「24時間ずっと家中を暖かくするなんて金持ちの道楽。庶民には到底できない絵空事だし、エネルギーの無駄遣いでもある」――。こうした日本人の常識は、果たして本当なのか。省エネルギーに詳しい松尾設計室の松尾和也さんに、シミュレーションデータを使って解説してもった。
日本の戸建て住宅の大半は、断熱性や気密性、冬の日射取得を十分に考えて設計されていません。「24時間ずっと家中を暖かくするなんて金持ちの道楽」と思う日本人が多くなるのも当然の話です。
しかし、断熱性や気密性、冬の日射取得がきちんとできている住宅の場合は、人がいる時間だけ暖かくする場合と、24時間連続でずっと暖かくする場合の暖房費の差が非常に小さくなります。ケースによっては逆転することもあります。
実測データではありませんが、シミュレーションデータを用いて説明します。シミュレーションは、東京大学工学部建築学科の前真之研究室が作成した「ExTLA」で計算しました。シミュレーションデータなので絶対値は実際とは異なりますが、相対比較という意味ではかなり実際に近い状況になっています。
国の標準的な基準として用いられる「住宅事業建築主の判断基準(表中の事業主)」と、「24時間連続運転(表中のXL)」を比較します。「事業主」は冷房が1日15時間、暖房が1日14時間、それぞれ間欠運転する設定です(上図)。
■暖房時はどうなる?
まずは上のグラフの見方から説明します。上段の【case1】と下段の【case2】はエアコンの稼働時間以外は全く同じ条件です。どちらのグラフも、左から、冬の「快晴日」「曇天日」「晴天日」(いずれも東京でエアコンを使用、室温は20℃設定)で、「暖房負荷」と「室温」をシミュレーションしています(注:SET*も計算していますが、今回は省略します)。
このグラフの中で、オレンジ色に塗りつぶされている時間帯はエアコンが暖房運転しています。塗りつぶされた面積は、エアコンから投入された熱量(暖房エネルギー)を示しています。
エコキュート、ExTLA、エアコン、消費電力
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