北朝鮮の中国向け衣料品輸出が4倍増、石炭と鉄鉱石は減少

資源輸出は減少するも衣料品の増加により相殺
昨年の中朝貿易は全体で14%のマイナス

 北朝鮮は昨年、中国にとって初めて最大の衣料品供給国となった。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)北京事務所の駐在員が31日に伝えた。

 この駐在員は「北朝鮮は2015年、中国が輸入した衣料品のうち17%を供給した」とした上で「その結果、イタリアが2位、ベトナムは3位に追いやられた。これはかつて前例のないことだ」と説明した。北朝鮮による中国向けの衣料品輸出額は2010年にはおよそ1億6000万ドル(現在のレートで約194億円、以下同じ)だったが、昨年は6億3000万ドル(約764億円)へと金額ベースで一気に4倍近くにまで増加した。一方でこれまで中国向けの主力輸出品だった石炭は、14年にはマイナス7.6%を記録。また鉄鉱石は67%ものマイナスを記録した。北朝鮮は資源輸出の減少を、衣料品の輸出増で補う形となっていることが分かる。いずれにしても中国は北朝鮮に対する制裁に加わると公言はしているものの、実際は北朝鮮に今なお生存のための手段を与えていると考えられる。北朝鮮における対外貿易の90%は中国が占めているからだ。

 今年の初めに北京で北朝鮮との貿易を手掛ける中国人実業家から話を聞いたところ「新義州(北朝鮮北西部)に行けば子供服を非常に安く製造できる。衣料品の輸入に関心のある韓国人がいれば、ぜひ紹介してほしい」と逆に頼まれた。しかし2010年の哨戒艦「天安」沈没に伴う北朝鮮への経済制裁、いわゆる「5・24措置」の影響で、北朝鮮で製造された衣料品を韓国に輸入することはできない。記者がこのことを伝えると、この実業家は「それなら中国で製造したようにすればよい。北朝鮮では中国の半分のコストでどんな衣料品でも製造できる」と話した。北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋も「最近、北朝鮮は輸出をこれまでの資源中心から加工貿易中心に変えようとしている」とコメントした。

 しかし石炭や鉄鉱石の中国向け輸出の減少は、北朝鮮の外貨稼ぎに大きな打撃となっているようだ。昨年の石炭輸出額は2014年に比べて8600万ドル(約104億円)、鉄鉱石は1億4800万ドル(約179億円)減少した。

 その結果、昨年の中朝貿易の規模は輸出と輸入を合わせた全体で53億3000万ドル(約6500億円)にとどまり、2014年に比べて14.7%のマイナスを記録した。ちなみに収支は中国が4億6000万ドル(約560億円)の黒字だった。

北京=アン・ヨンヒョン特派員
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