記事詳細
【ビジネス解読】
ハイテク製品輸出で中国が日本を抜いた 中国メディアは「歴史的勝利」に大ハシャギ でも内実はお寒い限りで…
ハイテク製品は日本のお家芸だ。だが、そんな“常識”を揺るがす事態が起きた。アジア開発銀行(ADB)が、通信機器などハイテク製品のアジアでの輸出シェアで、中国が日本を大きく抜き去りトップに立ったとするリポートを公表。中国メディアは「戦略的ハイテク技術分野で前進した」と喧伝し、歴史的勝利に沸いた。だが、「部品を輸入し製品を組み立てただけ」(関係者)というのが実態だ。それを知っている中国は、次世代製造業による質の向上を真剣に模索し始めた。日本も製造業に革新を起こす「第4次産業革命」を目指しており、アジアの覇権をめぐり、つばぜり合いが今後本格化しそうだ。
アジアのハイテク製品輸出、勢力図塗り替わる
ことの始まりは、ADBが昨年12月に発表したアジア経済統合に関するリポートだった。
リポートによると、ハイテク製品のアジアでの輸出で、中国が占めるシェアは2000年に9.4%だったのが、14年には43.7%と大幅に拡大した。一方で、対する日本のシェアは00年の25.5%から7.7%に低下した。
ここでいうハイテク製品とは、航空・宇宙関連製品や医薬品、通信機器、医療・精密機器などを指す。これまでアジアでは、おおむね日本が存在感を示してきた分野だ。