最近、テレビCMなどで、「持病があっても加入できる保険」をよく見かけますね。「持病があって、医療保険に入ることができなかった(入れないと思っていた)」という人にはうれしい保険でしょう。
けれども、「持病があっても加入できる」ということだけで、加入する医療保険を選んでしまうのはよくありません。かなり保険料が高くついてしまったり、思っていたよりも受け取る保険金が少なくなってしまったりすることもあります。
それに、持病があっても「普通の医療保険」に加入する方法もあるんです。
今回は、持病がある人が知っておきたい医療保険の仕組みについてお話しますね。
持病があっても加入できる医療保険は、正式には「引受基準緩和型医療保険(以下、『持病保険』)」と言います。
持病保険は、通常の医療保険では加入を断られてしまう人でも加入できるよう健康状態などの条件が甘く設定されていますが、その分だけ保険料が高くなります。
では、持病保険は通常の医療保険とどれくらいの差があるのでしょうか?
オリックス生命の通常の医療保険「新キュア」と持病がある人のための引受基準緩和型医療保険「キュアサポート」を使って、保険料と保障内容の差を見てみましょう。
新キュア (通常の医療保険) |
キュアサポート (引受基準緩和型医療保険) |
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保険料 | 2,187円 | 3,460円 |
入院給付金日額 | 5,000円 | 5,000円 |
入院限度日数 | 1入院60日・通算1,000日 ※七大生活習慣病は1入院120日まで、三大疾病は日数無制限 |
1入院60日・通算1,000日 |
先進医療特約 | 通算2,000万円まで | 通算2,000万円まで |
手術給付金 | 10万円(入院) 2.5万円(外来) |
5万円(入院) 2.5万円(外来) |
備考 | ※「生活習慣病充実プラン」では、約款記載の七大生活習慣病・三大疾病での入院限度日数を新キュアと同等にすることができる。 ただしその場合、保険料は3,920円。 ※契約日から1年以内に支払う保険金は、通常の半額になる。 |
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保険料の支払方法 | 契約年齢によっては、60歳・65歳での払済も可。 60歳払済での保険料は3,832円 |
支払方法は終身払のみ |
(40歳の男性、入院日額5,000円、保険料を一生涯支払う「終身型」の場合)
持病保険は通常の医療保険と比べて、保険料がかなり割高だということがわかりますね。
保険料が高いにも関わらず、手術給付金の額も半分になるなど、保障範囲がせまくなっています。
また、持病保険は基本的に、契約日から1年以内は「支払削減期間」とされます。この期間は保険金の支払額が通常の半額に抑えられてしまうのです。
例えば、保険に加入して半年後に入院したとすると、入院給付金は1日あたり5,000円の半額の2,500円、入院時の手術給付金は5万円の半額の25,000円となってしまう、ということです。
このような持病保険ですが、加入するための条件はかなり低く設定されています。
それぞれの保険で多少の差はありますが、「直近の一定期間内に入院・手術・治療などを行ったことがあるか」といったいくつかの告知事項に該当しなければ加入することができます。
上記のオリックス生命のキュアサポートでの加入条件となる告知事項は次のようになっています。
①最近3か月以内に、医師から入院、手術、検査のいずれかをすすめられたことがありますか。または、現在入院中ですか。
②最近3か月以内に、がんまたは上皮内新生物・慢性肝炎・肝硬変で、医師の診察、検査、治療、投薬のいずれかを受けたことがありますか。
③過去2年以内に、病気やけがで入院をしたこと、または手術を受けたことがありますか。
④過去5年以内に、がんまたは上皮内新生物で、入院をしたこと、または手術を受けたことがありますか。
(引用元 オリックス生命ホームページ)
キュアサポートの場合は、この4つの告知項目が「いいえ」であれば、加入することができます。
精神科・心療内科への通院歴があって通常の医療保険に加入するのが難しい人でも、持病保険であれば加入ができるのです。
通常の医療保険に加入できるかどうかは、「持病があるかどうか」で判定されますが、持病の種類によって審査に通りやすいかどうかの差があります。
ガンなどの三大疾病や糖尿病・うつ病といった病歴や入院歴があると、加入しにくくなります。
一方、詳細に告知することで、持病があっても通常の医療保険に加入できる可能性があがることもあります。病気が完治したことを証明する診断書や、服用している薬が軽いタイプのものであることなどを伝える告知書を提出することで、保険会社が「加入しても問題ない」と判断してくれる場合もあります。
ただ、その基準は保険会社によって異なるので、「無理かもしれないけど、ダメ元で…」くらいのつもりで考えておきましょう。通常の医療保険に加入できた方が保険料も保障内容もずっと有利なので、試してみる価値は十分にあります!
「持病があるから通常の医療保険には加入できない。けれども、持病が原因で入院したときなどに限っては保険金はなしという条件で、通常の医療保険に加入する」
これが「部位不担保」での通常の医療保険です。持病以外の病気だけを保障する仕組みになり、引受基準緩和型よりも保険料を大幅に安く抑えることができます。
部位不担保で契約した場合、その部位(持病)が原因となる入院などでの保険金はもらえませんが、その期間は限定されています。その期間を「不担保期間」と言いますが、不担保期間は一般的に5年程度となっています(ただし、保険によってその期間は異なります)。
つまり、持病が原因である場合でも、不担保期間を過ぎていれば保険金が受け取れるようになるのです。
では、部位不担保で通常の医療保険に加入することができる場合、持病保険か通常の医療保険、どちらに加入するのがいいのでしょうか?
判断するポイントをご紹介しますね。
持病保険が良いのか、部位不担保が良いのかは、あなたがどの保障に備えたいのか、が判断ポイントになります。もし、部位不担保で通常の医療保険に加入できるのであれば、持病保険とどちらにするのがいいか、慎重に判断するようにしましょう。
①持病があっても、通常の医療保険に加入できるかを確認する
②通常の条件で加入できなくても、「部位不担保」なら加入できるかを確認する
③持病保険にするか、部位不担保の通常の医療保険にするかを考える