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ここちよく流れる

オーストラリアでミニマリストとシンプルライフの中間をゆるゆる目指しています。

おもてなしのココロと技術を学ぶ:田崎真也さんの「接待の一流~おもてなしは技術です」を読んで

学-シンプルライフ本

仕事でもプライベートでもあらたまった接待やおもてなしの席の経験値がかなり低い私です。さらにオーストラリアへ移住して、カジュアルな場でも日本との違いを感じてきました。最近読んだこの本。今までで一番付箋を貼ったかもしれません。 

読んだ本

接待の一流  おもてなしは技術です (光文社新書)

接待の一流 おもてなしは技術です (光文社新書)

 

読んだきっかけ

愛読している黄色い星さんのブログ「シンプルライフで楽に楽しく」で紹介されていたのがきっかけで、Kindle版を購入してみました。

内容

日本を代表するワインソムリエである著者が数多くの現場経験から語る「おもてなし」のルール、技術、こころがまえ。「接待」と「女性をエスコートする」という切り口で書かれていますが、おもてなしを受ける側のマナーもわかりますし、家庭でも応用できる実用的な内容になっています。田崎直也さんは確か昔テレビCMに出演されていて、それではじめてソムリエという職業を知った記憶があります。

キーワード

もてなしのトライアングル

おもてなしの大前提となるホスト、ゲスト、アシスタントというトライアングル構造を理解して行動することが大切。ゲストをもてなすのはホストであって、アシスタントはホストをサポートする役割。例として「ゲストの好みを聞き、それをホストがソムリエに伝えるという流れが、正しい「もてなしのトライアングル」」と著者は指摘されています。

ホストがうまくできる人はゲストもうまくできる

この本を読んでいると、ホストとしての振る舞い方と表裏一体で、ゲストとしてどう振る舞うか、感謝を表すか、という点も読み取れます。素敵な時間をクリエイトしていく基本はお互いに「相手の気持ちを理解する」ということであることに改めて気づかされます。

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ゲストが選べる余地

これは忘れがちなこと。人をご招待したときに、メニューの内容、飲み物の種類、時間、スタイル等々ホスト側の個性も出しつつも、ゲストに選択の余地を用意しておく、その余白は、多民族国家のオーストラリアでは大切なことと感じます。私が日本人であることや、和食が人気であることから、基本的に日本料理を期待されますが、相手の好みがわかるまではお寿司や照り焼き系などあくまでも一般的な和食に留めています。そして必ず欧米的なものも献立にMIXして「逃げ場」を作っておくようにしています。

テーブルマナーで必要なこと

テーブルマナーについては最初に高校で基本的なことを教えてもらいました。そのときは自分が大人になった気分がしたのを覚えています(^^)。実際にそれ以上に複雑なルールがあるわけですが、その「型」を覚える目的は「まわりにいる人たちとの調和」のためと書かれてあります。作法やマナーの基本は周囲を不愉快にさせないこと、そのベースがあり、はじめてお食事を心から楽しめるのでしょう。これ、テーブルだけに限ったことではありませんね。心しておきたいと思います。

心に刺さった内容

人が集まって食事をするというのは、その味が上質であるとか健康にいいという以前に、会話のためだと考えています。
(中略)
そして、会話=コミュニケーションの基本は「共感し合う」ことだと考えています。ですから、ゲストは礼儀として、必ず料理に関する感想を言う。「美味しい」という表現をすべきです。

コミュニケーションの基本は「共感し合う」こと、という言葉にハッとしました。ここに書かれていること、欧米人はとても上手だと思います。相方のお母さんはいつも私のお料理に興味を持ち、感動や感謝を伝えてくれます。単に「美味しかった」だけじゃなく、「どうやって作ったの?」「材料はなに?」と聞かれると、何倍も嬉しくなります。そこで会話のはながパッと咲くのですね。まさにコミュニケーションのネタとなっているお料理。私もゲストとして招かれた時はこのことを心掛けたいと思いました。

もてなしの基本がきちんと身につけば、人とのコミュニケーションのとり方が変わり、コミュニケーションがスムーズになることは確かです。人生観が変わると言っても過言ではありません。

この本を読み「おもてなし」は人間関係をよりよくするための基本的なスキルでもあると感じました。

「習慣的な気遣い」を作業的に持続していくことができるようになり、その上に「本当の気遣い」が加わると、「心からのおもてなし」が完成するのです。 

これ、私に欠けていることです。人を招いておもてなしすることは大好きですが、その気持ちにテクニックがついて行っていなかった、ということを感じました。「こころ」は大切。でもそれを相手が受け取りやすい形で表現する「技術」も大切。特に異文化の中では相手のルールを理解するということは必須です。そのためには常日頃から「相手を理解するこころ」を持ちながら、「技術」を少しずつアップグレードしながら、「おもてなしの気持ち」で相手と丁寧に接する、ということを習慣にしたいと思いました。

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オーストラリアで感じていた違和感

この本のベースとなるのは「もてなしのトライアングル」の構造です。面白いなと思ったのは欧米と日本のトライアングルのちがい。

オーストラリアでは食事に招かれたらゲストは基本的に料理が出てくるまで他のゲストと会話しながらくつろいでいます。そして、食事中も食後もそれは同じ。でも日本人の私としては、何かお手伝いすることがないかな、お皿洗うの手伝おうかな、とか考えてしまうのです。ホストが忙しくしているのを横目にくつろぐことが居心地が悪いのです。それは、日本では大人数が集まるカジュアルな席では、自然と女性が台所仕事をして、男性がお酒をのみつつくつろぐ、という構造だったから。でも、この本を読んでそれは全くの筋違いだったのだと思いました。欧米ではホストとゲストの立場がはっきりしていて、その立場は会を通じて変わらない。ホストはゲストがくつろいでくれることが最大の喜び。これは大きな学びでした。そのことを相方に伝えると、「だからkeiはいつもそわそわしていたのか」と納得していました(^^;これからは思いっきりくつろごうと思います。

ただ、日本式の初対面の女性同士が台所でコミュニケーションを深める文化も大好きです。そこは郷に入っては郷に従え、ということで状況によって使い分けたいなと思いました。

今回は自分に関係のある部分をおもにピックアップしましたが、こちらの本にはさらに細かいテクニック的なところにも触れられています。たとえば「焼き鳥屋さんでのおもてなし的オーダーの仕方」みたいな、知っているとすぐに役立つおもてなしのコツも満載です。コミュニケーションスキルをUPしたい方にお勧めです。会社でも友人同志でも恋人でも家族でもお役に立つかと思います。

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