TOEICの問題形式が2016年5月度の試験より変更になります。
これまで、多くの方にTOEIC関連の記事を読んでいただきましたが、あるご指摘が…
『TOEICの問題変わるのに大丈夫なの?』
…確かに、記事を書いた以上、検証する必要がありますな。
先に結論だけ言うと、勉強方法を大きく変える必要はないですが、
読解スピードの向上と、より実践的な英語力が必要
となってきます。
その理由は以下で。
公式サイトでは、
TOEICテストの全体的なクオリティや難易度、テストの実施方法にも変更はありません。
となってますが、果たして…
今回は、2016年5月度から実施される、TOEIC出題形式の変更内容と、その影響、対策について解説します!
【目次】
TOEIC出題形式 変更内容まとめ
昨年、TOEIC公式サイトで以下のプレスリリースがありました。
TOEIC|プレスリリース|2015年度|ETSは、TOEICテストの出題形式を2016年5月に変更します
まず、この記事に沿って、変更点の概要と、各問題の内容を振り返ります。
リスニングパートの変更点
【Part 1】 写真描写問題 10問→6問に削減!
写真に対して4つの英文が流れ、最も最適な描写をしている1文を当てる問題。
聞く英文が短く、難易度が低いため、初心者にとっては痛い!
ただ、僕は正直『万々歳』です。この理由については後述。
【Part 2】 応答問題 30問→25問に削減!
(例題)Why did you move the old files to new external hard disk drive ?
ー (A) My laptop clashed.
ー (B) I just followed the instruction from my supervisor.
ー (C) To make my afffiliate ads more profitable.
のように、英語の質問(疑問文じゃないことも)に対する、最適な答えを導く問題です。
例題は適当なんで悪しからず…。
Part 1とPart 2は、重要単語のみに集中するなど、”コツ”で、ある程度得点できる部分です。
こちらも、初心者の得点源なので悲鳴が聞こえてきそうですね。
【Part 3】 会話問題 30問→39問に増加!&3人会話追加!
一番大きく変わったのはここですね。
これまでは2人の会話文に対し、最適な描写を当てる問題でした。
Part 3では、問題数が増え、会話が3人になる問題も出現します。
さらに、省略形(going to → gonna)の使用など、より実際の会話に近い問題になります。口語表現が増えるということですね。
英単語や会話の内容が難化するわけではないですが、 TOEICのための勉強しか、していない人はキツイでしょう。
今回のキーワードはココ!!
後述します。
【Part 4】 説明文問題 変更なし
英語の文章を聞いて、それに対する問題が出題されます。
変更点は示されてないですが、こちらも、口語表現が使われる可能性を考えておくべきでしょう。
リーディングパートの変更点
【Part 5】 短文穴埋め問題 40問→30問に削減!
(例題)I went to the restaurant (-----) the most popular blogger recommended.
(A) where
(B) to which
(C) that
(D) what
語彙や英文法の問題を中心とした短文穴埋め問題(例題は別記事から引用)。
こちらもリーディングセクションでは得点源にしてる人も多いはず。
10問減…。うーむ。
【Part 6】 長文穴埋め問題 12問→16問に増加!&文章で穴埋め追加!
Part 6…案外ここが穴になります。
part 5の穴埋めが長文になっただけですが、注意点は穴埋めに単語・熟語ではなくフレーズを使う問題が追加されるということ。
より読解力と読解スピードが問われますね。
穴埋め前後の文脈だけではなく、文書全体を捉える読解力が必要となってきます。
【Part 7】 文章読解問題 48問→54問に増加&3文章問題が追加!
問題数の増加に加え、トリプルパッセージの問題が出現します。
読解力がこれまで以上に問われるということですね。
Part 6とPart 7は、確実に難化です。
問題形式変更の影響と対策、参考書など
この項では、問題形式変更による影響を考察します。
簡単に言うと『難化』
全体的な難易度に変更はない、とありますが、正直『難化』ですよね。
各セクションの最初のパートの問題数が削減され、長文系の問題数が増えます。
”正答率”を維持するためには、これまで以上の集中力、読解力が必要となりますね。
ただし、TOEICは正答率がそのままスコアになるのではなく、試験毎に受験者の正答率が統計処理されます。
詳細は、こちらの資料をご参考に。
試験の難易度や、受験者の平均レベルが補正されますので、同じレベルの人が受験すれば、誤差範囲内で同等のスコアになる”はず”です。
そしたら、難しくはなるけど、スコアはあまり変わらないのかな?
