米軍司令官「南シナ海航行を拡大」

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オバマ氏への不満代弁 日本経済新聞  2016/01/28(木)

harisutaisyou.jpg【ワシントン=吉野直也】米太平洋軍のハリス司令官が中国が南シナ海で建設する人工島付近への軍艦の航行拡大を表明した。軍事拠点化が進んでいるにもかかわらず、昨年10月下旬の派遣が「最初で最後」のまま。制服組にはオバマ大統領らが中国に配慮して航行を止めているとの不満があり、ハリス氏の発言はそれを代弁したものだ。

 「『航行の自由』作戦は増えていくだろう」。ハリス氏は27日のワシントン市内での講演で強調した。昨年10月に米軍艦が人工島12カイリ(約22キロ)内を航行した直後、カーター米国防長官は「今後数週間から数カ月、作戦を継続する」と明言したにもかかわらず、その後は途絶えたままだ。


 前回航行も国防総省の進言から5カ月経過後の作戦だった。オバマ氏やライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)が作戦に「待った」を掛けていたためで、現在も同じ構図とみられている。


 昨年12月には核弾頭を搭載できる米戦略爆撃機B52が人工島12カイリ以内を飛行。米国防総省は「飛行を意図したものではない」と偶発的な出来事を装ったものの、米軍からオバマ政権への抗議だったとの見方もある。


 ハリス氏は「中国からの攻撃があれば、われわれは必ず(日米安全保障条約に基づき)防衛する」と名指しまでした。大統領はこれまで「日本の施政下にあるすべての領土は、尖閣諸島を含め日米安保の適用対象」と述べるにとどめ「中国」の国名は出しておらず、ハリス氏の発言には政権への当てこすりがにじむ。


 日米両政府は2013年に尖閣有事を念頭に置いた共同作戦計画を策定済み。尖閣を中国に占拠された際の奪還シナリオも明記している。


 オバマ政権では国防長官はカーター氏で異例の4人目。退任した3人はいずれもオバマ氏批判に転じた。大統領は米軍の最高司令官を兼ね、軍との不協和音は米軍のみならず世界の安全保障と直結しかねない。



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