金星極域の高温解明=「あかつき」で裏付けへ−JAXA
2016年2月1日(月)19時25分配信 時事通信
探査機「あかつき」が赤外線カメラで撮影した金星。画面下の南極域など温度の高い部分が白く写っている。=2015年12月7日(宇宙航空研究開発機構提供) [ 拡大 ]
宇宙航空研究開発機構(JAXA)などは1日、金星の北極と南極が高温になる仕組みをコンピューターシミュレーションで解明したと発表した。金星の軌道には昨年12月、日本の探査機「あかつき」が到着しており、4月からの本格観測で裏付けを目指す。論文は1日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
地球の極域は寒冷だが、金星の極域は温度が高いことが観測で判明している。赤道などに比べ、極域は太陽からのエネルギーが少なく寒冷になるはずなのに、なぜ金星では温度が高いのか分かっていなかった。
JAXAの安藤紘基研究員らは、地球の大気計算用プログラムに、金星の大気組成などのデータを入れた上、金星の自転と同じ向き(東から西)に吹く超高速の風「スーパーローテーション」の影響を加味したモデルを作成。大気の動きや温度分布をスパコンで計算した結果、極域に高温部が生じるなど、実際の観測結果とよく一致した。
研究チームはさらに、極域の温度が上昇する要因を分析。金星の高度約50〜70キロを覆う分厚い硫酸の雲が太陽光で暖められて生じる大気の波(熱潮汐波)が気圧の変化をもたらし、極域上空の大気が低層に向けて急速に流れ込んだ結果、流れ込んだ大気の塊が「圧縮加熱」と呼ばれる現象で急激に加熱されることが分かった。
安藤研究員は「今回の成果があかつきの観測で実証されることを期待している」と話している。
地球の極域は寒冷だが、金星の極域は温度が高いことが観測で判明している。赤道などに比べ、極域は太陽からのエネルギーが少なく寒冷になるはずなのに、なぜ金星では温度が高いのか分かっていなかった。
JAXAの安藤紘基研究員らは、地球の大気計算用プログラムに、金星の大気組成などのデータを入れた上、金星の自転と同じ向き(東から西)に吹く超高速の風「スーパーローテーション」の影響を加味したモデルを作成。大気の動きや温度分布をスパコンで計算した結果、極域に高温部が生じるなど、実際の観測結果とよく一致した。
研究チームはさらに、極域の温度が上昇する要因を分析。金星の高度約50〜70キロを覆う分厚い硫酸の雲が太陽光で暖められて生じる大気の波(熱潮汐波)が気圧の変化をもたらし、極域上空の大気が低層に向けて急速に流れ込んだ結果、流れ込んだ大気の塊が「圧縮加熱」と呼ばれる現象で急激に加熱されることが分かった。
安藤研究員は「今回の成果があかつきの観測で実証されることを期待している」と話している。