辻吉治容疑者(ライオンズクラブ国際協会のホームページから)
東日本大震災の義援金約1000万円を着服したとして、大阪府警淀川署は7日、社会奉仕団体・ライオンズクラブ(LC)の近畿地区の協議会前議長で、会社経営の辻吉治容疑者(67)=大阪市東淀川区=を業務上横領の疑いで逮捕したと発表した。被災地のLCから購入を依頼された支援物資を自身が経営するスーパーなどに水増し発注し、差額の数百万円を流用していたとみられる。「借金で会社の資金繰りが苦しかった」と容疑を認めているという。
逮捕容疑は、議長だった今年3月末、被災地のLCから生活物資の購入費として近畿の協議会の口座に送金された義援金約1130万円のうち、約1090万円を勝手に自分の口座に移し替えて着服した、とされる。
義援金は、米国のLC国際財団から被災地のLC協議会に寄付された。生活物資の入手が困難なため、被災地のLC協議会が西日本の各協議会に物資の購入を依頼していた。
淀川署などによると、辻容疑者は自分の口座に金を移したうえ、自身が経営するスーパーの取引先などにティッシュ、米、水などの物資を水増し発注し、差額を流用したとみられる。
資金移動を不審に思ったLC関係者が府警に相談し、辻容疑者はその後、LCを退会した。LC幹部によると、辻容疑者は6日の逮捕直前に関係者に電話し、「約460万円分を着服した。全額弁済したい」と話したという。
辻容疑者のスーパーの従業員は「5日に突然、店を閉めるので解雇すると知らされた」と困惑していた。