痛い目を見るのは誰でしょうか…?
一番困るのは”TOEICだけ”勉強してる人
タイトルで『ガチ勢が悲鳴!?』と表現しましたが、これは、TOEIC高得点者ではなく…
『TOEICのための勉強しかしていない人』
の意味です。
僕は、今回の出題形式変更を『万々歳』と言いました。
というのも、僕は長文の方が得意なんですよ。
Part 1 や Part 2 だと、1単語聞き逃したら終わりなんてこともあります。
正直、TOEICの英語が聞き取れないことはほぼ無いのですが、ボケーっとしやすい僕には致命的…
しかし、長文だと全体を理解すれば大体解けるので、少し意識が飛んでもなんとかなるんです。苦笑
一応、TOEICだけに捉われない英語力をつけるようにもしてますし。
ですが、就活等でTOEICが必要になり…
- TOEICに出てくる英単語、英熟語だけを覚え…
- TOEICに頻出の英文法だけ押さえ…
- リスニング能力ではなく、”コツ”で回答し、
- TOEICの綺麗な会話文のリスニングしか出来ず…
- 旧TOEICの時間感覚を体に染み込ませている人…
こういう付け焼刃の英語力で、TOEICのスコアを取っている人は、痛い目を見るでしょう。
旧形式の問題数、問題形式、英会話でしか勝負できない勉強をしているからです。
TOEICだけ頑張る『ガチ勢』ですね。
スコア獲得だけが目的で、TOEIC600〜800の中級者に非常に多いです。
このタイプだと、問題数や問題形式の変更は大ダメージでしょうね。
逆に、TOEIC800を超えてくると、さすがに付け焼刃の英語力では難しいです。
今回の形式変更も、ある程度対応できると思いますので、”ソーシャルゲームのアップデート”ぐらいの感覚で良いのではないでしょうか?
新しい参考書を1つ買えば問題ないでしょう。
対策と勉強法、参考書
実践的なリスニング能力
リスニングに関しては、特に勉強法を変える必要は無いと思います。
"短縮語や口語表現が使われる"とありますが、旧形式のTOEICでも、会話文に口語表現はちょいちょい出ますからね。
単語だけで解答を推測するような”コツ”ではなく、しっかりリスニング能力をトレーニングしている人は、問題ありません。
ただし、『慣れ』という意味では、最新のテキストを使用する方が良いでしょう。
新形式対応の公式問題集は2016年2月18日に発売予定です。
参考:TOEIC|プレスリリース|2015年度|「TOEICテスト公式問題集 新形式問題対応編」
順次、新形式対応の問題集も出てくるはず。
出版社も大変だ…いや、稼ぎ時か?笑
時間感覚の修正
時間感覚は、TOEICのリーディングパートでは必須です。
私は基本的に、5分残して解くようにしてます。
Part 5と6は、25秒/問
Part 7は、1分/問
の計算。
旧形式だと70分(四捨五入)ですが、新形式だと73分になります。
思ったより変わらないですが、少しタイトになりますね…。
読解スピードの向上
長文問題数の増加、および”3つの文書”が出ることを考慮すれば、時間内に読む文書量は確実に多くなります。
長文読解が苦手な人は、力を入れて勉強していきましょう。
逆に長文の方が得意な人はラッキー!!
英文法や単語の難易度は変わりません。
これまで通りの参考書で問題ないでしょう。
おわりに
TOEICの始まりは1979年、問題形式が変わったのが2006年ですから、10年ぶりの問題形式変更です。
TOEICで英語力が測れるのか?
ずーーーーっと言われてますからね…
『改善』にはなると思います。
ただ、正直、今回の形式変更でTOEICの価値が上がるとは思いませんが…。
しかし、今でもTOEICのスコアが様々な場所で使われるのは事実ですからね。
受験を考えている人は、しっかりと対策していきましょう!
みるおか