バカは市場で勝ち残れない
「僕は君たちに武器を配りたい」で有名な瀧本さん。
帯の言葉は、「バカは市場で勝ち残れない」。
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資本主義社会で生きていくために何が必要なのか。
社会で成功しているモデルは何か。
この著者の本は、わかりやすい。
個人としてどうするべきかと、社会としてどうするべきか。
両方を問題提起しており、資本主義の考え方を政治にも援用している。
何かを得るために読む本というよりは、そんな考え方もあるということを知る本であろうか。
多様性に触れ、少数意見を拾い、新たなプラットフォームを得る。
「プラットフォームビジネスとは、他の事業者にビジネスを行うシステムを提供し、
その場における取引量が増えると、その場を提供する事業者に利益が落ちるように設計されているビジネス」
場所が賑わうことで、そこを運営する人が利益を得る。
ハコを作り出すビジネスだ。
オンラインで多く見られるかと思いきや、鉄道会社もそうだと述べている。
駅や沿線にどれだけ人を集められるか、たくさん人が集まることで好循環が生まれる。
「国家も個人もプラットフォームだ」
人がたくさん集まれば、税収も増え、国としての魅力も大きくなる。
魅力的な国家であれば、さらに人が集まる。
ある意味、ブランド力をつけるために、国や県が何をするのかが問われている今の時代。
過疎地域が消滅すると予想されている社会において、
地方が生き残るにはプラットフォームを意識することが大前提か。
「場を作ることは物理的な設備の効果だけではなく、ネットワークとしての効果も大きいのである」
一人で頑張るよりも、切磋琢磨しながら頑張ったほうが楽しいもの。
受験だってそう。
周りがやっているから自分も頑張れる。
互いにひっぱり、ひっぱられることこそ集団の強さなのだ。
そういう意味で、場は大事。
僕がよく喫茶店に行って勉強するのも、周りで難しそうな本を読んでいる人がいるからなのかもしれない。
「資本主義というものは、少数意見が、既存の多数意見を打ち破り、
新しい多数意見に変わっていくプロセスにおいて最も大きな価値が生じる」
パラダイムシフトをする、今までの前提が覆ることで、
それまでの規模がリセットされ、新たな市場が広がる。
では、少数意見が押し潰される事のない、むしろ手を差し伸べられる集団にならなければいけない。
小さな挑戦の芽をたくさん蒔くことで、何か生まれる可能性が増える。
「今、流行しているサービスは情報をたくさん集めるサービスではなく、情報をせき止めるサービスである」
これは、実感としてある。
ニュースアプリなんかも、無尽蔵に溢れ出る情報の中で、人気のあるものをピックアップしてくれている。
膨大な情報に接することが時間的にできないがゆえに、自動でフィルタリングしてくれるサービスに頼る。
多ければ良いってものじゃないから、たくさんの情報の中からいいものを選びとる能力が求められている。
「敗者として保護されるべきなのは、あくまでも個人であって企業ではない」
資本主義の結果、淘汰された先の話。
敗れた企業を保護するのではなく、その従業員を保護するという考え方。
資本主義の間を埋める財政の機能は、資本主義に逆行してはならない。
この考え、納得。
赤字企業に税金を投入するのではなく、その金で従業員の今後を助けてあげるべきなのだ。
「政策ごとにバラで政党や政権を選択したいところである」
自民党に投票したからと言って、自民党の公約にすべて賛成しているわけではない。
そこが伝わらないことが、いまの選挙制度の不便なところ。
そもそも党というブラックボックスに入ってしまうのが良くないのではないか。
「ほとんどの日本のビジネスマンは高給作業員にすぎない」
結局はルーティーンワークしかやってない。
そんな実感は強くある。
どっぷり浸かってしまった人が、急に経営という意思決定を出来るはずもないのだ。