【デモイン(米アイオワ州)=川合智之】1日の米中西部アイオワ州党員集会での指名獲得争いは、民主党、共和党ともに大接戦となった。共和は事前の世論調査で支持率首位だった不動産王ドナルド・トランプ氏(69)がテッド・クルーズ上院議員(45)に敗北し、陣営に衝撃が走った。民主本命候補のヒラリー・クリントン前米国務長官(68)は、バーニー・サンダース上院議員(74)と僅差の戦いになっている。
共和党ではアイオワ州の支持者の多数を占めるキリスト教福音派の手厚い支持を集めたクルーズ氏が勝利した。トランプ氏は事前の世論調査での人気が投票につながらなかった格好だ。
トランプ氏は「米国を再び偉大な国に」とのスローガンを掲げ、既存の政治家に不満を持つ白人層の支持を集めて全米で支持率トップを走る一方で、イスラム教徒の入国禁止や女性蔑視などの暴言で国内外の批判を浴びた。
共和党内主流派の期待が高いマルコ・ルビオ上院議員(44)もトランプ氏に肉薄し、3位と健闘している。一方、多額の政治献金を集めた穏健派のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(62)は上位に食い込めず、選挙態勢の大幅な見直しを迫られそうだ。
民主のクリントン氏はオバマ米大統領の政策継続を訴え、高齢者や女性らを中心に支持を集めた。民主社会主義者を自称するサンダース氏は、米国社会で広がる格差の是正を訴え、富裕層増税や大手銀行の解体などを公約に掲げた。若者やリベラル層の後押しを受け、クリントン氏を急激に追い上げた。
米CNNテレビが実施した党員集会の入り口調査によると、日本時間正午時点で民主党の17~24歳の86%がサンダース氏を選び、若者層の圧倒的な支持を得た。一方、40歳以上ではクリントン氏が首位だった。共和党では回答者全体の64%を占めたキリスト教福音派の33%がクルーズ氏を選び、トランプ氏は22%にとどまった。
アイオワ州は1972年以来、全米で最初に党員集会が開かれる。人口は310万人で50州のうち30位にとどまるが、民主・共和の候補者選びの火蓋を切る州として注目を集めてきた。
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