エネルギー新世紀

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

どっちが得か、エアコン「連続運転 VS 間欠運転」
松尾和也 松尾設計室代表

(1/3ページ)
2016/2/2 6:30
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

日経アーキテクチュア

 「24時間ずっと家中を暖かくするなんて金持ちの道楽。庶民には到底できない絵空事だし、エネルギーの無駄遣いでもある」――。こうした日本人の常識は、果たして本当なのか。省エネルギーに詳しい松尾設計室の松尾和也さんに、シミュレーションデータを使って解説してもった。

 日本の戸建て住宅の大半は、断熱性や気密性、冬の日射取得を十分に考えて設計されていません。「24時間ずっと家中を暖かくするなんて金持ちの道楽」と思う日本人が多くなるのも当然の話です。

 しかし、断熱性や気密性、冬の日射取得がきちんとできている住宅の場合は、人がいる時間だけ暖かくする場合と、24時間連続でずっと暖かくする場合の暖房費の差が非常に小さくなります。ケースによっては逆転することもあります。

 実測データではありませんが、シミュレーションデータを用いて説明します。シミュレーションは、東京大学工学部建築学科の前真之研究室が作成した「ExTLA」で計算しました。シミュレーションデータなので絶対値は実際とは異なりますが、相対比較という意味ではかなり実際に近い状況になっています。

東京大学工学部建築学科の前真之研究室が作成したExTLAを用いたシミュレーション。S~XLは暖冷房の稼働時間の多寡で分類した(資料:松尾和也)
画像の拡大

東京大学工学部建築学科の前真之研究室が作成したExTLAを用いたシミュレーション。S~XLは暖冷房の稼働時間の多寡で分類した(資料:松尾和也)

 国の標準的な基準として用いられる「住宅事業建築主の判断基準(表中の事業主)」と、「24時間連続運転(表中のXL)」を比較します。「事業主」は冷房が1日15時間、暖房が1日14時間、それぞれ間欠運転する設定です(上図)。

■暖房時はどうなる?

【case1】「事業主」。暖房を14時間間欠運転(資料:松尾和也)
画像の拡大

【case1】「事業主」。暖房を14時間間欠運転(資料:松尾和也)

【case2】「XL」。暖房を24時間連続運転(資料:松尾和也)
画像の拡大

【case2】「XL」。暖房を24時間連続運転(資料:松尾和也)

 まずは上のグラフの見方から説明します。上段の【case1】と下段の【case2】はエアコンの稼働時間以外は全く同じ条件です。どちらのグラフも、左から、冬の「快晴日」「曇天日」「晴天日」(いずれも東京でエアコンを使用、室温は20℃設定)で、「暖房負荷」と「室温」をシミュレーションしています(注:SET*も計算していますが、今回は省略します)。

 このグラフの中で、オレンジ色に塗りつぶされている時間帯はエアコンが暖房運転しています。塗りつぶされた面積は、エアコンから投入された熱量(暖房エネルギー)を示しています。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 次へ
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

電子版トップテクノロジートップ

関連キーワード

エコキュート、ExTLA、エアコン、消費電力

日経BPの関連記事

【PR】

【PR】

エネルギー新世紀 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

エアコンは立ち上げ時が最も電力を消費する

どっちが得か、エアコン「連続運転 VS 間欠運転」

 「24時間ずっと家中を暖かくするなんて金持ちの道楽。庶民には到底できない絵空事だし、エネルギーの無駄遣いでもある」――。こうした日本人の常識は、果たして本当なのか。省エネルギーに詳しい松尾設計室の松…続き (2/2)

五輪が求める「持続可能調達」 日本の魚、対応いかに [有料会員限定]

 世界的に魚資源の枯渇が叫ばれるなか、東京五輪・パラリンピックでは持続可能に漁獲された魚の提供が求められる。欧米は水産資源管理を強化しており、「日本の魚」に厳しい目が向けられている。
 2020年の東京…続き (1/23)

図2 独Greenpeace Energy傘下Planet Energyの太陽光(左)および風力発電所(右)
(写真:独Planet Energy)

電力自由化、欧州から学べる3つのキーワード [有料会員限定]

 2016年4月から国内でも全面的に自由化される電力の小売り。このエネルギー業界の“一大イベント”のインパクトを理解するには、自由化で先行する欧州の動きが見逃せない。そこで起こったことをキーワードで整…続き (1/20)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

日経産業新聞 ピックアップ2016年2月2日付

2016年2月2日付

・三井金属、ディーゼル排ガスを銀で浄化
・デンケン、太陽光・HEMS一体提供
・国内新車販売、日産が20カ月連続減、新型投入少なく苦戦続く
・鉄鋼再編「最後の火種」着火、新日鉄住金、日新製鋼を子会社に
・介護補助職の採用提案、事業者ごと仕事内容判断…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

PR

関連媒体サイト