【ソウル聯合ニュース】韓国の外交部当局者は1日、記者団に対し、日本政府が国連女子差別撤廃委員会に提出した報告書で、旧日本軍の慰安婦問題と関連し、強制連行を否定したことについて、「文書記録がないとして強制連行を否定することは問題の本質をごまかすこと」と批判した。
韓国当局者の発言は、日本政府が河野内閣官房長官談話(河野談話)で示された「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」という「広義の強制性」は否定しないながらも、軍や官憲による「狭義の強制性」を否定し、慰安婦の強制連行問題をごまかそうとしていると批判したものだ。
日本政府が河野内閣官房長官談話(河野談話)で示したよう「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」という「広義の強制性」は否定しないながらも、軍や官憲による「狭義の強制性」を否定し、慰安婦の強制連行問題をごまかそうと指摘したものとみられる。
同当局者は「強制連行の論争に巻き込まれる必要はない」として、「慰安婦被害者の中でも強制的に連れて行かれたと証言する方がいる」と説明。強制連行の証拠が残っていないとの日本側の主張に対しては、▼当時にも違法だった強制連行の記録を残さなかった可能性▼敗戦とともに関連記録を廃棄した可能性▼当時、朝鮮半島で植民統治が確立していたため、強制連行の形を取らなくても本人の意思に反する動員ができた可能性――などを取り上げて反論した。
また、「国連女子差別撤廃委員会でわが政府が直接訴えられる仕組みはない」とした上で、「(今後)日本政府は慰安婦合意の精神と趣旨から外れる、事実と異なる話をする場合、わが政府としても当然対応する」と強調した。日本政府の強制連行の否定が慰安婦合意に反するかどうかに関しては、「(合意は)被害者たちが1人でも多く生きている間に解決しようとするもの」として、「(合意の履行が)良く行われる方向で督励してほしい」と述べるにとどめた。
一方、外交部の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官の慰安婦被害者との面談については、「いろいろな案を検討している」と明らかにした。昨年末の慰安婦合意以降、外交部関係者が支援施設に暮らしていない被害者25人(国内22人、中国3人)を尋ね、合意の結果や背景などを説明し、理解を求めたという。
韓国政府に登録されている慰安婦被害者238人中、生存者は46人となっている。うち3人は中国、1人は日本で暮らしているという。