世間ではアベノミクスとか「3本の矢」なんて騒がれてきましたが、アベノミクスとはいったい何だったのでしょうか。
- アベノミクスとは「① 世の中のお金の量を増やす」「② 政府がお金を使う」「③ 企業にお金を使ってもらう」ことで景気を良くしようとした政策
- ①によって世の中のお金の量が増え、かなり円安になった
- 円安になったので、日本の輸出関連企業が元気になると期待されて株価が上がった
- 一方、②と③はあまり効果が出なかった
- 円安が止まったので①も効果が切れつつあり、これからが正念場 ⇒ 「新3本の矢」を発表
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- アベノミクスとは「① 世の中のお金の量を増やす」「② 政府がお金を使う」「③ 企業にお金を使ってもらう」ことで景気を良くしようとした政策
これまでの日本は、
【みんなお金を使わない ⇒ ものが売れないので価格を下げるしかない ⇒ 企業の儲けが増えないので給料も増えない ⇒ ますますお金を使わない】
という悪いスパイラル(= デフレスパイラル)に入っていました。
そこで、
【みんながお金を使う ⇒ ものの値段が高くても買ってくれる ⇒ 企業が儲かって給料も増える ⇒ もっとお金を使う】
という良いサイクルに変えようとしたのです。
その良いサイクルに変えようと考え出されたのが
① 大胆な金融政策 = 世の中のお金の量をたくさん増やす
② 機動的な財政出動 = 政府がお金をたくさん使う
③ 民間投資を喚起する成長戦略 = 企業にお金をたくさん使ってもらう
という「3本の矢」だったのです。
- ①によって世の中のお金の量が増え、かなり円安になった
- 円安になったので、日本の輸出関連企業が元気になると期待されて、株価が上がった
まず、3年間で世の中のお金の量は2.6倍に増えました。
日本では銀行の金利は非常に低いので、これだけお金が増えると、ただ日本の銀行に預けて眠らせているのはもったいないわけです。そこで、日本より金利が高い国で預金をする方が得になり、日本円を売って他の国の通貨を買う、という取引が増加します。
そのため、日本円がたくさん売られることになりました。2012年に1ドル80円台だったのが、2016年現在で1ドル120円台まで円安になりました。
円安になったので、日本の輸出関連企業が元気になると期待されて、株価を大きく上げました。結果として、株式投資をしていた人は、投資によって利益を得ることができました。
- 一方、②と③はあまり効果が出なかった
政府としては、「② 政府がお金を使う(= 公共事業)」「③ 企業にお金を使ってもらう」ことで良いサイクルへの転換を進めたかったのですが、これはあまりうまくいきませんでした。
元々の狙いは、
【企業がもっと投資してビジネスを拡大 ⇒ 企業の業績が良くなって社員の給料もアップ ⇒ 消費が増えて景気が良くなる】
ことだったのですが、円安で業績が良くなったのならば、円高になれば元に戻ってしまいます。そんな状態ではなかなか投資を増やしたり、給料を増やしたりすることはできなかったのです。
そうこうしているうちに、かなり円安になったので、もうこれ以上円安になることは難しい水準になってしまいました。
- 円安が止まったので①も効果が切れつつあり、これからが正念場 ⇒ 「新3本の矢」を発表
もう打つ手がなく、しかも円安が止まってきたので、政府は慌てて新しい施策を発表しました。これが「新3本の矢」です。
新3本の矢とは次の3つです。
(a) 希望を生み出す強い経済
(b) 夢を紡ぐ子育て支援
(c) 安心につながる社会保障
但し、これらの施策の内容はまだ詳しくは分かっていません。これからどのような具体策が実施されるのか、注目を集めています。