皮膚科医に僕からお願いをします

とお話ししました。また別の患者さんは、まさにこの難病と思われるのですが、今受けている治療が全く理に適っていないというか、紹介状のやり取りがあったようなんですけど、「もしかしたら病名を書いてないか間違えてるのでは・・・」と思い、細かく病状とこれまでの経過を伺ったので、この病気について知識のある先生を紹介する予定でいます。

 今書いたことは全くグローバルな話ではありません。でも、僕はそこで暮らしていて、仕事をして、お金をもらって、家族と一緒に生きているんですね。高価なスーツに身を包んで、自分より背の高いような外国人といつも話しているわけでもないですし、毎月成田や関空を使うわけでもありません。

 普段、勝ち負けということを、僕は医学研究においては考えないのですが、少なくとも負けているとは思いません。勝っているとも思わないのですが、それは、

僕の仕事はそういう勝ち負けのものではない

と思っているからです。「研究命」という人からしたら、「何を甘いことを」言われるような気もしますが、本当の治療法を見つけようと思ったら、どうしても運が必要だと思います。勝とうと思って勝てるようなものではないと思うのです。研究を

「勝とうと思わないから負けるんだ。勝とうと思えば勝てるんだ!」

と考えて部下に無理強いをすると、同じ画像の使いまわしが起きたりするのだと思います。

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