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2016年02月02日 09時19分 UPDATE

シャープ「解体」の必然……「再建」より「再編」に狙い、官民ファンドの冷徹 (1/4)

産業革新機構のシャープ再建案が固まった。液晶事業は分社化してJDIとの統合を目指すなど、シャープ再建は主要事業の「解体」につながる可能性がある。

[SankeiBiz]

 経営危機に陥ったシャープを支援する方針の官民ファンドの産業革新機構が1月29日、企業の取締役会にあたる内部委員会を開き、シャープ本体に3千億円を出資し経営権を取得することを柱とする再建案の大枠を固めた。主力の液晶事業は分社化して傘下の中小型液晶大手、ジャパンディスプレイ(JDI)との統合を目指す。本体出資後は、冷蔵庫などの白物家電事業を切り出して東芝の同事業と統合する枠組みも視野に入る。複写機事業の売却も複数企業に打診されており、最終局面を迎えたシャープ再建は主要事業の「解体」につながる可能性がある。(織田淳嗣)

鴻海とのさや当て

 関係者によると、革新機構は当初、分社化された液晶事業に1千億円を上限に出資する考えだった。ところが、検討段階で東芝の利益水増し問題が表面化。昨年末には、東芝がパソコンや白物家電事業を中心に大規模なリストラを発表し、冷蔵庫や洗濯機など白物家電事業をシャープの同事業と統合させる案が東芝側から浮上した。このためシャープの液晶事業のみならず本体に出資し、シャープ自体の経営権を取得する案に傾いた。

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 一方、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業もシャープに対し、革新機構を大幅に上回る資金を出す救済案の提案を続けていた。1月には、その額は6千億円規模にまでつり上がったといわれる。鴻海がシャープの液晶事業を手に入れた場合、資金難のシャープができなかった巨額の設備投資が可能になる。

 そうなれば革新機構がソニー、日立製作所、東芝の中小型液晶事業を統合して設立させたJDIの強力なライバルとして立ちふさがることになりかねない。革新機構は1月初旬には2千億円程度をシャープに出資する案を提案していたが、日本の産業の競争力維持を目指す観点からさらに積み増す必要があり、出資額は3千億円まで増額された。

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