Photoshop CC 2015と旧バージョンとのレイヤースタイルにおける互換性

イメージ

Photoshop CC 2015から、「境界線」や「ドロップシャドウ」など、一部のレイヤースタイル(効果)が複数に増やせるようになりました。旧バージョンでは、レイヤーに複数の境界線を追加したいとき、ドロップシャドウを使って擬似的に表現したり、グループ、スマートオブジェクトでネストにするなど、無駄な処理が必要でしたが、それらの問題が一気に解消できる画期的な機能強化と言えます。ただし、CC 2014まではこの機能に対応していませんので、当然互換性の問題が発生します。複数の効果を使ったデータを旧バージョンで開くときに注意すべき点を把握して、トラブルを未然に回避しましょう。

CC 2015で複数のレイヤースタイルを作る

CC 2015で複数のレイヤースタイルを作る

まず、おさらいとして複数の効果を追加する手順を解説しましょう。[レイヤーパネル]で対象のレイヤーをダブルクリックして、レイヤースタイルのダイアログを開きます。複数に増やせる効果は、名称の右側に[+]ボタンがありますので、これをクリック(または、左下の[fx]アイコンをクリックして、追加したい効果を選択)することで、その項目を複製できます。1種類の効果につき、最大10個まで増やすことが可能です。

複数の効果を持つデータを旧バージョンで開いた場合

では、複数の効果を持つCC 2015のデータをCC 2014で開いたとき、実際にどのようになるか実験してみましょう。


実験に使用するデータのレイヤースタイル

実験に使用するデータのレイヤースタイル

長方形のシェイプレイヤーを作成し、「境界線」をふたつ、「パターンオーバーレイ」をひとつ、「ドロップシャドウ」をひとつ適用します。当然、ふたつの境界線が再現されないのは目に見えているので、片方のチェックボックスをオフにして、実質ひとつだけが使われた状態にしておきます。これをPSD形式で保存しました。


CC 2014で開いてみる

CC 2014で開いてみる

保存したファイルをCC 2014で開くと、事前に警告が表示され、処理を選択することになりました。選択肢は、レイヤースタイルを統合(正確にはラスタライズ)してしまうか、可能な範囲でレイヤーを保持するかの二択です。統合したのでは意味がないので、互換性を考える以上、実質は[レイヤーを保持]の一択ということになります。


レイヤーを保持した状態で開く

レイヤーを保持した状態で開く

警告の[レイヤーを保持]をクリックしてファイルを開いたところ、境界線とパターンオーバーレイがまったくない状態になりました。ドロップシャドウのみが無事です。細かく検証していないのでどういう法則かわかりませんが、チェックボックスのオン・オフで効果をひとつのみにしておいても、破棄されてしまうものが出てしまうようです。

実験でわかったこと

効果を複数に増やしていると、チェックボックスでの表示・非表示に関わらず、旧バージョンでの再現に影響があることがわかりました。気をつけておかないと、知らない間に効果が消えているということもありえますね。

現状での対策

対策は一応あります。CC 2015でファイルを保存する前に、レイヤースタイルのダイアログで左下の「fx」アイコンをクリックし、“隠された効果を削除”を選択しましょう。これで、チェックがオフの効果をすべてを削除できます。この状態にしておけば、効果1種類につきひとつまでしか使用していない場合に限り、旧バージョンでも破棄されることなく開けるようです。他の人に渡すデータで、どのバージョンで開かれるか想定できないときは、必ず確認しておいたほうがいいでしょう。

実験でわかったこと

実験でわかったこと
旧バージョンで開くと削除した効果は、非表示の状態として認識されるようです。

Photoshopの書籍(共著)が間もなく発売されます。ベーシックなレタッチや補正から、アートワークの作成、Webサイトのモックアップ作成手順を丁寧に解説しています。これからPhotoshopを始める方には最適な一冊です!ぜひ!

Photoshopレッスンブック CC2015/CC2014/CC/CS6/CS5/CS4対応

著者:柘植ヒロポン、加藤才智、吉田浩之、高橋としゆき

出版社:ソシム/発売日:2016.2.5/サイズ: B5変型/ページ:304P/価格:本体2,200円+税

ISBN:978-4802610025

Recent Posts

Loading...

1 Notes

  1. graphicartsunitの投稿です