米Microsoftは1月28日、予想よりも好調な第2四半期(2015年10〜12月期)決算を発表し、サティア・ナデラCEOはクラウド事業の好調ぶりをアピールした。
「今や世界中の企業が野心的な変革を推進するためのデジタルプラットフォームとしてMicrosoft Cloudを使用している」と同氏は語った。
一方で同氏は、クラウドという新規事業の成功において、はるか昔からある同社製品の1つ「Microsoft Exchange Server」が果たしている役割には言及しなかった。Microsoft Exchange Serverは現在、世界の大規模企業の多くがメールサービスに使用している製品だ。
クラウドでは通常、外部の事業者がサーバネットワークを管理する。企業がクラウドへのデータ移行に着手しようという場合、最初のステップとして一般的なのは、まずメールを移行することだ。ほかのオフィスソフトウェアと合わせて移行する場合もあれば、メールだけの場合もある。
既にメールの送受信にMicrosoft Exchangeと「Outlook」を使用している企業にとって、クラウドでのデータ管理にも同じ会社を使おうと考えるのは理にかなった判断だ。
米ウィスコンシン大学もそうした判断を下した組織の1つだ。
ウィスコンシン大で仮想化を担当するボブ・プランカーズ氏によれば、同大はクラウドに移行することでITシステムを合理化したいと考え、まずはメールから移行することに決めたという。「メールは管理が大変だからだ。メールサーバだけでなく、スパムやウイルスのスキャンにも気を配らなければならない」と同氏は語る。
同大は既にOutlookを使用していたので、プランカーズ氏はクラウドへの移行に際し、Microsoftのクラウドベース製品「Office 365」を選択したという。
Madrona Venture Groupの投資家であるマット・マキルウェイン氏によれば、企業がクラウドへの移行をメールやその他広く使われているMicrosoftのオフィスソフトウェアから始めるのは「極めて自然なこと」だという。「クラウドを利用して、Exchangeサーバの心配はMicrosoftに任せたほうが、簡単だし、コスト効率も高められる」と同氏は語る。
Goldman Sachsの分析によると、MicrosoftがSalesforceやOracle、Googleといった競合を大きく引き離し、クラウドインフラ、サービス、ソフトウェアで2番目に大きな事業者となれている背景には、こうした考え方があるという。
Microsoftは28日、クラウド関連の通年の売上高が前年の55億ドルから94億ドルに増加する見通しだと発表している。
市場シェアではトップのAmazonにはまだはるかに及ばないが、Microsoftは最も成長率の高いクラウド事業者となっている。Goldman Sachsによれば、Microsoftのクラウド事業の要である「Azure」プラットフォームの売上高は前年比で2倍以上に増加し、市場リーダーであるAmazonの成長率65%をはるかに上回っている。
Synergy Researchのアナリスト、ジョン・ディンスデール氏によれば、市場シェアはAmazonの30%に対し、Microsoftのクラウドインフラとサービスは約10%だという。
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