「2000万人の貧困」 日本政府も非正規労働者削減へ

厚労省「正社員転換プラン」発表
中退・既卒者など正社員採用すれば企業に助成金
バブル経済崩壊で非正規になった中年層向け対策はほとんどなし

 日本の安倍晋三首相は先月、国会で「景気が回復し、パートタイムの雇用が増えた」という話の流れで、「働いていなかった妻が働き始めたら、我が家の収入は、例えば夫が50万円で妻が25万円だったら、75万円に増える」とアベノミクスの成果を自慢した。

 この発言に野党議員らは「パートの月収が25万円なんてあるのか。あるなら教えてくれ」と反発した。

 景気が回復しているとは言え、一人一人の生活は不況時と変わらない。こうした現象の根底には「非正規雇用問題」がある。一時期「1億総中流」という言葉もあった日本だが、最近は「2000万人の貧困」という新しい時事用語が登場した。非正規労働者が1990年の881万人から2014年には1962万人と2倍以上に達したことから生まれた言葉だ。

 日本労働組合総連合会(連合)系シンクタンク「連合総研」の先月の発表によると、20-49歳の非正規労働者1967人を調査したところ、5人に1人(20.9%)が「食事の回数を減らした」と答えたという。「体調が悪くても医者にかかれなかった」(13.0%)、「税金や社会保険料が払えなかった」(13.0%)、「水道・電気・ガスが止まった」(5.1%)などもあった。

 こうした問題を解決するため、厚生労働省は先月28日、「正社員転換・待遇改善プラン」を発表した。「日本政府が正社員化や待遇改善を目指す包括的な計画を出すのは初めてだ」と朝日新聞は報道している。個人的な事情により非正規で働く人を除き、もっと稼ぎたいのに仕事がないため「やむなく非正規で働く人」の割合は非正規全体のうち5人に1人に当たる18.1%(2014年基準)だった。正社員化を進め、20年までにこの割合を10%以下に引き下げるのが日本政府の目標だ。大学・高校の中退者・既卒者を正社員として採用した企業に助成金を与える方式も導入する。

 問題は、20代を中心にした対策ばかりで、中年層の非正規労働者対策が不十分な点だ。日本では1990年代のバブル経済がはじけた時に非正規で社会生活を始めた人が、そのまま中年になったケースが多い。正社員は定期昇給があるが、非正規にはなく、50代だけを見ると給料が約2倍差になるとのことだ。

東京=金秀恵(キム・スへ)特派員
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