ファッションビジネス専門紙「繊研新聞」公式サイト

セレクトショップの寿命はもう終わっている?

ビームスは、40周年を迎える今年、ブランドとの協業企画やメード・イン・ジャパンを切り口にした店を作るなど、様々な仕掛けを考えているという。そのことについて取材した時、設楽洋社長が、こう語った▼「セレクトショップのブームからずいぶん経つ。ある意味(セレクトの)寿命はもう終っている。ただ、まだ次が出てきていない。それだけ」。厳しい現状認識の背景には今後への危機感がある▼音楽業界でいうと「インディーズで人気の出たアーティストがメジャーで成功するにはすごい才能が要る」。セレクトショップに当てはめると、コアなファンを相手に商売を始めて、マスに広がるまでの成長は出来た。だが、それを持続させるには別の力が必要、ということだ▼設楽社長は「40年くらい現役で残っているのは音楽業界だとユーミン、サザン(オールスターズ)、矢沢永吉くらいですよね」と言う。好き嫌いはともかく、たしかに何度かのブームを経て、今もなお一定のファンと影響力を維持するアーティストの数は、それほど多くない▼音楽もファッションも時々の「旬」なものが人気を集め売れる。だが、それは常に次のトレンドやヒット曲に凌駕される。店も音楽も市場で残り続けるには、時代に寄り添い、なおかつ芯を通したものを提案し続けることなのだろう。 (2016/02/01)